講演情報

[15-O-O006-07]離床センサー付き電動ベッド導入後の効果について

*杉山 亮子1、山本 芳紀1、高見 朋美1、高橋 知里1 (1. 岐阜県 岐阜リハビリテーションホーム)
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当施設では新規入所者に離床センサーを使用する頻度が増えている。クリップ式やマット式センサーで転倒防止に努めている。設置方法や管理など負担となっている。令和6年5月より離床センサー付き電動ベッド39台導入した。センサー利用者は、離床センサー付き電動ベッドに移行した。導入2か月後、介護職と看護師に使用感や負担感についてのアンケート調査を行ったので、離床センサー利用者の導入前後の転倒状況と合わせて報告する。
【はじめに】
当施設では、近年新規入所者における認知症割合の増加、介護度の増加に伴って離床センサーを使用する頻度が増えてきている。クリップ式離床センサー、マット式離床センサー(以下:旧離床センサー)など多様な離床センサーを駆使して転倒防止に努めているが、設置方法や管理など介護・看護職にとってかなりの負担となっているのが現状である。令和6年5月より離床センサー付き電動ベッド(以下:新離床センサー)39台を導入した。旧離床センサー利用者は、新離床センサーにすべて移行した。導入してから2か月後に、介護職と看護職に使用感や負担感についてのアンケート調査を行ったので、当施設の離床センサー利用者の導入前後の転倒状況と合わせて報告する。
【方法】
新離床センサー導入後2か月経過して、介護職と看護職に対して導入後の使用感や負担感についてのアンケート調査を行った。質問(1)クリップ式やマット式センサーに比べて設置が楽になったか。質問(2)クリップをどこに付けるか、マットをどこに置くか等の申し送りが楽になったか。質問(3)使用中の離床センサーの不具合が少なくなったか。質問(4)利用者に気づかれずに設置ができるため、自尊心を傷つけず自分の気持ちが楽になったか。質問(5)新離床センサーの管理が楽になったかの5つの質問を-5から5までの11段階評価とした。また、離床センサー付き電動ベッドを導入してよかったかをはい又はいいえで回答し、さらに自由記載を設けた。アンケート回答者は介護職16名、看護職6名の計22名に実施した。また、導入前後2か月間の離床センサー利用者の転倒状況を比較した。
【結果】
アンケートは22名中22名の回答で回収率は100%であった。各質問の平均値は質問(1)2.5質問(2)3.4質問(3)1.7質問(4)4.2質問(5)3.5であった。新離床センサーを導入してよかったかは全回答者がはいと答えた。質問中には、新離床センサーに慣れていないため設定に迷うことや、夜間になりすぎるという意見が多く挙がった。導入前後2か月のセンサー利用者の転倒状況では、導入前(3月・4月)の転倒件数は合計4件、導入後(5月・6月)の転倒件数は合計0件であった。新離床センサー導入後は転倒はなかった。
【考察】
アンケート結果より全ての質問に対して概ね楽になったという回答が得られた。特に質問(2)、(4)、(5)に関しては楽になったという度合いが高かった。しかし、質問(1)、(3)に関しては楽になったものの度合いは低かった。質問(1)に関しては、最初の設定に迷うという意見があった。そういった利用者はリハビリ職に身体状況などを確認して、より一層連携を強化し設定を決めていく必要がある。また質問(3)に関しては、夜間センサーが鳴りすぎるという意見があった。夜間センサーが鳴りすぎるということは、機械の設定の問題もあるが、体動が多くしっかり眠れていないということも考えられる。そういった利用者に対しては夜間の睡眠・排泄状況、また精神状況なども把握し、個別に対応していく必要がある。今回新離床センサーを導入して、介護・看護職の負担軽減に繋がったことはとてもよかった。今後も職員の負担軽減のための、介護機器の導入やICT化などを検討していきたい。また導入後のフィードバックを行っていく必要があると考える。