講演情報

[15-O-J004-05]嚥下食形態一覧表の活用

*前田 美穂1 (1. 福井県 坂井ケアセンター)
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病院や他の施設から入所された方の食事形態が、当施設でも同じかどうかの判断に時間がかかっていた。近隣施設40か所の嚥下食形態一覧表を情報共有できるツールとして活用することで正しく引き継ぐことが出来るようになったので報告する
【はじめに】
摂食嚥下に課題を抱えた人が増加している現状はどの地域でも同じだろう。常食・常菜を召し上がる方よりも刻み食やミキサー食を召し上がる方の割合は多い。他の施設から当施設に入所される時に栄養情報提供書が施設間で受け渡されたとしても、スムーズに食事箋に記入出来るとも限らない。
病院や施設から入所された方の食事形態や水分のとろみ具合が、入所されてすぐには不明確で、電話で確認することが以前は多かった
栄養管理連絡票を運用するようになり、どのような種類の食事を食べていたのかが判っても、他の施設での「きざみ食」が当施設のそれと全く同じ形態かどうかはわからない。
また、当施設から急に入院になった場合も、こちらに食事内容の問い合わせなどの電話がかかってきたりする。そのため相手方の対応を若干遅らせてしまうこともあった。
現場の管理栄養士からのそんな声を聞き、当施設のある坂井市を統括する坂井健康福祉センターが中心となり、令和5年5月より管轄内の病院や施設に情報提供を呼びかけ一覧表が出来上がった。また1年が経過し、変更がないかを改めて各施設に問い合わせがあり再度提出することになる。Teamsでこのファイルを共有することで、修正したい時に修正できるようになった。
【一覧表作成の流れ】
 主食の名称、副食の名称、大きさ、写真、使用する増粘剤の種類、分類コードではどこに該当するのか等、例を参考にしながら入力した。イメージ写真が添付されてあり、比較しやすかった。自分の施設の形態がどの区分に該当するのかを確認しながら、委託会社の栄養士と協力し合い写真撮影しファイルに添付した。
【結果】
 当施設に入所される前の食事形態を一覧表で確認すると、当施設ではどの形態に該当するのかがすぐわかるようになり、厨房への連絡も早く出来るようになった。入所してすぐの食事形態変更もなくなった。
病院からの栄養管理連絡票にはその病院独自の食事形態一覧表(写真入り)が添付されており一目で確認することができる。そこで当施設独自の一覧表も写真入りで作成し添付することにした。
40施設の食形態が載った一覧表は管理栄養士だけでなく、居宅のケアマネージャーと管理栄養士の合同研修会が開催された時にも参考資料として使われ、ケアマネージャーからはサービスを提供する際に役に立つとの声があった。
【最後に】
施設間の栄養情報を共有することで、生活する環境が変わってもその方に合ったものが速やかに提供できるようになった。今後も情報共有を継続して栄養状態の改善や誤嚥性肺炎の予防にもつなげていき、質の高い栄養管理を目指していきたい。