講演情報
[15-O-C006-01]介護職が行う褥瘡再発防止に向けた取り組み
*内山 麻理子1、吉本 智美1、淺井 八多美1 (1. 静岡県 介護老人保健施設 三方原ベテルホーム)
ブレーデンスケールの使用により介護職の褥瘡ケアの質向上を目指し、褥瘡再発を予防することに取り組んだので報告する。繰り返し褥瘡発生していた2症例について介護職がブレーデンスケールでアセスメントし、ケアプラン立案、実践、評価を行った。取り組み後、2症例とも褥瘡発生なく経過できた。介護職が主体となって取り組んだことは、介護職の褥瘡ケアの質の向上に繋がった。
「はじめに」
当施設は静岡県浜松市にある定員入所150床、通所50名。在宅復帰率83.7%、ベッド回転率15.7%の超強化型老健である。
当施設では褥瘡ケアの質向上を目的に「褥瘡マネジメント加算」の取得に取り組んでいる。多職種で、褥瘡対策に関する「スクリーニング・ケア計画書」を作成していますが、その中の危険因子の評価、いわゆる「リスクアセスメント」を介護職が担当している。
ケア計画書に沿ってケアを行なっているが、同じ利用者に繰り返し褥瘡が発生する事が度々あり、褥瘡発生の原因分析、対策の検討を行うにあたって、もっと介護職が出来る事がないかと考えた。
そこで、繰り返し褥瘡発生する利用者に対して、より丁寧なアセスメントをするためにブレーデンスケールを取り入れた。
「目的」
ブレーデンスケールの使用により介護職の褥瘡ケアの質の向上を目指し、褥瘡発生を予防する。
「方法」
・対象:繰り返し褥瘡発生していた利用者2名
・ブレーデンスケールを使用し、アセスメントからケアの計画、実践、評価。
・オムツの当て方、陰部洗浄、体位交換の勉強会を実施し、改めて基本的なケアの統一を図る。
「倫理的配慮」
個人が特定されないよう配慮し、利用者、家族より同意を得た。
「ブレ―デンスケールについて」
ふだん当施設で褥瘡マネジメント加算算定に使用している危険因子の評価項目と今回取り入れたブレーデンスケールについて、観察の視点、スクリーニングの項目について確認した。
いずれも観察の視点に差はないが、ブレーデンスケールは点数化されているためリスクが高い項目を客観視できることから、こちらを使用することにした。
なお、ブレーデンスケールは6つの項目から構成されており、それぞれの項目を1~4点で採点し、合計点数が低いほど褥瘡の発生リスクが高くなる。
「症例報告」
〇症例1
A様 要介護度5
ADL全介助。体動はあるものの姿勢保持困難なため、体位変換全介助。
体動が激しく、ベッドからずり落ちる事がある。オムツ内失禁があり、痒みのため常時オムツいじりが見られていた。A様は、今回の取り組み前の1年間で8回仙骨に褥瘡発生がみられた。
ブレーデンスケールによるアセスメントの結果から、「湿潤」「栄養状態」「摩擦とずれ」の3項目に対して対策を立てた。
「湿潤」では、オムツ内常時失禁、痒みによるオムツいじりのため、2人介助でのオムツ交換の徹底と陰部洗浄、保湿ケアを実施した。
次に「栄養状態」に関しては、食事摂取量や嚥下状態に加え、体重の変化、血液データを参考に、食事内容の見直しを行った。
「摩擦とずれ」に関しては、除圧マットからエアーマットへ変更した。
対策実施後、ブレーデンスケールは11点から14点アップし、その後の褥瘡再発はみられていない。
〇症例2
B様 要介護度5
ADL全介助。リクライニング車椅子使用。上下肢とも、拘縮が著明で、自発的な体動はない。
オムツ内失禁あり。便秘のため下剤による軟便が続いている。
B様も臀部の褥瘡が8回再発していた。
B様もA様同様、「湿潤」「栄養状態」「摩擦とずれ」の3項目の対策を立てた。
「湿潤」ではオムツ交換の時間と回数の見直し、2人介助によるオムツ交換と陰部洗浄、保湿の徹底、下剤調整を行った。
「栄養状態」では食事摂取量低下に伴い食事内容を見直した。
「摩擦とずれ」では除圧マットからエアーマットへ変更した。またリハビリ職員の助言を得てポジショニングとシーティングを見直した。
ポジショニングやシーティング方法は本人の居室壁へ掲示し、職員が統一して実施できるようにした。
B様もブレーデンスケールの点数が8点から12点と上がり、その後の褥瘡発生は見られていない。
2例とも下剤の調整を看護師に、ポジショニングなどはリハビリに、栄養面は栄養士に相談するなど多職種カンファレンスにおいて介護職が主体となって働きかけ、対策を検討した。
「考察・まとめ」
今回の取り組みを通して介護職のケアの統一を改めて図ることができた。またブレーデンスケールを使用した事でケアの優先順位や改善の有無を明確に出来た。
介護職が主体となってアセスメントし、ケアの根拠をわかりながらケアプランの立案、実践することで介護職の縟瘡ケアの質が向上したと考える。今回、2症例とも再発予防することができた。
今後の課題としては、施設としてブレーデンスケールを取り入れ、他の利用者にも広く活用していくことを検討していきたい。
当施設は静岡県浜松市にある定員入所150床、通所50名。在宅復帰率83.7%、ベッド回転率15.7%の超強化型老健である。
当施設では褥瘡ケアの質向上を目的に「褥瘡マネジメント加算」の取得に取り組んでいる。多職種で、褥瘡対策に関する「スクリーニング・ケア計画書」を作成していますが、その中の危険因子の評価、いわゆる「リスクアセスメント」を介護職が担当している。
ケア計画書に沿ってケアを行なっているが、同じ利用者に繰り返し褥瘡が発生する事が度々あり、褥瘡発生の原因分析、対策の検討を行うにあたって、もっと介護職が出来る事がないかと考えた。
そこで、繰り返し褥瘡発生する利用者に対して、より丁寧なアセスメントをするためにブレーデンスケールを取り入れた。
「目的」
ブレーデンスケールの使用により介護職の褥瘡ケアの質の向上を目指し、褥瘡発生を予防する。
「方法」
・対象:繰り返し褥瘡発生していた利用者2名
・ブレーデンスケールを使用し、アセスメントからケアの計画、実践、評価。
・オムツの当て方、陰部洗浄、体位交換の勉強会を実施し、改めて基本的なケアの統一を図る。
「倫理的配慮」
個人が特定されないよう配慮し、利用者、家族より同意を得た。
「ブレ―デンスケールについて」
ふだん当施設で褥瘡マネジメント加算算定に使用している危険因子の評価項目と今回取り入れたブレーデンスケールについて、観察の視点、スクリーニングの項目について確認した。
いずれも観察の視点に差はないが、ブレーデンスケールは点数化されているためリスクが高い項目を客観視できることから、こちらを使用することにした。
なお、ブレーデンスケールは6つの項目から構成されており、それぞれの項目を1~4点で採点し、合計点数が低いほど褥瘡の発生リスクが高くなる。
「症例報告」
〇症例1
A様 要介護度5
ADL全介助。体動はあるものの姿勢保持困難なため、体位変換全介助。
体動が激しく、ベッドからずり落ちる事がある。オムツ内失禁があり、痒みのため常時オムツいじりが見られていた。A様は、今回の取り組み前の1年間で8回仙骨に褥瘡発生がみられた。
ブレーデンスケールによるアセスメントの結果から、「湿潤」「栄養状態」「摩擦とずれ」の3項目に対して対策を立てた。
「湿潤」では、オムツ内常時失禁、痒みによるオムツいじりのため、2人介助でのオムツ交換の徹底と陰部洗浄、保湿ケアを実施した。
次に「栄養状態」に関しては、食事摂取量や嚥下状態に加え、体重の変化、血液データを参考に、食事内容の見直しを行った。
「摩擦とずれ」に関しては、除圧マットからエアーマットへ変更した。
対策実施後、ブレーデンスケールは11点から14点アップし、その後の褥瘡再発はみられていない。
〇症例2
B様 要介護度5
ADL全介助。リクライニング車椅子使用。上下肢とも、拘縮が著明で、自発的な体動はない。
オムツ内失禁あり。便秘のため下剤による軟便が続いている。
B様も臀部の褥瘡が8回再発していた。
B様もA様同様、「湿潤」「栄養状態」「摩擦とずれ」の3項目の対策を立てた。
「湿潤」ではオムツ交換の時間と回数の見直し、2人介助によるオムツ交換と陰部洗浄、保湿の徹底、下剤調整を行った。
「栄養状態」では食事摂取量低下に伴い食事内容を見直した。
「摩擦とずれ」では除圧マットからエアーマットへ変更した。またリハビリ職員の助言を得てポジショニングとシーティングを見直した。
ポジショニングやシーティング方法は本人の居室壁へ掲示し、職員が統一して実施できるようにした。
B様もブレーデンスケールの点数が8点から12点と上がり、その後の褥瘡発生は見られていない。
2例とも下剤の調整を看護師に、ポジショニングなどはリハビリに、栄養面は栄養士に相談するなど多職種カンファレンスにおいて介護職が主体となって働きかけ、対策を検討した。
「考察・まとめ」
今回の取り組みを通して介護職のケアの統一を改めて図ることができた。またブレーデンスケールを使用した事でケアの優先順位や改善の有無を明確に出来た。
介護職が主体となってアセスメントし、ケアの根拠をわかりながらケアプランの立案、実践することで介護職の縟瘡ケアの質が向上したと考える。今回、2症例とも再発予防することができた。
今後の課題としては、施設としてブレーデンスケールを取り入れ、他の利用者にも広く活用していくことを検討していきたい。