講演情報
[15-O-S001-06]医療・介護・福祉事業所の減災とBCP事業継続計画-私たちの場合(第八報)全国版
*夏海 啓1、大塚 恵利子1、中川 泰秀1、玉木 千鶴1、玉木 一弘1 (1. 東京都 介護老人保健施設 菜の花)
例年BCPのブラッシュアップを行っているが、年初に発生した石川県能登半島を震源とする最大震度7の地震を踏まえ、地域との連携の大切さを改めて実感したので、普段から繋がりを基にした訓練報告をする。
【はじめに】 第7報まで災害時のBCPを報告してきた。
それ以後、地域に点在している日本医師会JMAT研修修了者をまとめ避難所でのトリアージ活動を支援する、チーム連携訓練を各方面と準備していたが、コロナ禍により中止を余儀なくされていた。
令和6年初めに石川県能登半島を震源とする最大震度7の地震が発生し、全老健を始めとした各行政団体やボランティア団体等が支援に乗り出し、今も避難を余儀なくされ、支援が必要となっている。
被災した施設の現状を目の当たりにし、近隣住民との協力や自治体の支援の重要性を再確認するとともに、近隣住民の避難先にもなり得ることを実感した。
今回は、自治体や近隣施設との協力及び連携を更に強固なものとし、近隣住民との相互理解と繋がりを重視した共同訓練を計画、実施したのでその様子を報告する。
【内容】
年初に発生した地震では、断水でお風呂に入れず、
トイレや排水も洗濯もできないまま、
おむつや簡易型トイレで代替している状況が続いていた。
衛生環境が整わず、物資も不足しており暖房も使えない施設が多かったため、体調悪化や感染症を不安視する声も上がり、通常の施設運営とは程遠い状況になっていた。
高齢者を支える職員が被災しており、圧倒的にマンパワーが足りておらず、通常の6割程度の少数の出勤可能な職員のみで入所者に対応せざるを得ないため、一部に負担が集中し著しく疲弊してしまう状況になっていた。
また、正常に機能している施設への利用者の移送も必要になっていた。
これらの状況を踏まえ、施設の自助努力だけでは耐え切れないため、近隣住民の協力や、
自治体やボランティア団体の受援を前提とし、普段からの繋がりを礎にした連携訓練の実施が、
有事への備えとして早急に望まれる。
この為、普段から実施していた町内施設との共同訓練に加えて、近隣住民も巻き込んだ連携訓練を実施するに至った。
【考察・結論】
当該施設が所在する地域では、高齢者入所施設、病院が要配慮者の内の
高齢者である要援護高齢者の避難所に指定されていることもあり、被災した自力で動ける近隣住民が丈夫な
鉄筋コンクリート造の施設に向けて自主的に避難してくることが想定された。
避難してきた近隣住民で動ける方については、被災時の施設の労働力として
活動していただくことを想定し、茶話会等を通じて住民との共通認識を持つことが重要と考えられる。
また、大規模災害の場合は、職員も被災者となり施設業務への影響が出てしまうことも想定しておき、
事前に重要必須業務を絞り込み、出勤できない職員が相当程度発生しても少人数で重要業務のみを実施できるように訓練をしておくことも大切となる。
地域自治体、各高齢者施設、病院、近隣住民が一体となって相互扶助の観点に立ち、
入所者や地域の要援護高齢者の対応について共同で取り組むことが何よりも重要である。
それ以後、地域に点在している日本医師会JMAT研修修了者をまとめ避難所でのトリアージ活動を支援する、チーム連携訓練を各方面と準備していたが、コロナ禍により中止を余儀なくされていた。
令和6年初めに石川県能登半島を震源とする最大震度7の地震が発生し、全老健を始めとした各行政団体やボランティア団体等が支援に乗り出し、今も避難を余儀なくされ、支援が必要となっている。
被災した施設の現状を目の当たりにし、近隣住民との協力や自治体の支援の重要性を再確認するとともに、近隣住民の避難先にもなり得ることを実感した。
今回は、自治体や近隣施設との協力及び連携を更に強固なものとし、近隣住民との相互理解と繋がりを重視した共同訓練を計画、実施したのでその様子を報告する。
【内容】
年初に発生した地震では、断水でお風呂に入れず、
トイレや排水も洗濯もできないまま、
おむつや簡易型トイレで代替している状況が続いていた。
衛生環境が整わず、物資も不足しており暖房も使えない施設が多かったため、体調悪化や感染症を不安視する声も上がり、通常の施設運営とは程遠い状況になっていた。
高齢者を支える職員が被災しており、圧倒的にマンパワーが足りておらず、通常の6割程度の少数の出勤可能な職員のみで入所者に対応せざるを得ないため、一部に負担が集中し著しく疲弊してしまう状況になっていた。
また、正常に機能している施設への利用者の移送も必要になっていた。
これらの状況を踏まえ、施設の自助努力だけでは耐え切れないため、近隣住民の協力や、
自治体やボランティア団体の受援を前提とし、普段からの繋がりを礎にした連携訓練の実施が、
有事への備えとして早急に望まれる。
この為、普段から実施していた町内施設との共同訓練に加えて、近隣住民も巻き込んだ連携訓練を実施するに至った。
【考察・結論】
当該施設が所在する地域では、高齢者入所施設、病院が要配慮者の内の
高齢者である要援護高齢者の避難所に指定されていることもあり、被災した自力で動ける近隣住民が丈夫な
鉄筋コンクリート造の施設に向けて自主的に避難してくることが想定された。
避難してきた近隣住民で動ける方については、被災時の施設の労働力として
活動していただくことを想定し、茶話会等を通じて住民との共通認識を持つことが重要と考えられる。
また、大規模災害の場合は、職員も被災者となり施設業務への影響が出てしまうことも想定しておき、
事前に重要必須業務を絞り込み、出勤できない職員が相当程度発生しても少人数で重要業務のみを実施できるように訓練をしておくことも大切となる。
地域自治体、各高齢者施設、病院、近隣住民が一体となって相互扶助の観点に立ち、
入所者や地域の要援護高齢者の対応について共同で取り組むことが何よりも重要である。