講演情報

[27-O-A002-01]進め!!忘れ物の入れ間違い防止委員会~「ヒヤリハット」ゼロを目指して~

大阪府 江馬 靖規, 梅本 義登 (介護老人保健施設 桑の実)
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<はじめに>

我がデイケアに発生する「ヒヤリハット」の割合は一時期「忘れ物」が多くを占め、多い時には一週間で1~2件も発生していた 
また、他のデイケア・デイサービスでも「忘れ物」はよく発生し、改善に頭を悩ませていると聞く。それはご利用者・ご家族のとって不愉快であり、信頼にも関わる事でもあり、そこで我々は早急に改善策を講じる事にした。 

<目的>
「忘れ物防止委員会」を発足し原因分析及びそれに対する改善策を講じ、同様の「ヒヤリハット」を限りなくゼロに近づける事を目的とする。

<方法>
〇原因の分析
「ヒヤリハット」の分析の結果、3つの要因がある事に気付いた。
1つ目はスタッフの意識の低さ。それはご利用者からの大切な預かり物と認識していいない。忘れても他のスタッフが届けてくれるという気持ちの甘さ。
2つ目はもう誰かが渡しているという思い込みと確認不足。
3つ目はご利用者からの自己申告してくれるという期待と依存。
この事から殆どの原因は我々スタッフによる思い込みから起こる「勘違い・確認不足による入れ間違い」と断定した。
しかし対策として「勘違い・確認不足による入れ間違い」等、この様なミスはヒューマンエラーであり、「気をつけよう」・「行動に意識を持って」・「忙しい時こそ落ち着いて」等の漠然とした概念だけでは改善は難しいと考え、そこでミスを無くす為のシステムを構築する事にした。

〇実践
上着・帽子は特に冬場が多く上着については殆どのご利用者が着ており、「ヒヤリハット」は冬場の発生が多く、また似た形・色が多く混乱を招いていた。
そこで帰りの送迎で送る時間が早いご利用者順にハンガーラックの端から並べる事にし、整理する事で忘れ物の軽減に繋がると考えた。
また利用予定表も活用し来所時、スタッフがご利用者の持参品・上着・帽子・杖・カバン等の色・特徴を記入。待機スタッフが送り時に確認し、送迎スタッフは送迎車に乗り込む前に利用予定表と相違が無いか確認。そして忘れ物に対する責任の所在をその日のリーダーにする事にした。

<結果>
実施後、「忘れ物」による「ヒヤリハット」はほぼ発生せず、ここ半年では1~2件と劇的に改善した。これは何重によるチェックのシステムが功を奏したと考えられる。
そして一番の効果があったのは「責任の所在を明らかにする事」だった。「誰かがやってくれる」・「忙しいから」ではなく、「明らかに」する事で責任感と緊張感が生まれ、意識の向上が図れた。その結果、ご利用者・ご家族にも迷惑をかける事も軽減、そして我々が掲げた「ヒヤリハットを限りなくゼロに近づける」という目標も達成する事ができた。

<考察>
「『忘れ物』にここまでするのか」、「そんな簡単な事もできないのか」、「個々に注意したら防げるのではないか」との意見もあるが我々は人間であり「うっかり」や「勘違い」する事が必ずある。
今回はこれを「仕方ない」、「気を付けよう」では済まさず原因を分析しミスを無くシステムを構築する事で改善を図りその結果、成果を伴った事例である。今回の取り組みは我々にとっても有意義な取り組みでもあった。

<おわりに>
また上着・帽子以外にも忘れ物が減り、これは思わぬ相乗効果で一同驚いている。
しかしスタッフ1人だけでは意識の向上を図るのは難しく、また「忘れ物」をした直後は気を付けるが、時間が経つにつれ慣れが発生してしまう。
今後の課題としてチームで目標に向かい継続する事が大切だと実感した。
今後も色々な問題が発生すると思うがが、その都度防止委員会を立ち上げ問題解決に邁進したい。