講演情報
[15-O-C008-01]「諦めないで」胃ろうから経口摂取に切り替えることが出来た取り組み
*尾関 瞳1、小林 あゆ美1 (1. 岐阜県 桜ヶ丘介護老人保健施設)
経口摂取が不可能と言われていた利用者様が経口摂取に切り替えQOLを重視した援助ができたことを報告する。3カ月程かけ、本人の全身状態の観察、多職種との関わり、家族や本人の思いを汲み取りチーム全体で関わった。今回の結果は、1日3食完全経口摂取、完全自己摂取に移行することができ、利用者様のQOLの向上やスタッフの達成感につながったと考える。一方、誤嚥、窒息のリスクが高く慎重に行わなければならなかった。
【はじめに】
私たちは、「胃ろう=口から食べられない」という固定概念を抱きやすい。しかし、今回経口摂取が不可能だと言われていた利用者様に、本人の全身状態の観察、多職種との関わりや家族や本人の思いを汲み取り、1日3食経口摂取に切り替えることができた利用者様の事例を報告する。
【事例紹介】
A様 女性 85歳 要介護度:5 病名:脳出血 既往歴:心房細動、高血圧
身体的状況:右上下肢弛緩性麻痺、日常生活自立度C2、リクライニング車イス
全失語症(「持って」「寝る」などの一語文は理解可能のため、指示動作の遂行は可能レベル)
R3年6月25日胃瘻造設。7月29日当施設入所。
【経過】
7/29入所~経管栄養注入。 R4年2月~口腔内唾液(+)空嚥下可能と歯科衛生士から情報あり。
R4年2/13~1日1口よりゼリースタート。ギャッジアップ30度。
4/7~昼のみミキサー食開始。端座位の練習開始。4月13日~ギャッジアップ90度。
5/6~介助用車いすへ変更。5/11~朝、昼ミキサー食開始。自己摂取可能へ。
5/18~1日3食経口摂取開始。
【結果】
誤嚥等予測されるリスクについては家族へ説明し、理解と同意を確認したうえで経口摂取への取り組みを開始した。3か月程かけて嚥下状況、口腔内状況、食に対する意欲など慎重に評価し、全身状態の回復及びリハビリも順調に進んだことから、無事1日3食の経口摂取に切り替えることができた。又、本人の意欲もあることから、全介助から自己摂取への切り替えにも成功した。チームケアとして医師、看護職は全身状態の観察、異常の早期発見に努め、介護職は離床時間の確保とADLの改善、毎日のリハビリ体操に関わり、一丸となって生活リハビリに取り組んだ。失語症の影響で本人の思いや考えを読み取ることは困難であったが、表情や動作などで訴えを読み取れるように信頼関係を築くように努めた。理学療法士や作業療法士、歯科衛生士など各職種の専門性を活かし、スタッフ全体が前向きに取り組んだ。又、その都度家族へ情報提供を行い、家族の意向等情報共有に努めた。
【まとめ】
食事を口から摂るという行為は、それ自体が生きる意欲を高めることにつながっていると感じる。又、言葉が上手く使うことができなくても、周囲との意思疎通を図る事が出来る様になれば、QOLを重視した生き方に繋がるのではないかと感じる。
2年経った今でも経口摂取を続けているA様の姿を見ると、スタッフ一同達成感を感じ、今後の向上心に繋がったと考える。
高齢者施設では、事故の面でも様々な所にリスクはあり、リスクを回避するために安全な生活を提供しなくてはいけない。しかし、リスクの中でも利用者様のQOLを大事にし、ニーズと課題を明確にすることで、その人らしい生活が送れるように支援していきたい。
私たちは、「胃ろう=口から食べられない」という固定概念を抱きやすい。しかし、今回経口摂取が不可能だと言われていた利用者様に、本人の全身状態の観察、多職種との関わりや家族や本人の思いを汲み取り、1日3食経口摂取に切り替えることができた利用者様の事例を報告する。
【事例紹介】
A様 女性 85歳 要介護度:5 病名:脳出血 既往歴:心房細動、高血圧
身体的状況:右上下肢弛緩性麻痺、日常生活自立度C2、リクライニング車イス
全失語症(「持って」「寝る」などの一語文は理解可能のため、指示動作の遂行は可能レベル)
R3年6月25日胃瘻造設。7月29日当施設入所。
【経過】
7/29入所~経管栄養注入。 R4年2月~口腔内唾液(+)空嚥下可能と歯科衛生士から情報あり。
R4年2/13~1日1口よりゼリースタート。ギャッジアップ30度。
4/7~昼のみミキサー食開始。端座位の練習開始。4月13日~ギャッジアップ90度。
5/6~介助用車いすへ変更。5/11~朝、昼ミキサー食開始。自己摂取可能へ。
5/18~1日3食経口摂取開始。
【結果】
誤嚥等予測されるリスクについては家族へ説明し、理解と同意を確認したうえで経口摂取への取り組みを開始した。3か月程かけて嚥下状況、口腔内状況、食に対する意欲など慎重に評価し、全身状態の回復及びリハビリも順調に進んだことから、無事1日3食の経口摂取に切り替えることができた。又、本人の意欲もあることから、全介助から自己摂取への切り替えにも成功した。チームケアとして医師、看護職は全身状態の観察、異常の早期発見に努め、介護職は離床時間の確保とADLの改善、毎日のリハビリ体操に関わり、一丸となって生活リハビリに取り組んだ。失語症の影響で本人の思いや考えを読み取ることは困難であったが、表情や動作などで訴えを読み取れるように信頼関係を築くように努めた。理学療法士や作業療法士、歯科衛生士など各職種の専門性を活かし、スタッフ全体が前向きに取り組んだ。又、その都度家族へ情報提供を行い、家族の意向等情報共有に努めた。
【まとめ】
食事を口から摂るという行為は、それ自体が生きる意欲を高めることにつながっていると感じる。又、言葉が上手く使うことができなくても、周囲との意思疎通を図る事が出来る様になれば、QOLを重視した生き方に繋がるのではないかと感じる。
2年経った今でも経口摂取を続けているA様の姿を見ると、スタッフ一同達成感を感じ、今後の向上心に繋がったと考える。
高齢者施設では、事故の面でも様々な所にリスクはあり、リスクを回避するために安全な生活を提供しなくてはいけない。しかし、リスクの中でも利用者様のQOLを大事にし、ニーズと課題を明確にすることで、その人らしい生活が送れるように支援していきたい。