講演情報
[15-O-O006-06]車椅子用離床センサーを導入して
*安田 幸1、新久 理恵1、畑野 真希1、沖 修一1 (1. 広島県 老人保健施設べにまんさくの里)
目的:車椅子からの立ち上がり、歩行に伴う転倒・骨折に車椅子用離床センサーの有用性を検討。方法:車椅子用離床センサーを3名の入所者に使用し、歩行の頻度を検討。結果:車椅子からの立ち上がりの頻度に大きな差異は見られなかったが、歩行もみられなかった。考察:センサーが鳴るので、すぐにかけつけることができ、入所者が一人で歩くことはなくなった。結論:車椅子用離床センサーは車椅子利用者の転倒予防に有用であった。
【目的】
介護老人保健施設では認知症高齢者の入所者が多いことから、介護する側の意図が伝わりにくいのが現状である。当施設では約7割の入所者が日常的に車椅子を使用している。したがって車椅子利用者が、不意に立ち上がることもしばしばみられ、転倒に繋がることもある。このため当施設では車椅子用離床センサー(以後センサーと省略)を導入し、急な立ち上がり・歩行を予防することを試みた。センサーを導入する前と導入した後で、車椅子から立ち上がり歩行する頻度を観察し、転倒予防に関係したか否かを検討した。当施設では車椅子も含め身体抑制は行っていない。
【方法】
車椅子用離床センサー3台導入した。対象は、過去に転倒・骨折経験のある2名と車椅子使用中に立ち上がりが多い1名の3名とした。3名は全員認知症と診断されていた。
入所者A:足の痛みがあり、歩くのは難しいが、本人は歩けると思っている。前回の入所までは馬蹄型歩行器で歩行していた。過去の当施設入所中、転倒による骨折が認められた(1回目左手舟状骨骨折2回目右腓骨遠位裂離骨折3回目右大腿部頚部骨折)。今回の入所より車椅子使用となった。ブレーキ操作曖昧な為自動ブレーキ付車椅子を使用した。
入所者B:歩行は難しいが、1人でトイレには行けるレベルである。以前より移動は車椅子を使用しており、ブレーキ操作曖昧な為、自動ブレーキ付車椅子を使用した。入所前はショートステイを月に2回程度利用しており、ショート中に数回転倒はあったが、骨折等はなかった。入所後、トイレにて転倒し、恥骨骨折をきたした。
入所者C:何かを持てば歩行はできるレベルである。入院前はシルバーカー歩行していたが、胆嚢炎で入院後、筋力低下となり、入所時は車椅子使用となった。ブレーキ操作曖昧な為自動ブレーキ付車椅子を使用した。
センサー使用の前後で車椅子から立ち上がり歩行する頻度を検討した。
観察期間は、入所者Aは入所開始から立ち上がりと歩行が数回あったので、導入前1週間と導入後3か月とした。入所者Bは転倒後1ヶ月位で車椅子移乗が可能になったので、導入前1ヶ月と導入後3ヶ月であった。入所者Cは導入前2ヶ月と導入後3ヶ月実施した。入所者が立ち上がっている場合、あるいは立ち上がりそうになった場合は件数として数えなかった。センサーは、その場で知らせるメロディタイプ(センサー内臓車いす用クッション αPLAFクッション極)と、離れた所に受信機を置く専用受信機タイプ(座コール・ハイパー)の2種類を使用した。メーカーはいずれもテクノスジャパンであった。
【結果】
入居者Aにおいては、入所日より立って歩くことが毎日あったが、センサー使用後は、すぐに気付くことができたので、歩行は合計0回に減少した。
入居者Bはセンサー使用前は合計2回 トイレ内での座り込みがあった。センサー使用後は座り込み等みられなかったが、トイレに座っていたり、ベッドに移乗していることはあった。
入居者Cはセンサー使用前は立ち上がりが1~7回/日、歩行は合計10回程度あった。センサー使用後、立ち上がりにはさほど変動はないが、センサーに対応できており、1人での歩行は0回に減少した。いずれも転倒・骨折はセンサー導入後で0回に減少した。
【考察】
認知症高齢者の入所者を多く抱える老健施設では、転倒とそれに伴う骨折に代表される外傷は大きな問題である。特に歩行障害がみられる入所者は、車椅子で移動することが多い。当施設では一般に抑制を行っていないことから、施設職員が傍にいない状況で急に立ち上がり、歩行を行い転倒するケースもみられる。今回の観察では、限られた人数ではあるが、車椅子用離床センサーを導入し、その効果を検討した。その結果、車椅子から立ち上がって歩行する頻度は明らかに減少していた。これらのことから、車椅子からの急な立ち上がり、歩行に伴う転倒・骨折などの外傷は減少していた。
センサーを使用するまでは、常に対象入所者の居場所確認が必要だったが、センサーが鳴ることにより、すぐにかけつけることができるようになり、離れて他の業務にあたることが可能となった。対象入所者が立ち上がっていたとしても、音がよく聞こえるので、歩行に至るまでに駆けつけることができ、結果的に一人で歩くことはなくなった。
介護量としては、頻回にセンサーが鳴るたびに駆けつけなければならいため、センサー使用前後で大きな変化はなかった。
【結論】
車椅子用離床センサーは車椅子からの立ち上がり、歩行に伴う転倒の予防に有用であった。
介護老人保健施設では認知症高齢者の入所者が多いことから、介護する側の意図が伝わりにくいのが現状である。当施設では約7割の入所者が日常的に車椅子を使用している。したがって車椅子利用者が、不意に立ち上がることもしばしばみられ、転倒に繋がることもある。このため当施設では車椅子用離床センサー(以後センサーと省略)を導入し、急な立ち上がり・歩行を予防することを試みた。センサーを導入する前と導入した後で、車椅子から立ち上がり歩行する頻度を観察し、転倒予防に関係したか否かを検討した。当施設では車椅子も含め身体抑制は行っていない。
【方法】
車椅子用離床センサー3台導入した。対象は、過去に転倒・骨折経験のある2名と車椅子使用中に立ち上がりが多い1名の3名とした。3名は全員認知症と診断されていた。
入所者A:足の痛みがあり、歩くのは難しいが、本人は歩けると思っている。前回の入所までは馬蹄型歩行器で歩行していた。過去の当施設入所中、転倒による骨折が認められた(1回目左手舟状骨骨折2回目右腓骨遠位裂離骨折3回目右大腿部頚部骨折)。今回の入所より車椅子使用となった。ブレーキ操作曖昧な為自動ブレーキ付車椅子を使用した。
入所者B:歩行は難しいが、1人でトイレには行けるレベルである。以前より移動は車椅子を使用しており、ブレーキ操作曖昧な為、自動ブレーキ付車椅子を使用した。入所前はショートステイを月に2回程度利用しており、ショート中に数回転倒はあったが、骨折等はなかった。入所後、トイレにて転倒し、恥骨骨折をきたした。
入所者C:何かを持てば歩行はできるレベルである。入院前はシルバーカー歩行していたが、胆嚢炎で入院後、筋力低下となり、入所時は車椅子使用となった。ブレーキ操作曖昧な為自動ブレーキ付車椅子を使用した。
センサー使用の前後で車椅子から立ち上がり歩行する頻度を検討した。
観察期間は、入所者Aは入所開始から立ち上がりと歩行が数回あったので、導入前1週間と導入後3か月とした。入所者Bは転倒後1ヶ月位で車椅子移乗が可能になったので、導入前1ヶ月と導入後3ヶ月であった。入所者Cは導入前2ヶ月と導入後3ヶ月実施した。入所者が立ち上がっている場合、あるいは立ち上がりそうになった場合は件数として数えなかった。センサーは、その場で知らせるメロディタイプ(センサー内臓車いす用クッション αPLAFクッション極)と、離れた所に受信機を置く専用受信機タイプ(座コール・ハイパー)の2種類を使用した。メーカーはいずれもテクノスジャパンであった。
【結果】
入居者Aにおいては、入所日より立って歩くことが毎日あったが、センサー使用後は、すぐに気付くことができたので、歩行は合計0回に減少した。
入居者Bはセンサー使用前は合計2回 トイレ内での座り込みがあった。センサー使用後は座り込み等みられなかったが、トイレに座っていたり、ベッドに移乗していることはあった。
入居者Cはセンサー使用前は立ち上がりが1~7回/日、歩行は合計10回程度あった。センサー使用後、立ち上がりにはさほど変動はないが、センサーに対応できており、1人での歩行は0回に減少した。いずれも転倒・骨折はセンサー導入後で0回に減少した。
【考察】
認知症高齢者の入所者を多く抱える老健施設では、転倒とそれに伴う骨折に代表される外傷は大きな問題である。特に歩行障害がみられる入所者は、車椅子で移動することが多い。当施設では一般に抑制を行っていないことから、施設職員が傍にいない状況で急に立ち上がり、歩行を行い転倒するケースもみられる。今回の観察では、限られた人数ではあるが、車椅子用離床センサーを導入し、その効果を検討した。その結果、車椅子から立ち上がって歩行する頻度は明らかに減少していた。これらのことから、車椅子からの急な立ち上がり、歩行に伴う転倒・骨折などの外傷は減少していた。
センサーを使用するまでは、常に対象入所者の居場所確認が必要だったが、センサーが鳴ることにより、すぐにかけつけることができるようになり、離れて他の業務にあたることが可能となった。対象入所者が立ち上がっていたとしても、音がよく聞こえるので、歩行に至るまでに駆けつけることができ、結果的に一人で歩くことはなくなった。
介護量としては、頻回にセンサーが鳴るたびに駆けつけなければならいため、センサー使用前後で大きな変化はなかった。
【結論】
車椅子用離床センサーは車椅子からの立ち上がり、歩行に伴う転倒の予防に有用であった。