講演情報

[27-O-A003-04]ストマ造設を超えて、大切な人と共有した食べる幸せ

静岡県 荒木 詩音 (介護老人保健施設しおさい)
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【はじめに】
大腸イレウスと認知症を抱えるご利用者に対し、ストマ造設後の「食べる幸せ」を取り戻す支援を行ったものである。ストマ造設後の生活における適応と、ご本人及びご家族の想いを尊重したケアを実践、最善のケアを提供するため、施設全体で受け入れ、成功したため報告する

【症例紹介】
80代女性、要介護3、既往歴、令和2年4月頃下行結腸癌のためステント留置。当施設には令和4年10月7日長期入所となったが、令和5年9月24日にステント閉塞による大腸イレウスで当施設から救急搬送される。その際、認知症も伴っていたことから、ご家族は悩みながらも「食べることが大好きな本人のため」ストマ造設を決断。ストマ増設後、入院した病院からは施設対象ではないと言われたが、施設全体で課題を抽出、受け入れ体制と入所後の生活を整えられるかの検討とご本人らしい生活を送るために何が出来るのか検討した

【各課題】
再入所に際し、安心、安全に施設生活を送るため、ご利用者、ご家族、ストマ別に課題を分けた。
ご利用者の課題として、
1)身体的変化が受け入れられていない可能性
2)BPSD症状の悪化の可能性
3)術後の身体的(ADL・食事)状況変化
ご家族の課題として、
1)ストマを入れることで食事面での心配
2)認知症に伴う、ストマトラブルによる継続入所への悩み
3)ストマパウチの金銭的負担
ストマの課題として、
1)ストマが不安定
2)ストマパウチが選定しきれていない
3)職員のストマに関する知識不足
以上の課題が解決出来るようケア計画を作成することにした

【ケア計画】
ケア計画を三つ立案
(1)長期目標
1)安心して入所受け入れが出来る
短期目標
1)ストマトラブルがあった際の病院との連携
2)多職種の情報共有、ストマへの理解
3)身体・食事面での状況把握が出来ている
4)ご家族へのリスク説明
(2)長期目標
1)トラブルなく継続入所が出来ている
短期目標
1)ストマが安定する
2)身体的変化が受け入れられる
3)ストマパウチの確定
4)ストマパウチ金銭的負担軽減
(3)長期目標
1)本人の好きな食べ物が食べられる
2)身体的変化が受け入れられる
短期目標
1)外出支援計画の作成
2)日程調整

【経過】
(1)ケア計画 短期目標
1)病院との連携が出来るように連携室が間に入りIcを開催、しおさい看護師も参加することで入院先の皮膚・排泄ケア認定看護師と連携することが出来た
2)ストマへの理解を深めるため看護師が施設内勉強会を開催
3)身体・食事面での状況把握は連携室がwebでの調査を行い、身体状況や食事内容の把握をし、リハ、栄養科と情報共有
4)ご家族へのリスク説明は担当看護師から想定されるストマトラブルを入所前から行うことで同意を得る
(2)ケア計画 短期目標
1)2)3)入所当日から明け方にはパウチが剥がれ便汚染が、何日か続いたが、ご本人が慣れないものや恐いものは、弄らないのではないか、気になるから触っていると思い、観察を続け、パウチの選定を行うと共に、ストマは大切なものとも伝え続けた。ストマトラブルは、入院していた皮膚・排泄ケア認定看護師にメールで写真を送り、相談から指示をもらう、退院後の受診時でも、医師からトラブル時の対応を直接レクチャーを受け、手技を共有。また、施設医には排便コントロール、介護士は排便状況の確認を行った
4)金銭面も身体障害者手帳を案内し、手帳の申請手続きをご家族が実施
(3)ケア計画 短期目標
1)2)ご家族と行き先の決定、ご家族の都合、関係部署の人員確保を実施

【結果】
(1)ケア計画 長期目標
1)安心して入所受け入れが出来るは不安なく令和5年10月5日再入所出来たことで目標達成
(2)ケア計画 長期目標
1)トラブルなく継続入所が出来ているについて、ご本人を中心とした介護と医療の連携でストマトラブル減少、入所継続出来たことで目標達成
(3)ケア計画 長期目標
1)本人の好きな食べ物が食べられる2)身体的変化が受け入れられるについて、思い出のスーパーで好きな物を食べる幸せを実感、ストマにポジティブに受け入れが可能となったことで目標達成

【考察】
食べる幸せを実現するために、ご家族と職員が一体となって思いに寄り添い、認知症やストマ造設に関わる課題に対しても、施設全体でどうすれば受け入れが出来るのかという強い意思を持つ事が大事だと考える。ご本人やご家族の思いに寄り添うことの大切さを具現化が、波及効果的に施設理念であるもう一つの楽しい家の達成にも繋がった

【おわりに】
家からも近いしおさいの入所が、リハビリ目的でしおさい通所リハビリを利用している旦那様と頻回に顔を合わせる機会の提供に繋がる。また、新たに外出企画を立て、近くのカフェでご本人、旦那様、娘様と一緒にお茶をさせていただいたとき、私にとっても大切な人と共有した食べる幸せに繋がった。他にもチームケアの重要性、やりがい、成長の場を得る機会になり、双方にとって感謝、感謝の症例となった