講演情報

[15-O-P209-03]電子カルテにおける記録件数と意識の向上

*小坂 匠1、小林 淳子1 (1. 愛知県 医療法人 杏園会 介護老人保健施設トリトン)
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電子カルテ導入により介護記録に定型文の使用が89%あり、記録として機能していないことが危惧された。そこで詳細な記録の使用率を上げるために活動したので報告する。職員により件数の偏りがあるため、要因を3つに絞り対策を実施した。その結果、詳細な記録を40%にする事が出来た。目標には届かなかったが持続する事で向上が示された。電子化への抵抗が減り、新たにICT事業の取り組みを始める事に繋がったので報告した。
【はじめに】
「介護記録」=提供した介護サービスの内容や利用者の様子などを文字で記録に残すもの
これは電子化に苦悩する、現場の奮闘記である。
【目的】
電子カルテを導入し1年が経過したが、介護記録に定型文の使用が多くみられた。調べてみると詳細な記録は11%と少なく、残りの89%が定型文の使用だとわかった。
このままでは利用者の様子が伝わらず記録として機能しなくなることを危惧し、詳細な記録の使用率を上げるために活動したので報告する。
【方法】
詳細な記録が少ない原因として、職員別で記録件数に大きな偏りがみられた。偏る要因として考えられるポイントをフロアで話し合い抑えることにした。
1)教育不足=記録の大切さと書き方を知らない
2)使い方がわからない=システムの便利機能を知らず面倒になっている
3)業務化されていない=「誰が」「いつ」「どのように」が決まっていない
上記が問題として上がり、下記の対策を実施する
1)記録について施設内研修の実施
2)電子操作のマニュアル追加
3)業務マニュアルにチェック項目の追加
目標を詳細な記録44%に設定し着地点を明確に経過の確認を行う。
約半年で記録を36%まで向上することが出来たが、目標に届かないため再度対策の見直しを行い、さらなる上昇を促す。
集計したデータを個人とカンファレンスで報告することで個人差を可視化できるようにした、また入力に必要な時間の見直しを行い入力しやすい環境を整えた。
【成績】
結果、詳細な記録を40%まで引き上げることが出来た。
【結論】
目標値に届いていないが対策の持続と見直しを行うことで記録件数と質の向上が見込めることが示された。
今回の活動を通して電子化への抵抗が減り、LIFE・生産性向上・自立促進などのICT事業を取り組むきっかけに繋がったのである。
挑戦し次世代につなげる、そのために私たちはいつまでも進化し続けます。これは始まりにすぎないのですから