講演情報

[15-P-J001-05]施設でのSDGsレクリエーション地域とつながる活動

*山口 阿由美1、戸川 明日香1 (1. 岐阜県 介護老人保健施設ケアポート白鳳)
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レクリエーションの一貫としてコンポストに取り組んだ活動を報告する。デイケアの利用者を中心に昼食の残食をコンポストへと投入した。また堆肥を使用した作物の成長観察を行った。その結果、食べることの大切さを話合ったり、食べ残しへの心の負担も軽減できた。畑作業がない時期でも作物を作ることの話題が出るようになった。化学肥料を使わないので環境に優しく地域貢献できると考えられる。
【はじめに】
当施設が位置する郡上市は岐阜県を代表する河川の一つ長良川の源流がある地域である。豊かな河川や山の環境を守る取り組みが市内で行われており、市内中学校でもSDGsの授業を行っている。その授業の一環で堆肥を作る作業があり、当施設ではデイケア利用者に二週間コンポストに施設の残食を入れて混ぜる作業を行って協力をした。コンポスト回収後は中学生の活動報告を見てもらい「こんな風になるの」と堆肥のその後に興味を持たれる利用者が多数いた。活動報告だけではよくわからないという意見があり、中学校の堆肥は実際に完成してからでしか見ることができないため、改めてデイケアでコンポストにチャレンジしてみることにした。

【目的】
1. レクリエーションを通しての地域貢献と地域交流
2. 食べ物を残してしまうことへの罪悪感の軽減
3. 春~秋にかけての畑づくりを、冬を含めて一年を通してつながりのあるレクリエーションにする

【前準備】
・中学生の授業に協力するという趣旨と堆肥の作り方に興味を持ってもらえるように資料を利用者のテーブルに配布しておき、利用者間、利用者職員間の話題とした
・市で販売しているコンポストの基材を購入し、施設のダンボールを使用してダンボールコンポストを行った。
・利用者から堆肥の効果がよくわからないとの話もあったので、堆肥を使用したものとそうでないものの野菜の成長を比べることにした。

【取り組み内容】
・デイケアの利用者で昼食後ベッドで休息しない方を中心に毎日20メートルほど離れているコンポストの設置場所へ昼食の残食を投入しかきまぜに行く。・コンポストに温度計を設置し、コンポストの温度が30℃~50℃より低い場合は残食のほかに米ぬかも一緒に投入する。・堆肥の良さを実感してもらうため、プランターに堆肥を漉き込んだものと、そうでないものを用意し小松菜と二十日大根の成長をそれぞれ観察できるようにした。

【取り組みを行って】
食事を残してしまったときに罪悪感をもつ利用者に「このあと堆肥になりますよ」「捨てませんよ」と声をかけることで笑顔がみられるようになった。また、まずは残さないことが大事だと、食事について利用者と職員の間で話し合うことができた。今まで畑で何を作ろうかという話題は作物を植える時期にならないと出てこなかったが、堆肥を作ることによって自然と来年の話もできるようになった。堆肥作りにより、畑のレクリエーションの幅が広がった。施設で堆肥は4か月おきに新しいものが作られていくため冬の間は施設内でプランターを設置し一年を通して作れる野菜の栽培をレクリエーションとして行っていきたい。車椅子の利用者は畑に行くことができなかったが、プランターを使用することにより種まきや成長の観察を楽しむことができた。たくさんの利用者に興味を持ってもらい楽しんでもらうことができた。畑に堆肥を使用することによって化学肥料の河川への流出を防ぐことができ地域貢献にもなっていく。

【おわりに】
生ごみを提供した後、中学校から写真付きの活動報告書をいただいた。その報告書を見て、利用者も前向きに活動してくれている。「中学生の子たちも同じことをしてるんやな」と話されることもある。夏のボランティアで中学生が施設に来てくれる時の話題作りにもなり、よりよい地域交流ができるのではないかと思っている。利用者と施設と地域のつながりは今後もなくしてはならない大切なものである。堆肥作りをレクリエーションに組み込むことで利用者と地域と施設のつながりを継続して作っていけると感じている。