講演情報

[15-O-P209-07]介護現場のハラスメント対策義務化に伴う体制作り

*鶴田 敦之1 (1. 愛知県 安城老人保健施設)
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介護現場におけるハラスメント対策として、事業主の方針等の明確化や相談体制の整備等の雇用管理上の措置を講じることが義務づけられたが、当施設では、以上を必須と把握はしていたものの、何から手を付ければ良いか模索している間に時間だけが経過してしまっていた。ただ、今回の演題発表のテーマに掲げることで第一歩を踏み出したためその途中経過を報告する。
【はじめに】
令和3年度介護報酬改定では、介護現場におけるハラスメント対策として、介護事業者の適切なハラスメント対策を強化する観点から、全ての介護サービス事業者に、男女雇用機会均等法あるいは労働施策総合推進法におけるハラスメント対策に関する事業者の責務を踏まえつつ、事業主の方針等の明確化や相談体制の整備等の雇用管理上の措置を講じることが義務づけられた。当施設では、以上を必須と把握はしていたものの、何から手を付ければ良いか模索している間に時間だけが経過してしまっていた。ただ、今回の演題発表のテーマに掲げることで第一歩を踏み出したためその途中経過を報告する。
【過程】
令和5年9月 施設内においてハラスメントをテーマとした勉強会を行い、基礎知識の確認として介護現場におけるハラスメントにはどのようなものがあるかと当施設のハラスメント防止規程(素案)を読み上げて周知を行った。
令和5年10月~ 月1回開催の役職者(施設長・事務長・次長・看護介護部長・通所主任・リハビリ主任・調理部部長及び当施設併設他事業所 居宅介護事業所・訪問看護ステーション・包括支援センターの各所長)による会議内で、ハラスメント防止規程における項目等の確認、研修会の内容・方法等の確認、相談窓口の検討、相談対応・解決処理の手順の検討、相談票様式の検討等を議論した。
令和5年12月 以前よりパワハラ対応に悩んでいたある部署で、役職者会議にてハラスメントを議題として取り上げ出した同時期に、その部署全員にアンケートを実施し、パワハラを受けたと感じたまたは見たあるいは相談を受けたと回答した職員が16名中7名いた。以前より部署長が行為者にはその行為を確認した時に都度話しをしていたが、行為は繰り返されていた。ただ、アンケートを行ったことや役職者会議にて議論等を始めたことで、施設全体でハラスメントについて取り組んでいることを感じて行為を抑えるようになっていた。また、パワハラを受けたと感じたと回答した職員は、話しが大きくなることを心配していたためそのまま見守ることとした。
【結果】
今回は、第一段階として役職者会議にてハラスメントを議題として取り上げ、基本的な知識の確認、役職者としてどのように学んでいけば良いかを話し合い、まずは厚労省のハラスメント対策の総合情報サイトあかるい職場応援団内の動画を活用し自己啓発に努めてきた。また、厚労省の事例等を参考に防止規程の作成をし、施設内でこの問題が起こった場合の対応方法等流れの確認、相談票様式作成を行ってきた。以上の経過により役職者会議にて話し合い検討したことで役職者には定着したように感じる。現在は作成した規程や方針・相談の流れを図示したフローチャートを各部署に配布し、職員が見える場所に掲示をした。今後は、施設全体職員一人一人に定着を図り、社内全体で良い組織風土を築くきっかけにしていきたい。
【おわりに】
今回は、充分な話し合いや検討の時間的な余裕がなかった部分もあったが、何でも話せる、相談出来る上司・同僚が存在するということが働きやすい職場環境につながっていくと感じている。今後も今回のこれまでの取り組みに留まらず、見直し・改善を繰り返し、風通しの良い働きやすい職場環境の実現に努めていくことがサービスの質の向上にもつながっていくと信じ進めていきたい。