講演情報

[15-O-P209-04]外国人介護人材のマッチングと育成滋賀県国際介護・福祉人材センターの運営に関わって

*張 シンイ1、東  宗樹1 (1. 滋賀県 全国老人保健施設協会 滋賀県支部)
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滋賀県では、介護人材確保の為、滋賀県・各福祉団体が協力の元、滋賀県国際介護・福祉人材センターを設立。(県委託事業として滋賀県介護老人保健施設協会が運営)外国人介護人材のマッチング(技能実習・特定技能・留学)・育成を実施し、その中での取り組みや経緯を報告します。
【はじめに】当センターは、滋賀県・各福祉団体が協力の中、令和4年に技能実習・特定技能・留学制度の外国人介護人材のマッチングと外国人介護人材のスキル向上を図る研修事業を兼ねたセンターとして立ち上がりました。私は中国四川省にある送り出し機関の職員として働いている時、日本の滋賀県で当センターを立ち上げる事を聞き、もともと日本で働く事を希望していた事やセンターの目的「外国人人材にとっても事業者にとっても地域にとっても良い取り組みにしたい、介護業界を楽しくしたい」というセンター長の目的・目標に共感し日本で働く事を決めました。私がこのセンターに勤務し、外国人介護人材のマッチングや支援、また、研修事業を通じて介護・日本語教育の育成、日本での生活で感じたことを報告します。【背景と目的】日本では介護人材の不足は喫緊の課題です。人材確保の為に紹介会社等に多額の費用を投じたり、日本の人口減少・介護の仕事のイメージなど人材確保には様々な問題を抱えている状況です。センターとしては、外国人雇用の費用軽減を図る事や日本の介護人材としてより良い人材確保(送り出し機関・日本語学校の選別)や育成の為、県や各福祉団体と協力体制の中で運営しております。もともと、日本以外のアジアでは、日本のような介護はほぼありません。家族が診る事が普通です。日本の昔もそうだったと思います。しかし、日本では人口減少や社会成長等により家族が介護する事が困難になっています。このような日本の介護の状況・仕事を外国人人材にも理解してもらい、その中でマッチングを実施し日本に来た外国人介護人材の育成や生活の支援にあたっています。【考察】令和6年6月時点で、滋賀県内の事業所には、技能実習では71人、特定技能では25人、留学生6人、6か国のマッチングを実施しており現在支援しています。また、今年年末までに54名が入国予定になります。当初は中国が中心として技能実習での希望が多かったが、1年前からはタイ・ミャンマー・ネパール・フィリピン等の特定技能での採用希望が増えている状況です。支援を実施し、事業所からは、「仕事に対して一生懸命」「職場が明るくなった」「安定した人材確保に繋がった」「日本職員の意識向上につながった」などの良い声を聞きました、しかし、「日本語能力が思っていた以上に低い」「介護記録や申し送りが困難」「生活支援の負担がある」「受け入れ費用負担が大きい」などの困った声も聞きました。外国人介護人材からは、「介護の仕事は楽しい」「職員さんは優しい」「利用者さんと話すことは楽しい」などの良い声も多くありますが、「関西弁がわからない」「質問したが答えが曖昧でわからない」「早口で聞き取れない」などの日本の言葉や文化の違いの問題もあります。また、その国文化や個人の寂しさ等により、母国に一時帰国したい、帰りたいなどの問題もありました。センターの支援として、事業所と本人としっかり話し合い、事業所に国の文化の理解や本人にも日本の文化や就労の理解を求めお互いの信頼関係を深める為の支援を実施したり、他の事業所で上手く実施できている業務や指導例、センター職員の中で介護分野で長く就労されている方の助言等を実施し、様々な問題解決に向けて支援を実施しています。また、外国人介護人材を受け入れる為に、入国前から業務の改善や工夫、日常生活支援の工夫や補助などの助言も行っております。滋賀県では住居確保の問題があり、今後、県や様々な機関と連携してこの問題の解決に繋がればと思っています。そして、センターとしては外国人介護人材のスキル向上を図り長く就労してもらう為に、外国人介護人材の日本語教育や介護の研修を能力別にエントリー・アドバンス・ベーシック研修を実施し、将来、介護リーダーを育成できればと思っております。また、交流研修、BBQ交流会やスポーツ交流会なども実施し、沢山の繋がりをつくり生活の安心に繋がればと思っております。今年度からは、介護福祉士国家資格取得に向け国家試験対策や模試試験も実施しています。外国人人材にとって介護福祉士取得は在留ビザを取得でき日本の介護の仕事をして最大のメリットと感じています。【まとめ】世界の人材は、まず、世界で取り合い日本の中でも職種・都道府県で取り合います。今後、良い人材をマッチング・育成を実施していく為に、まず、選ばれる県・施設にならなくてはならいと思います。センターとしては送り出し機関・日本語学校等の選出が大事と思っています。費用面もありますがどのように教育しているか人材をどのように思っているかが送り出す側として大事と思われます。そして、介護人材として長く働いてくれる為には、事業所・センター・本人の信頼関係が必要です。その為には、3者が色々話しお互いの文化・生活を理解していくことが大事です。安心した生活を送ってもらい、また、研修や教育をしていくことで将来の目標を持ってもらえる事も大事です。【結語】センターとしてマッチングを実施し支援していく中で介護の仕事は人が人を見る仕事だと感じます。日本人、外国人との違いを見るのではなく、外国人も一人の人なのだと見ることで、施設の介護の質は保たれるのではと思っております。新規の事業所からは「どこの外国人が介護にむいていますか?」と聞かれます。先ほど言ったようにどの国ではなくどの人かと思っております。センターとして今後も良い人材のマッチング・育成に繋げる為に、県や各福祉団体と協力の中で運営していき滋賀県で長く働いていただけ安心して楽しく生活していただけるように支援していき将来介護リーダーとして育っていってもらいえればと思っております。その取り組みで少しでも地域の福祉・介護を支える事に繋がればと思っております。