講演情報

[15-O-O004-07]身寄りのいない方の施設受け入れ支援症例を通してマニュアル作成

*上原 久1、高江洲 恵1 (1. 沖縄県 介護老人保健施設 池田苑)
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目的:身寄りのない方のケースをスムーズに受け入れることだがそれができていなかった方法:入所するリスクをいくつか考えて試しに受けてみようとの考えになった結果:マニュアルを作成したら思いのほかリスクを防げると思った考察:フローチャート的なマニュアルを作成し、インテークの時点でそれを活用することで、受け入れがスムーズになるのではないかと考えた
【はじめに】現在の社会的背景において核家族で超高齢化社会を迎えることから身寄りのいない(キーパーソンがいない)というケースが増えると思われる。このようなケースは、支払いに対するリスクや相談が難航するリスクが考えられ、当苑でも入所検討の結果“不可”となる場合がほとんどだった。今後受け入れるにあたってどのようなリスクがあるかを具体的に考え、マニュアル化し今後それに基づきスムーズな受け入れに繋がることが出来るよう考え、まとめた。また、1症例受けてみたので今現在の状況及び症例報告する。【症例】令和5年3月20日某病院より身寄りのいない方の入所相談あり。苑としてはリスクが多く、否定的な考えを持っていたが、どうすれば受け入れが出来るかを検討し、入所調整することとなった。<入所にあたって考えられるリスクとその検討結果>1急変時、急逝時の対応→急変時は救急搬送し治療に関しては病院側の判断にゆだねていく。搬送時は後見人などの連絡先を記載したシートをあらかじめ準備し、病院側へ情報提供する。急逝時は保護課、後見人と連携して対応。2金銭の管理→後見人管理3キーパーソンの役割(契約、私物の準備等)→後見人により契約。私物に関しては後見人と調整<受け入れ後の結果・経過>ご本人の意思決定が困難な方のため、今後の方向性について意思の確認が難しい状況であった。方向性は有料老人ホームなどの施設ではあるが、重介護者であることから、当苑での療養生活が長期化する事は予測された。継続判定会議では【人生の最終段階におけるプロセス】に基づき各職種間で相談し、話し合った結果を成年後見人に報告し現在に至る。不安な点としては、その会議における第三者の関わりを持てていない事。行政(包括、保護課、後見人)に会議などの参加が出来ないか依頼したが、協力が得られなかった。今後はこの不安に対し、1.法人内の社会福祉士に参加依頼する。2.他の老健相談員等に参加依頼する。などを検討中である。【考察】今回の1症例を通して考えられたリスクを参考に、フローチャート的なマニュアルを作成し、インテークの時点でそれを活用することで、受け入れを断ることがなくなるのではないかと考えた。マニュアルの作成にあたっては、医療用ガイドライン(*1)を参考に、池田苑に合わせた内容で作成した。【結果・まとめ】マニュアル作成後の入所相談がまだないため、活用に至っていない。今後は行政と連携していく事や、マニュアルに無い想定外の対応などを改善しつつ、間口を広げた地域の中の池田苑でありたい。【参考】*1「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」