講演情報

[27-O-A002-07]幸せホルモンの分泌を促す個別支援の実践報告

宮城県 菅原 英樹, 桶谷 雅志 (医療法人社団健育会 介護老人保健施設しおん)
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【目的】
当法人では、利用者に幸福感を提供するため、いわゆる「幸せホルモン(ドーパミン・エンドルフィン・セロトニン・オキシトシン)」の分泌を促す取り組みを行ってきた。本研究では、どの利用者にどのホルモンを優先して分泌させるべきかを検討し、適切なアプローチを明らかにすることを目的とした。
【方法】
1.施設利用者全員を対象に主観的幸福度アンケートを実施
2.6点以下の利用者に聞き取りを行い、全人的苦痛(身体的・社会的・精神的・スピリチュアル)に分類し、訴えがはっきりしない、解決が難しい内容の6名を対象とした
3.各苦痛に適合するホルモンを選定し、それに応じた支援活動を個別に実施
4.実施後、再度幸福度調査を行い変化を検証
【成績】
調査対象99名中、回答者59名(幸福度7点以上:49名、6点以下:10名)
6点以下の10名から対象とした6名に実施したアプローチとその結果は以下の通り
利用者 事前 事後 備考
A   2点  5点 社会的苦痛 → ドーパミン対応 → 趣味活動・自身の役割 
B   6点  7点 身体的苦痛 → エンドルフィン対応 → アロマケア
C   5点  8点 身体的苦痛 → エンドルフィン対応 → アロマケア
D   4点  4点 スピリチュアルペイン → セロトニン対応 → リズム運動 ・日光浴
E   2点  2点 スピリチュアルペイン → セロトニン対応 → リズム運動 ・日光浴
F   2点  2点 スピリチュアルペイン → セロトニン対応 → リズム運動 ・日光浴
幸福度が改善したのは3名(A, B, C)で、特に社会的・身体的苦痛に対するアプローチに効果が見られた。一方、スピリチュアルペインを抱える利用者への支援では大きな変化が見られなかった一方、スピリチュアルペインへの対応については明確な効果が見られず、さらなる工夫や支援の検討が必要であると感じた。
【結論】
全人的苦痛に基づいて幸せホルモン(ドーパミン・エンドルフィン・セロトニン)を選定し、個別に促すアプローチは、一定の幸福度改善に寄与した。特に、身体的・社会的苦痛に対する支援には一定の効果があったと考えたが、スピリチュアルペインへの対応については明確な効果が見られず、さらなる工夫や支援モデルの検討が必要であると感じた
今回は施設全体でのアンケート調査から始め、本人の訴えを基に全人的苦痛を分類し、対応を行ったが、評価においては部分的な対応となった側面もあった。今後は、個々の利用者の背景や状態をより包括的にとらえ、全人的苦痛の視点を深めた上で、より効果的な支援につなげていきたい。