講演情報

[15-P-J001-07]LIFEフィードバックを活用する前に

*伊藤 直人1、田中 雄一1 (1. 東京都 東京城東病院附属介護老人保健施設)
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LIFEフィードバックを活用するために、どのように取り組むべきか検討する必要があった。活用する以前に職員がフィードバックの活用について理解・把握しているかを知るためにアンケートを実施した。結果を評価し今後の活用方法を検討する材料のひとつとなった。全職員が認識することも大切な要素だと理解した。フィードバックを活用することの意味や捉え方を考えるきっかけになったので報告する。
LIFEフィードバックを活用する前にはじめに 当施設ではLIFEを導入して3年が経過しました。科学的介護推進加算の項目にはLIFEのフィードバックを活用することがあげられています。フィードバックの活用をすると、介護報酬や加算などの施設収益にプラスになる側面があります。また、PDCAサイクルを用いて介護業務の質の向上に繋がるなどが挙げられています。当施設でもどのように活用するかが課題のひとつとなっています。それまで、当施設ではフィードバックの活用については議論・検討されることはほとんどありませんでした。それ以前に科学的介護推進加算の算定条件であるフィードバックの活用が上げられていることを知っている職員がどの程度いるかを確認する必要がありました。 今回どのようにLIFEを活用するかを検討する以前に、フィードバックを確認したり、その活用を検討したことがあるかなど職員のLIFEに対する認識を確認をするためにアンケートを実施しました。その結果を報告します。方法・アンケート内容・全職員を対象にアンケートを実施・匿名にて実施・期間:2024年4月26日~ 2024年5月17日まで・質問項目(1)フィードバックがファイルに入っていることを知っているか(2)フィードバックのファイルを開けて見たことがあるか(3)どの項目を確認したか(4)LIFEは入力して送信するだけではなく活かすことを求められていることを知っているか(5)フィードバックを活かせるか検討したことはあるか(6)LIFEについてフリーコメント配布44部  回収35部  (介護 看護 リハビリ 施設ケアマネ) アンケート結果(1)フィードバックがどのファイルに入っているか知っている  はい 27    いいえ 8(2)フィードバックのファイルを開けて確認したことはあるか  はい 17   いいえ  17  無回答 1(3)どの項目を確認したか (複数回答)・リハビリマネジメント加算 6 ・栄養マネジメント強化加算・栄養アセスメント加算 2 ・科学的介護推進加算 11  ・排泄支援加算 11・褥瘡マネジメント加算・褥瘡対策指導管理 10(4)入力だけではなく活かすことが求められることを知っているか  はい 28  いいえ 7(5)今後どのように活かせるか検討したことがあるか  はい  5  いいえ 30考察 フィードバックがどのファイルに入っているかの把握を確認したところ、把握している職員は多かったが、実際にファイルを開けて確認をしたことがある職員は約5割でした。また、フィードバックを活かさなければいけないことを求められていることについて理解している職員が約7割でした。フィードバックの活かし方を検討した職員はほぼいないことがわかりました。フリーコメントの欄には、まずどこを見るのかわからない、見てもよくわからない、見にくい、全国平均と比べる必要があるのか、活用法は浮かばないなどの意見があがっていました。確かに活かす方法が決まっていないことには、どのような見方や角度から確認・解釈するのか難しいと思われます。多職種で進めていく内容でなければいけないということも更に難しくしている一面もあるのではないかと考えられます。活かし方は各施設で様々な方法を探りながら進めていると思われます。当施設でも多職種、個人、グループで様々な意見を募り議論・検討していくことが大事だと思われます。まとめLIFEフィードバックの活用を求められることについて、理解している職員は約7割であり、フィードバックデータの保存ファイルを把握している職員も多くいました。しかし実際にファイルを開けてデータを確認している職員は約5割ほどでした。実際のデータの閲覧においては、数値の見方やその数値データが表す内容が分からないと言った意見を踏まえると、今後のデータが増えていった時に閲覧するスタッフの割合はもっと低下するのではないかと考えられます。今回の結果として、データ活用における当施設での方向性が定まっていないと共に、職員のデータに対する見方や有効的な活用方法の選出などが課題となりました。興味深いデータであってもスタッフの業務負担にならないように進められるか。LIFE委員会のような組織を作りカンファレンスを開催して、活かし方について検討しても、本当に活かせるか。何をもって活かしているのか、などの疑問が出てくる状態になると思われます。LIFEのフィードバックの活かし方はネットのサイトや動画などで情報が流れていますが実際に本当に活かしているのか、活かせているのかがなかなか評価しにくいと感じます。 それでもフィードバックの情報(データ)は今後の施設方針に影響を与えるヒントがあり、可能性を秘めているのも事実であると感じます。前向きに捉えることで意味を持つと考えることができます。おわりに この7月からLIFEの入力内容やレイアウトなどの変更があり、フィードバックを活かすことより、目の前の作業に追われてしまう状況となっています。今後フィードバックの内容も変わるのではないかと思います。改めて職員が意識してフィードバックの内容を確認する良い機会と捉えて、活かす方法を探り、実行できると良いのではと考えます。