講演情報
[15-P-P101-07]施設と在宅を繰り返すことで笑顔を取り戻した一例
*荒川 守1、土井 さやか1、渡瀬 愛1、山名 久美子1、山岡 敦史2 (1. 広島県 老人保健施設スカイバード、2. 居宅介護支援事業所ふくだの里)
高齢、重度要介護、重度認知症でありながら、在宅生活・在宅系サービス利用・短期療養入所介護・老人保健施設入所を繰り返す事で、活動性が向上した事例を経験したため報告する。施設サービスにおいては、在宅での生活支援を目標にしたサービスを実施し、家族、在宅サービス事業者とも連携した。高齢で重度者であっても、在宅生活を支援する、老人保健施設の機能を活用する事で、生活機能の向上に寄与出来ると考えられた。
はじめに
超高齢、重度介護、重度認知症でありながら、在宅生活・短期入所療養介護・老人保健施設入所を繰り返す事で、表情が豊かになり、発語も増えた事例を経験した。
老人保健施設の在宅生活を支える機能を活用することで、どの様な状態であっても、より良い活動を支援できる事が示唆されたと考えられたため、発表を行う。
事例紹介
A氏 90歳半ば 要介護4
障がい高齢者の日常生活自立度 C2 認知症高齢者生活自立度 IIIa
基本動作:座位の保持の一部介助以外全介助
バーセルインデックス:5点 (イスとベッド間の移乗 5点のみ)
MMSE 0点/30点
既往歴 アルツハイマー型認知症 高度難聴 多発性脳梗塞 右大腿骨頸部骨折
誤嚥性肺炎 新型コロナウィルス感染症
支援経過
X年-10カ月 当施設短期入所療養介護 サービス利用開始
目的 主介護者のレスパイト(主介護者の膝・腰の疾患悪化)
要介護4 障がい高齢者の日常生活自立度 B2 認知症高齢者生活自立度 IIIb
基本動作:寝返り見守り 起き上がり全介助 座位保持見守り 立ち上がり 見守り 立位保持 一部介助
バーセルインデックス:10点 (食事一部介助 5点 イスとベッド間の移乗 5点)
MMSE 2点/30点
X年-2か月 入院
誤嚥性肺炎によりB病院入院
X年 施設入所
入所時のADL等は、現状と同様。在宅生活の継続困難
家族のニーズ:立位保持出来、トイレ誘導が可能となれば、在宅へ復帰させたい。
施設介護計画
目標:「これからもトイレで排泄ができる」
援助内容:日中トイレ誘導(夜間おむつ全介助継続)
X年+1日~11日 コロナウィルス感染対応
入所翌日に同室者がコロナウィルス発症。濃厚接触者隔離対応。
傾眠状態が増加 食事摂取量減少 朝・夕は全介助10割も昼食0割
立位困難でトイレ誘導不可にて排泄全介助おむつ対応
介護計画の変更
目標:「傾眠時間を減らすため、定期的に離床をし、生活にメリハリを持つ。」
援助内容:声を掛ける。レクリエーションの際等職員が一緒に手を持ち声掛けながら運動も行う。
結果:車いす上での傾眠状態が続く。食事摂取量さらに減少(一日1食)
栄養低下、活動低下にて褥瘡形成の怖れ出現
介護計画の再変更
目標「しっかり睡眠をとり、必要な活動の時間に起きていることが出来る。」
援助内容:#1夜間のおむつ交換をせず、睡眠を妨げない。(定期的な体位交換と巡室は実施)。#2疲労考慮し、食事介助直前での離床。#3家族による週1回の面会開始
結果:覚醒状態が良好。食事摂取可能。笑顔。「ありがとう」や「今日来たんね」の発語も増
X年+○カ月在宅復帰
家族希望:「大好きだったひ孫(同敷地内に住んでいる)に会える方が元気になるかな。ショートステイで入浴をさせてもらえるなら帰る事も検討します。」
在宅復帰の準備
退所前訪問(本人・家族・相談員・リハビリスタッフ・ケアマネジャー同行)の実施 住宅環境の確認 移乗方法・介護方法などの家族指導
2日間の外泊試行し退所
結果
現在:短期入所療養介護・施設入所の利用により、在宅生活が継続
本人:身体機能・介護状態は重度のまま変化はないが、笑顔や発語なども出る、良いと思われる状況を維持している。
考察
老人保健施設の役割は、病院からの在宅復帰に向けてのリハビリテーションを提供や、利用者にあった次の施設への橋渡しだけでなく、老人保健施設の多様なサービスを利用しながら、一人のご利用者の在宅生活を支援出来ている事例と考える。また、超高齢や、重度介護、重症認知症であっても、利用者本人に好影響が与えられる事も示唆された。
何よりも、表情が豊かになるなどの変化を職員が見られた事で、介護への意欲の向上にもつながった。在宅と施設入所を繰り返す事を支援出来た例を提示する事で介護状態の中で、在宅復帰を迷われている方への支援の後押しも出来る事例と考えられた。
超高齢、重度介護、重度認知症でありながら、在宅生活・短期入所療養介護・老人保健施設入所を繰り返す事で、表情が豊かになり、発語も増えた事例を経験した。
老人保健施設の在宅生活を支える機能を活用することで、どの様な状態であっても、より良い活動を支援できる事が示唆されたと考えられたため、発表を行う。
事例紹介
A氏 90歳半ば 要介護4
障がい高齢者の日常生活自立度 C2 認知症高齢者生活自立度 IIIa
基本動作:座位の保持の一部介助以外全介助
バーセルインデックス:5点 (イスとベッド間の移乗 5点のみ)
MMSE 0点/30点
既往歴 アルツハイマー型認知症 高度難聴 多発性脳梗塞 右大腿骨頸部骨折
誤嚥性肺炎 新型コロナウィルス感染症
支援経過
X年-10カ月 当施設短期入所療養介護 サービス利用開始
目的 主介護者のレスパイト(主介護者の膝・腰の疾患悪化)
要介護4 障がい高齢者の日常生活自立度 B2 認知症高齢者生活自立度 IIIb
基本動作:寝返り見守り 起き上がり全介助 座位保持見守り 立ち上がり 見守り 立位保持 一部介助
バーセルインデックス:10点 (食事一部介助 5点 イスとベッド間の移乗 5点)
MMSE 2点/30点
X年-2か月 入院
誤嚥性肺炎によりB病院入院
X年 施設入所
入所時のADL等は、現状と同様。在宅生活の継続困難
家族のニーズ:立位保持出来、トイレ誘導が可能となれば、在宅へ復帰させたい。
施設介護計画
目標:「これからもトイレで排泄ができる」
援助内容:日中トイレ誘導(夜間おむつ全介助継続)
X年+1日~11日 コロナウィルス感染対応
入所翌日に同室者がコロナウィルス発症。濃厚接触者隔離対応。
傾眠状態が増加 食事摂取量減少 朝・夕は全介助10割も昼食0割
立位困難でトイレ誘導不可にて排泄全介助おむつ対応
介護計画の変更
目標:「傾眠時間を減らすため、定期的に離床をし、生活にメリハリを持つ。」
援助内容:声を掛ける。レクリエーションの際等職員が一緒に手を持ち声掛けながら運動も行う。
結果:車いす上での傾眠状態が続く。食事摂取量さらに減少(一日1食)
栄養低下、活動低下にて褥瘡形成の怖れ出現
介護計画の再変更
目標「しっかり睡眠をとり、必要な活動の時間に起きていることが出来る。」
援助内容:#1夜間のおむつ交換をせず、睡眠を妨げない。(定期的な体位交換と巡室は実施)。#2疲労考慮し、食事介助直前での離床。#3家族による週1回の面会開始
結果:覚醒状態が良好。食事摂取可能。笑顔。「ありがとう」や「今日来たんね」の発語も増
X年+○カ月在宅復帰
家族希望:「大好きだったひ孫(同敷地内に住んでいる)に会える方が元気になるかな。ショートステイで入浴をさせてもらえるなら帰る事も検討します。」
在宅復帰の準備
退所前訪問(本人・家族・相談員・リハビリスタッフ・ケアマネジャー同行)の実施 住宅環境の確認 移乗方法・介護方法などの家族指導
2日間の外泊試行し退所
結果
現在:短期入所療養介護・施設入所の利用により、在宅生活が継続
本人:身体機能・介護状態は重度のまま変化はないが、笑顔や発語なども出る、良いと思われる状況を維持している。
考察
老人保健施設の役割は、病院からの在宅復帰に向けてのリハビリテーションを提供や、利用者にあった次の施設への橋渡しだけでなく、老人保健施設の多様なサービスを利用しながら、一人のご利用者の在宅生活を支援出来ている事例と考える。また、超高齢や、重度介護、重症認知症であっても、利用者本人に好影響が与えられる事も示唆された。
何よりも、表情が豊かになるなどの変化を職員が見られた事で、介護への意欲の向上にもつながった。在宅と施設入所を繰り返す事を支援出来た例を提示する事で介護状態の中で、在宅復帰を迷われている方への支援の後押しも出来る事例と考えられた。