講演情報

[15-O-J006-01]ミキサー食の栄養量アップについて

*稲木 智恵1、杉山 莉沙1、松岡 香奈枝1、佐藤 千恵美2、吉原 杏奈2、岩田 真悠2 (1. 岐阜県 医療法人社団康誠会 介護老人保健施設 プラザ21おおの、2. 岐阜マルタマフーズ株式会社)
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食形態のコードが下がると提供栄養量が減少し、それに伴い摂取栄養量が低下してしまう問題が発生していた。そのため最も栄養量が低いミキサー食の栄養量を常食の8割程度の栄養量が含有されていることを目標にアップすることができないか試みることとした。同一食材であっても作業工程を見直しすることで、目標栄養量が達成できる料理が増加し、調理手順のミスも減らすこともできたため報告する。
【目的】
学会分類2013のコード1jに相当する食形態(当施設名称:ミキサー食)になると形態をゼリー状にするために水分を多く使用していた。そのため容量が増加し、摂取量を考慮することで提供栄養量が減少、ミキサー食提供者は全量摂取できている利用者でも摂取栄養量が低下してしまっていた。さらに食材に関係なく調理方法が同一であったため、食材により水分量・硬さが異なる問題が発生していた。摂取栄養量が低下するとサルコペニアやフレイルの原因となりQOLが低下、硬さが統一されていないものを提供することによる誤嚥のリスク等、利用者の健康に大きく影響するため、ミキサー食の提供栄養量の増加と併せて形状の安定化を試みることとなった。
【方法】
常食の5割程度だった提供栄養量を8割にする・作成者が異なっても同一の硬さとなることを目標とし、まずは食材・料理に関係なく同一だった調理方法を見直しすることとなった。使用する食材や料理別(肉・魚・芋類・葉物野菜・その他の野菜・複数の食材が使用されている料理)に食材の使用量・水分量・凝固剤の量を調整して試作、出来上がりの形態・味・量に加え、作業負担・利用者の摂取状況を確認しながら順番に作成していった。また調理従事者全員で共通の認識が持てるよう、試作した料理は試食し、形態・味・食感等を確認し、意見交換を行い、検討→試作→試食→全員の了承が得られれば提供→必要に応じて再検討を繰り返した。
【結果】
食材・料理別に調理手順・水分・凝固剤の調整を図ることで常食の8割程度の栄養量を含有する料理を提供することが可能になり、提供栄養量および摂取栄養量をアップすることができた。またより細分化・具体化された作業工程がマニュアル化されることで、硬さ等も均一化ができ、摂取介助時のむせ・誤嚥の低減が認められたことに併せ、調理手順のミスも減らすことが出来た。
【まとめ】
今回、提供栄養量の増加と硬さの安定を目標としてミキサー食の改訂を行ったが、食事提供に携わる全員で作業工程を見直し、硬さなどを検証できたことで、上記した結果だけでなく、全員が嚥下に関する知識を持ち、共通の認識を持って作業に当たれるようになった。今後も身体状況にあった推奨栄養量を、食材の風味をより感じ、美味しく、安全に提供出来るよう日々研鑽していきたい。