講演情報
[27-O-A002-05]A医療グループにおけるYMGケアメソッドの活用
神奈川県 ○榎本 尚史1, 小林 恵子2, 荒尾 都威子1 (1.介護老人保健施設 レストア横浜, 2.レストア横浜, 3.レストア横浜)
A医療グループにおけるYMGケアメソッドの活用 はじめに横浜メディカルグループ(以下YMG)では、グループ各施設において「あらゆるケア対象者(以下利用者)に向けた信頼関係を構築できる“優しさのケア”の提供」の実現を目指し、2018年3月、本部に推進委員会を発足した。委員は自らのケアを自己・他者評価し課題を整理、学習、議論を重ね、2019年、評価表を元に施設間を超えて他者評価をしあい、2020年3月指導書が完成し、そのポケット版を全職員に配布し普及に努めた。以降、2020~2024年に中央研修を実施した。所属施設での活用と成果を明らかにするため、中央研修の全参加者を対象に自己式質問紙調査を実施した取り組みの成果を報告する。YMGケアメソッドの概要YMGケアメソッドは、ユマニチュード、パーソンセンタードケア、カンフォータブルケアといった理論を基盤とし、利用者との信頼関係構築を目指している。ケアメソッドは以下の5つの大項目と、それに属する17の小項目から構成され、「YMGやさしさのケアの樹」と題したイメージ図で視覚的にも整理されている。※優しさ※尊重した言葉※心地よい声※見つめる※優しく触れる小項目には「笑顔で関わる」「相手の気持ちに寄り添う」「丁寧な言葉遣い」「ケアの際に優しく触れる」など、実践的かつ具体的な内容が盛り込まれている。ケアメソッドの普及に向けて、グループ内の3施設・病院から介護職・看護職・作業療法士などの専門職を選出した委員会を発足。委員は施設内外での集合研修、出張研修、さらにコロナ禍ではZoomを活用したオンライン研修を実施した。研修内容は、講義・デモンストレーション・動画視聴・ロールプレイなど多角的なアプローチで構成され、受講者の理解と実践を促してきた。目的 YMG ケアメソッド普及のために行った中央研修(2020~2024)を受講した職員の実践状況の把握と、職員が感じた利用者の変化と職員自身の気持ちの変化、利用者と職員の関係性の変化を知る。方法研修受講者を対象に自己式質問紙調査を実施した。結果 過去に研修を受講した職員にアンケートを配布し、介護福祉士・看護師・理学療法士など47名(4施設)から回収した。YMGケアメソッドの実践状況とその効果に関して以下のような結果が得られた。【実践状況】小項目ごとの実施状況について、9割以上の職員が「常に実践している」または「1日の中で時々実践している」と回答した。一方で、実践できていない理由としては「業務に追われる中で余裕がない」「自身の精神的・身体的状態が安定しない」などが挙げられた。【利用者の変化】「変化があった」10名、「少し変化があった」22名、「変わりなし」15名という結果であった。変化の内容としては24のコードから「笑顔が増えた」「穏やかになった」「表情が豊かになった」「受け入れがスムーズになった」「言葉が増えた」等、5つの肯定的な変化が報告された。【職員自身の変化】「変化があった」8名、「少し変化があった」15名、「変わらない」9名、「わからない」5名。変化を感じた内容には22のコードから「感情の安定」「ケアへの意欲向上」「相手への寄り添い」など3分類が主に挙げられた。興味深い点として、利用者の変化を「変わりなし」と回答した15名のうち、11名が職員自身の変化についても「変わらない」または「わからない」と回答しており、職員の内的変化と利用者への影響には一定の相関が認められた。考察 今回のアンケート結果から、YMGケアメソッドは多くの職員に実践されており、利用者と職員の双方に肯定的な変化をもたらしていることが明らかとなった。とりわけ、非言語的なケア行動が利用者の情緒面に良い影響を与えている点は注目に値する。また、職員自身がケアを通じて感情の安定や意欲の向上を感じていることは、ケア提供者としての自己肯定感や専門職としての成長にもつながる。一方で、業務の忙しさや精神的余裕のなさがケア実践の障壁となっている現状も確認された。さらに、職員自身が変化を実感できていない場合、利用者の反応にも気づきにくく、ケアメソッドの効果が実感しづらい傾向があると考えられる。これは、ケアの中に「気づき」の視点を養うことの重要性を示唆している。おわりに「相手への寄り添い」という言葉は評価表に出ていないが、ケアメソッドの大・小項目を通じて相手を「受け入れる姿勢を伝える」という、信頼関係を築く上で伝えたいメッセージである。小項目の実践を通じて職員が感じ、伝えられたことで、YMGケアメソッドを実践することの意義を感じた。今後も、私たちはYMGケアメソッドの推進、中央研修を実施し、受講した一人ひとりが意識し、自施設へ浸透させ、評価表を使用しての評価を行い、利用者と職員の相互の信頼関係の構築を目標にケアの質の向上と人材育成を図っていきたい。
