講演情報

[15-O-C008-05]老健における看護師の働きがいに関する課題

*岡田 善導1、森脇 唯1 (1. 鳥取県 介護老人保健施設仁風荘)
PDFダウンロードPDFダウンロード
介護老人保健施設は施設の役割は多様化してきていることから看護師が老健施設で働くことの重要性が増している。しかし業務量の多さなどによる疲弊や病院など治療を中心としたケアから生活と治療の両方を重視したケアへの理解が不足し看護師としての機能や役割に戸惑うことも多々あると考えられる。この研究は、看護師が老健でどのような要因から働きがいを感じるかを明らかにすることを目的とした。
【はじめに】
 介護老人保健施設はリハビリテーションや地域在宅医療などの役割を担う施設として運営されているが施設の役割も多様化してきていることから看護師が老健施設で働くことの重要性が増している。しかし業務量の多さなどによる疲弊や病院など治療を中心としたケアから生活と治療の両方を重視したケアへの理解が不足し看護師としての機能や役割に戸惑うことも多々あると考えられる。
この研究は、看護師が老健でどのような要因から働きがいを感じるかを明らかにすることを目的とした。

【研究方法】
 本研究では、当法人の老健で勤務する看護師12名を対象にアンケート調査と質的なインタビューを行い、働きがいに関する主題を抽出した。また、看護師の業務内容やチームワークに焦点を当て、仕事における喜びや課題についても考察した。

【倫理的配慮】
 対象者に研究発表の趣旨や得られた情報は本研究以外には使用しないこと、不利益は生じないことを口頭にて説明した。また、発表については法人研究倫理委員会の承認を得た。

【研究の内容】
 アンケートにて看護師の働きがいに関する調査を行う。やりがいに影響する心理的要因とし(1)利用者・家族への親近感(2)利用者・家族に対する自己存在感(3)達成感(4)コントロール感(5)自己成長感(6)自己効力感を分析し、やりがいに影響する職場環境の要因としては(1)良好な人的環境(2)良好な労働条件(3)職場環境の整備を中心に調査を行った。
 インタビューにおいては収集した情報のプロセスをコード化し少しずつ概念化を試みたカテゴリーで表した。

【結果】
研究の結果、以下の要因が看護師の働きがいに寄与していることが明らかになった。
利用者との深いつながり:老健では高齢者と直接関わる機会が多く、その中での信頼関係や助け合いの場面が豊富である。利用者やその家族とのコミュニケーションを通じて、看護師は自分の仕事が直接人々の生活に影響を与えていると感じることができ、利用者と直接関わり彼らの生活に寄り添うことで、看護師はやりがいや充実感を得ることができる。
 多職種連携によるチームワーク:医師、理学療法士、作業療法士、ケアマネージャーなど、さまざまな専門家と連携することが一般的であり、協力して利用者のケアにあたることで、看護師は協力と協調の中で働く喜びを感じることができる。様々な多職種との協力が看護師の業務を豊かにし、成果を上げる要因となる。
 専門知識の活用: 老健施設での看護は、高齢者の健康状態や介護に関する知識は絶えず進化しており、新しいケアの手法や研究成果を取り入れることで看護師は自らのスキルを向上させながら成長することができる。
 個々のケアへの尊重: 老健では、利用者一人ひとりのニーズや状態に応じて個別のケアが求められる。看護師はこうした個別のケアに対して、自分の専門性を活かし、利用者に寄り添うことでやりがいを感じることができる。

【考察】
 看護師が老健で働く上での働きがいは、利用者とのつながり、チームワーク、専門知識の活用に根ざしていると考える。これらの要因を重視し、職場環境の整備とサポートが看護師のワークライフバランスと専門性の向上に寄与することが示唆された。

【終わりに】
 今回の調査では対象者も限定されており結果の分析には限界がある。今後はこの研究結果をもとに個人の達成感のみならず部署全体が成長できるようなエンゲージメントの向上につながることができる対策が必要である。