講演情報
[15-O-S002-07]職員の防災意識とよりよいBCP策定ついて
*岩名 幸弥1、冨田 崇之1 (1. 大阪府 岸和田徳洲苑)
施設災害時にどのような災害対策が必要であるかを調査する目的で職員に防災意識についてアンケートを実施し、今後どのような防災対策が必要であるかについて報告する。職員全員に防災についての意識や不安について調査した結果、定期的な避難訓練や災害の勉強会、研修会の実施の希望が多く、これらの意見をもとに今後のBCP策定、構築に活かしていく。
【はじめに】
2024年1月1日に能登半島地震が発生し、高齢者施設も被害をうけ、被害が大きかった地域では利用者が市外の施設や医療機関などに移ることを余儀なくされた。南海トラフ大地震の発生確率は「平常時」においても今後30年以内に70~80%であり切迫性も高い状態にある。近年地球温暖化による自然災害も発生しており、豪雨による洪水や台風などの被害も多発している。2024年4月に介護事業者は事業継続計画(BCP)が義務化され施設でもBCP策定をしている。
【目的】
職員の防災意識や施設で災害が起こった時に知っておきたいこと、不安に思っていることを調査し、施設で災害が起こった時の課題や改善策、よりよいBCP策定に活かしていく。
【方法】
看護、介護職員33名を対象に防災についてのアンケートを2024年6月17日~6月25の期間で実施した。内容は地震、火災時のマニュアル、非常食や消火器の場所、避難経路や非常扉の開け方等を知っているかの選択回答式の質問と地震、火災時に知っておきたいこと、不安に思っていることを記述する自由回答形式の質問とした。
【結果】
職員の勤続年数について調査し、10年以上勤務している職員は18名(約54%)であった。震災時のマニュアルについて知っていると答えたのは6名(約18%)で10年未満の職員で知っていると答えた職員は0名であった。火災マニュアルについても同様に知っていると答え職員は7名(約21%)であり10年未満のスタッフで知っていると答えたスタッフは0名であった。火災時の避難経路、避難出口について知っているかの質問に知っている、あいまいに知っていると答えた職員は30名(約90%)であったが非常出口の扉の開け方について知っているかの質問には知っている、あいまいに知っていると答えた職員は18名(約54%)であった。
地震災害時に知っておきたいこと、不安に思っていることで多かった意見としては「地震が起こった場合どのように動いたらよいのかわからない」「地震時の訓練を行っていないので人が少ない時に対応できるかどうかが不安である」「大規模な災害が起こった場合、食料や飲料水、資材、予備バッテリーなど確保が十分なのか。定期的に確認しているのか」「自宅で地震が起こった場合、施設にはどのように連絡し、誰と連絡を取ればいいかわからない」「地震が起こった時に他業種との連携がどうなっているのかわからないので誰が助けに来てくれるのかが分からないので不安である」などであった。
火災時に知っておきたいこと、不安に思っていることで多かった意見としては「定期的に避難訓練をしてほしい。参加したい」「どうのように動いたらいいかわからない。」「入居者が2階、3階にいるので避難が非常階段しかなく、非常出口の扉も狭いため入居者が安全に避難できるかが不安である」「施設が25年を過ぎているので配線、ほこりで出火しないようにしっかりと設備点検をしてほしい」などであった。
【考察】
勤続年数が10年以上の職員は半数を超えており、震災時や火災時にとる行動や災害時に必要な物品のありかなどを知っている職員も多い一方で10年未満の職員は年数が少ないほど知らないことが多いことが明らかになった。
火災時の避難経路や非常出口について知っている職員は90%となっているが非常口の鍵の開け方について知っている職員は54%にとどまっており、いざ避難となった時に鍵のかけ方がわからずにパニックになる可能性があることが分かった。
地震災害時、火災時に不安に思っていることに共通してあった意見では「どう動いていいかわからない」「訓練を実施してほしい、参加したい」とのことであった。勤続年数が若ければ若いほどこのような意見が多く出た。逆に勤続年数が長ければ長いほど非常食等の量の心配や、バッテリーなど設備点検、非常階段での避難の不安など具体的な意見が多く出た。
現在は勤続年数が10年以上の職員は半数以上いるが今後定年退職などでこの割合は少なくなって行く事が推測される。若い勤続年数の職員にもわかりやすいような災害マニュアルの作成や様々な災害を想定した訓練の実施が急務である。
また、災害が起きた時に見た目にもわかりやすい標識や説明マニュアルの設置や非常用のグッズのこまめな設備点検の実施を行うことで施設の減災に努めていく。
【おわりに】
今回のアンケート実施し、職員が災害に対して不安があると再認識し、職員も災害に関しての研修や訓練に参加したい、学びたいという気持ちがあるたくさんあることを知ることができた。施設で生活する利用者が安心して過ごせる環境を提供するためにも今後も定期的な避難訓練や災害の勉強会、研修会を行い職員全体で災害に対する意識を強く持ち、いざという場面で全員が協力し対応できるようしていく。BCP委員会にこれらの意見を会議に提出し、よりよいBCP策定、策定に活かしていく。
2024年1月1日に能登半島地震が発生し、高齢者施設も被害をうけ、被害が大きかった地域では利用者が市外の施設や医療機関などに移ることを余儀なくされた。南海トラフ大地震の発生確率は「平常時」においても今後30年以内に70~80%であり切迫性も高い状態にある。近年地球温暖化による自然災害も発生しており、豪雨による洪水や台風などの被害も多発している。2024年4月に介護事業者は事業継続計画(BCP)が義務化され施設でもBCP策定をしている。
【目的】
職員の防災意識や施設で災害が起こった時に知っておきたいこと、不安に思っていることを調査し、施設で災害が起こった時の課題や改善策、よりよいBCP策定に活かしていく。
【方法】
看護、介護職員33名を対象に防災についてのアンケートを2024年6月17日~6月25の期間で実施した。内容は地震、火災時のマニュアル、非常食や消火器の場所、避難経路や非常扉の開け方等を知っているかの選択回答式の質問と地震、火災時に知っておきたいこと、不安に思っていることを記述する自由回答形式の質問とした。
【結果】
職員の勤続年数について調査し、10年以上勤務している職員は18名(約54%)であった。震災時のマニュアルについて知っていると答えたのは6名(約18%)で10年未満の職員で知っていると答えた職員は0名であった。火災マニュアルについても同様に知っていると答え職員は7名(約21%)であり10年未満のスタッフで知っていると答えたスタッフは0名であった。火災時の避難経路、避難出口について知っているかの質問に知っている、あいまいに知っていると答えた職員は30名(約90%)であったが非常出口の扉の開け方について知っているかの質問には知っている、あいまいに知っていると答えた職員は18名(約54%)であった。
地震災害時に知っておきたいこと、不安に思っていることで多かった意見としては「地震が起こった場合どのように動いたらよいのかわからない」「地震時の訓練を行っていないので人が少ない時に対応できるかどうかが不安である」「大規模な災害が起こった場合、食料や飲料水、資材、予備バッテリーなど確保が十分なのか。定期的に確認しているのか」「自宅で地震が起こった場合、施設にはどのように連絡し、誰と連絡を取ればいいかわからない」「地震が起こった時に他業種との連携がどうなっているのかわからないので誰が助けに来てくれるのかが分からないので不安である」などであった。
火災時に知っておきたいこと、不安に思っていることで多かった意見としては「定期的に避難訓練をしてほしい。参加したい」「どうのように動いたらいいかわからない。」「入居者が2階、3階にいるので避難が非常階段しかなく、非常出口の扉も狭いため入居者が安全に避難できるかが不安である」「施設が25年を過ぎているので配線、ほこりで出火しないようにしっかりと設備点検をしてほしい」などであった。
【考察】
勤続年数が10年以上の職員は半数を超えており、震災時や火災時にとる行動や災害時に必要な物品のありかなどを知っている職員も多い一方で10年未満の職員は年数が少ないほど知らないことが多いことが明らかになった。
火災時の避難経路や非常出口について知っている職員は90%となっているが非常口の鍵の開け方について知っている職員は54%にとどまっており、いざ避難となった時に鍵のかけ方がわからずにパニックになる可能性があることが分かった。
地震災害時、火災時に不安に思っていることに共通してあった意見では「どう動いていいかわからない」「訓練を実施してほしい、参加したい」とのことであった。勤続年数が若ければ若いほどこのような意見が多く出た。逆に勤続年数が長ければ長いほど非常食等の量の心配や、バッテリーなど設備点検、非常階段での避難の不安など具体的な意見が多く出た。
現在は勤続年数が10年以上の職員は半数以上いるが今後定年退職などでこの割合は少なくなって行く事が推測される。若い勤続年数の職員にもわかりやすいような災害マニュアルの作成や様々な災害を想定した訓練の実施が急務である。
また、災害が起きた時に見た目にもわかりやすい標識や説明マニュアルの設置や非常用のグッズのこまめな設備点検の実施を行うことで施設の減災に努めていく。
【おわりに】
今回のアンケート実施し、職員が災害に対して不安があると再認識し、職員も災害に関しての研修や訓練に参加したい、学びたいという気持ちがあるたくさんあることを知ることができた。施設で生活する利用者が安心して過ごせる環境を提供するためにも今後も定期的な避難訓練や災害の勉強会、研修会を行い職員全体で災害に対する意識を強く持ち、いざという場面で全員が協力し対応できるようしていく。BCP委員会にこれらの意見を会議に提出し、よりよいBCP策定、策定に活かしていく。