講演情報

[15-P-P201-05]ぼっけぇー えぇがぁ あいあいえん技能実習生を受け入れて

*徳永 つぐみ1、小野 栄子1、田口 真弓子1、今井 陽子1、榊原 恵理子1、中川 照恵1 (1. 岡山県 介護老人保健施設 倉敷あいあいえん)
PDFダウンロードPDFダウンロード
技能実習生を受け入れ、日々の関わり合いの中で入所者様・職員・技能実習生の変化について報告する。技能実習生は入所者様との関わり方や今後の目標などをアンケートで調査した。結果、言葉の難しさはあるが業務については高評価であった。一方技能実習生は日本の環境や習慣、言葉の違いで不安や戸惑いがある事が明確となった。見直すべき所は、受け入れ前のマニュアルや職員の心構えなど準備が必要である事と考えられる。
【はじめに】
当施設の技能実習制度を導入したきっかけは、介護業界の人手不足はもちろん、国際交流での視野が広がり、新たな発見につながるのではないかという施設の方針のもと、令和4年から2名ずつベトナムからの技能実習生を受け入れた。現在6名のベトナム技能実習生と共に介護業務を行っている。3年目に入り、最も難しいと感じているのは入所者様とのコミュニケーションである。日々の関わりの中での取り組みと、アンケートを行うことで知り得た技能実習生、入所者様、職員それぞれの変化について報告する。
【取り組み内容】
技能実習生が介護業務をしていく日常で、レクリエーションや誕生会に入所者様と共に参加する。一緒に手作業を行い、コミュニケーションを図る。職員、入所者様と外出し地域の風景に触れ、地域の方々と心を通わせ合いながら日本の文化を知る。日本のお菓子や料理作りを入所者様と行うことで、入所者様の嗜好や日本料理の奥深さを知る。
【アンケート内容】
・技能実習生には当施設に来て、嬉しい事、楽しい事、困った事、今後の目標。
・入所者様・職員には技能実習生の良い所や、どんな事をして欲しいか。アンケートで調査した。
【結果・問題点】
技能実習生からは嬉しい事、楽しい事の項目に、入所者様との会話やレクリエーションを一緒に出来ることなど、仕事に関する答えが多くみられた。困っていることには、日本語がまだ不慣れであり意思疎通が思うように行えず難しいと、不安や戸惑いを感じている。職員からは自国と日本の環境や習慣、言葉の違いがあるのにも関わらず、一生懸命働いている。わからない単語や漢字などはすぐに職員へ確認し、手を抜かずに仕事をしている。ただ、敬語が不十分な事と、日本語独自のニュアンスや方言の難しさがある。入所者様からは、一生懸命頑張ってくれている。話をすると楽しいよ。よく気が付いてくれている。ありがたい。○○さんがいないと淋しい等、普段から寄り添ってくれている。ベトナム語の会話が、自分のことを言われているのではないかと、不安に思うとの意見があった。
【考察】
技能実習生を受け入れる前は、言葉が通じるか、仕事がきちんと行えるかなど、職員からも様々な意見があった。言葉の壁や、ひらがなが読めずコミュニケーションが図りづらかった事が明確化した。又、返事はするものの自身の判断で動いている姿が見受けられ、何度も同じ事を指導する場面もあった。改善策として、日々の業務を共にゆっくりと丁寧に指導していった。今では、個々のペースもあるが業務を任せられる程に成長中である。又、入所者様に対しいつも笑顔で接している技能実習生のお陰で、入所者様自らコミュニケーションを取りにいく姿も見受けられるようになった。入所者様と一緒に編み物や、花紙丸めや壁画作成など、一緒に作り上げていくことで、信頼関係も生まれ、心の距離も縮まっている。私達職員も、一緒に仕事をしていく中で、技能実習生の一生懸命に働く姿を見て見習わなければと、気が引き締まる思いへと変わった。入所者様に対するケアや思い、言動を再度見直す機会になっていると考える。
【まとめ】
技能実習生を受け入れることで新鮮な経験が出来た。反省点として、職員間では業務マニュアルに曖昧な点があり、統一した指導が出来ず技能実習生達や職員が混乱した部分もあった。受け入れ前にはきちんとした業務マニュアルの整備、職員の心構えなど準備を行いたい。現在6名の技能実習生が在籍しているが、皆多彩な個性の持ち主なので、その個性を活かしコミュニケーションが取れる様にサポートしていきたい。介護現場での経験と技術を習得したのち、目標である介護福祉士取得に向けて私達職員が、技能実習生の手本となる存在でありたいと思う。