講演情報
[15-O-J004-06]ミールラウンドチームの取り組み摂食嚥下障害へのアプローチ
*永井 喜和1、清野 早優花1 (1. 神奈川県 介護老人保健施設衣笠ろうけん)
施設での摂食嚥下機能低下への対応方法としてグループ内のリソースを活用しながら結成したミールラウンドチームの活動報告をする。実際に対応した入所者での2事例、施設と地域を繋いだ短期入所利用者の事例から考える。外部の歯科医師との連携強化により、食と口腔内環境の密接な関係性の理解が進んだ。口腔・リハ・栄養の一体的な連携をより具体的に実践していく必要性を感じることができた。
【はじめに】
高齢者の増加に伴い、摂食嚥下機能低下の対応に難渋するケースも多くなっている。今回グループ内のリソースを活用しながら老健として摂食嚥下にアプローチし、摂食嚥下障害に対応するシステムの構築に至ったケースに考察を加え、報告する。
【事例紹介】
施設入所
80代女性 要介護5
既往歴 パーキンソン病 頚椎症性脊髄症 認知症 高血圧症過活動性膀胱
自宅と施設を一定期間で往復しながら生活を送っていたが、病状の進行や認知機能低下により食事量・体重の減少を認めていた。嚥下機能評価や義歯の調整、先行期への介入を行いながら食事量を確保してきた。全粥・刻み食から米飯・一口大に変更することなど本人の咀嚼機能と嚥下機能の維持を図りながら体重の増加に努めたケース。
80代男性 要介護4
既往歴 慢性硬膜下水腫術後 正常圧水頭症シャント術後 認知症 誤嚥性肺炎 低カリウム血症 高血圧症 急性呼吸窮迫症候群 低体温症 胃潰瘍
2024年4に施設に入所。入院中から誤嚥性肺炎予防のため1回の摂食量調整のためスプーンの大きさを調整しており、施設に移られてからも対応を継続した上で摂食姿勢へのアプローチを開始した。嚥下機能評価では嚥下のタイミングがずれていることが確認されていた。常に咽頭に水分や食物が溜まってしまうことが見られており、摂取困難なことが続き同年6月には入院し、腸瘻を経由し胃瘻至ったケース。
短期入所
80代女性 要介護2
既往歴 進行性非流暢性失語 ラクナ梗塞 認知症 腎盂腎炎敗血症 摂食嚥下障害 意識障害 腰部脊柱管狭窄症 両変形性膝関節症 廃用症候群
2021年衣笠ろうけんから在宅復帰を果たし、自宅での生活を送りながら定期的な短期入所療養介護を利用していたが、2023年5月頃より摂食嚥下機能の低下並びに体重減少が確認された。施設の管理栄養士との相談をし、訪問栄養の介入を提案する。その後も定期的に短期入所を利用されるが、都度体重の減少が目立っていた。更に摂食が困難になる事例が続き、同年7月のミールラウンドを通して、このケースを相談する。家族、ケアマネとの相談を重ね訪問歯科の導入にも至った。歯科医師の助言のもと摂食嚥下の方法を検討し、短期入所中に経口摂取を支援した。
【結果】
どのケースにおいても体重の持続的な低下により、嚥下機能も悪化。食事への意欲はあるものの、摂食動作が難しいこと、嚥下能力の低下が重なるという体重減少のサイクルが進んでしまった。各ケースを通して歯科医師との連携が強化され、施設内での取り組みが進み、経口摂取の大切さに触れることもでき、経口維持に関する加算算定にも至った。
【考察】
2024年度介護報酬改定では口腔・リハ・栄養の一体的連携が求められている。各介護サービスがその専門性や特異性を最大限発揮しながら利用者の状態に応じて適時適切に過不足なく提供されること、医療と介護の連携分担も踏まえながら医療と介護を一層推進する視点、ケアの質や職員の負担を適時に把握しながら取り組みの改善を図る必要がある。老健施設としての機能である在宅復帰・在宅療養支援を最大限生かし、地域包括ケアシステム構築への一助となるよう日々研鑽を重ねる重要性を改めて認識できた。
高齢者の増加に伴い、摂食嚥下機能低下の対応に難渋するケースも多くなっている。今回グループ内のリソースを活用しながら老健として摂食嚥下にアプローチし、摂食嚥下障害に対応するシステムの構築に至ったケースに考察を加え、報告する。
【事例紹介】
施設入所
80代女性 要介護5
既往歴 パーキンソン病 頚椎症性脊髄症 認知症 高血圧症過活動性膀胱
自宅と施設を一定期間で往復しながら生活を送っていたが、病状の進行や認知機能低下により食事量・体重の減少を認めていた。嚥下機能評価や義歯の調整、先行期への介入を行いながら食事量を確保してきた。全粥・刻み食から米飯・一口大に変更することなど本人の咀嚼機能と嚥下機能の維持を図りながら体重の増加に努めたケース。
80代男性 要介護4
既往歴 慢性硬膜下水腫術後 正常圧水頭症シャント術後 認知症 誤嚥性肺炎 低カリウム血症 高血圧症 急性呼吸窮迫症候群 低体温症 胃潰瘍
2024年4に施設に入所。入院中から誤嚥性肺炎予防のため1回の摂食量調整のためスプーンの大きさを調整しており、施設に移られてからも対応を継続した上で摂食姿勢へのアプローチを開始した。嚥下機能評価では嚥下のタイミングがずれていることが確認されていた。常に咽頭に水分や食物が溜まってしまうことが見られており、摂取困難なことが続き同年6月には入院し、腸瘻を経由し胃瘻至ったケース。
短期入所
80代女性 要介護2
既往歴 進行性非流暢性失語 ラクナ梗塞 認知症 腎盂腎炎敗血症 摂食嚥下障害 意識障害 腰部脊柱管狭窄症 両変形性膝関節症 廃用症候群
2021年衣笠ろうけんから在宅復帰を果たし、自宅での生活を送りながら定期的な短期入所療養介護を利用していたが、2023年5月頃より摂食嚥下機能の低下並びに体重減少が確認された。施設の管理栄養士との相談をし、訪問栄養の介入を提案する。その後も定期的に短期入所を利用されるが、都度体重の減少が目立っていた。更に摂食が困難になる事例が続き、同年7月のミールラウンドを通して、このケースを相談する。家族、ケアマネとの相談を重ね訪問歯科の導入にも至った。歯科医師の助言のもと摂食嚥下の方法を検討し、短期入所中に経口摂取を支援した。
【結果】
どのケースにおいても体重の持続的な低下により、嚥下機能も悪化。食事への意欲はあるものの、摂食動作が難しいこと、嚥下能力の低下が重なるという体重減少のサイクルが進んでしまった。各ケースを通して歯科医師との連携が強化され、施設内での取り組みが進み、経口摂取の大切さに触れることもでき、経口維持に関する加算算定にも至った。
【考察】
2024年度介護報酬改定では口腔・リハ・栄養の一体的連携が求められている。各介護サービスがその専門性や特異性を最大限発揮しながら利用者の状態に応じて適時適切に過不足なく提供されること、医療と介護の連携分担も踏まえながら医療と介護を一層推進する視点、ケアの質や職員の負担を適時に把握しながら取り組みの改善を図る必要がある。老健施設としての機能である在宅復帰・在宅療養支援を最大限生かし、地域包括ケアシステム構築への一助となるよう日々研鑽を重ねる重要性を改めて認識できた。