講演情報
[27-O-C001-01]電子カルテに褥瘡写真を記録する有用性について
大阪府 ○山本 美優 (医療法人徳洲会 介護老人保健施設 吹田徳洲苑)
【はじめに】
当施設は病院内併設型の老健であり、在宅復帰を目標とするフロア52床、医療依存度の高いフロア52床、認知症のフロア55床を有しており、医療との連携が緊密にとれる環境となっている。このことから、医療依存度の高い利用者様も多く、高齢や低栄養、低ADL、失禁による皮膚汚染、皮膚の乾燥や脆弱化を原因とする褥瘡発生リスクの高い方の入所が多くなっている。一方、看護介護記録は電子カルテに記載され、利用者様の病状の共有は容易となっている。
褥瘡回診は毎週医師、看護師、理学療法士が常時参加しているが、介護職が参加できていないのが現状である。診療報酬改定では平成30年度から褥瘡発生予防管理に対する評価が追加され、令和3年度から質の向上を図る取り組みの1つとしてLIFEの運用が開始し、褥瘡マネジメントの徹底が必須となっている。褥瘡対策委員会では電子カルテ内に部位や程度がわかる褥瘡写真を記録し職員全体が詳細な情報共有できるよう対策を講じた。今回はその結果や有用性について職員のアンケートをもとに報告する。
【方法】
1)褥瘡発生時と週1回の回診時に褥瘡部の写真をとり、電子カルテに記録する。
2)施設職員(看護師、介護職、リハビリ職、事務職)88名に対し、写真の有用性について次の4項目に関して、アンケートを実施し意識調査を行う。
アンケート内容:
(1)カルテ内の写真を見たことがありますか
(2)写真を見ることで、ケアの時に意識が変わりましたか
(3)写真を見ることで、ケアの具体的な方法が変わりましたか
(4)写真はある方がいいと思いますか
【結果】
回答率は96%である。
(1)はい95.3% いいえ4.7%
職種に関わらず、ほとんどの職員が電子カルテに褥瘡部の写真を記録している認識がある。
(2)はい80.0% いいえ3.5% どちらでもない16.5%
(3)はい61.2% いいえ9.4% どちらでもない29.4%
80%の職員がケア時に褥瘡の状態が変化していることを確認する意識が生まれるようになった。一方で状態像の変化に対する行動の変容は60%に留まった。
(4)はい94.1% どちらでもない5.9%
写真の記録の必要性についてはほとんどの職員が肯定的であった。
【考察】
電子カルテへの褥瘡部の写真記載の認識率は非常に高く、運用を開始していく上で効果的な手法であったと考える。また意識の変化についても高く、画面越しではあるが褥瘡部の観察ができることは印象に残り、ケアへの精神的な後押しとなっているものと思われる。しかし、意識から具体的な方法へ実行を移せた職員は60%と減少しており、これは職員間での知識や技量の差が原因と思われる。その差を埋める対策として、現在委員会にてフロアの勤務形態に合わせた体位変換表や、褥瘡発生リスクの高い利用者様を抽出し、褥瘡予防、除圧のためのポジショニング写真を作成し、ベッドサイドに掲示する等、実践的な取り組みを計画し開始している。写真の必要性として、褥瘡評価スケールであるDESIGN-R2020も同様に継続して記録しているが、現場への浸透はまだ限定的であるのが現状であり、細かい部位や程度についての把握にも差が生じている。週1回の褥瘡回診では看護師や介護職は業務形態上、特定の職員が回診に参加することは困難であり、経時的に観察・評価することが難しい。褥瘡写真を記録することで、普段処置や衣類によって目視することができない職員が褥瘡部の再確認や、専門的な評価を知らなくても治療経過を認識することが可能となり有用と考える。日本褥瘡学会の実態調査では老健の褥瘡推定発生率は0.72%、褥瘡有病率は1.11%に対して、当施設の褥瘡推定発生率は1.76%、褥瘡有病率は6.8%と高くなっている。理由としては医療依存度の高い利用者様が多いことが1つの要因と考えられる。摂食不良者や点滴治療を余儀なくされる方、BSCを見据えた担癌症例の入所も増加しており、今後も褥瘡リスクの高い方の入所が予想され、より一層褥瘡予防、対策が求められる。
【まとめ】
1)褥瘡回診時に電子カルテ内に褥瘡写真を記録として保存することで経時的な観察が可能となった。
2)多忙な介護士を含め、多職種全員が閲覧可能となり、褥瘡の経過を知ることができた。
3)褥瘡の経過を確認できるため、処置やポジショニングの変更等、迅速に行うことができるようになった。
4)引き続き早期発見、早期治癒、新規発症率の低下に努めていく必要がある。
【参考文献】
1)日本褥瘡学会学術委員会・実態調査委員会:第5回(2021年度)日本褥瘡学会実態調査委員会報告2:療養場所別自重関連褥瘡の有病率,有病者の特徴,部位・重症度およびケアと局所管理.褥瘡会誌,25(2):119~171,2023
当施設は病院内併設型の老健であり、在宅復帰を目標とするフロア52床、医療依存度の高いフロア52床、認知症のフロア55床を有しており、医療との連携が緊密にとれる環境となっている。このことから、医療依存度の高い利用者様も多く、高齢や低栄養、低ADL、失禁による皮膚汚染、皮膚の乾燥や脆弱化を原因とする褥瘡発生リスクの高い方の入所が多くなっている。一方、看護介護記録は電子カルテに記載され、利用者様の病状の共有は容易となっている。
褥瘡回診は毎週医師、看護師、理学療法士が常時参加しているが、介護職が参加できていないのが現状である。診療報酬改定では平成30年度から褥瘡発生予防管理に対する評価が追加され、令和3年度から質の向上を図る取り組みの1つとしてLIFEの運用が開始し、褥瘡マネジメントの徹底が必須となっている。褥瘡対策委員会では電子カルテ内に部位や程度がわかる褥瘡写真を記録し職員全体が詳細な情報共有できるよう対策を講じた。今回はその結果や有用性について職員のアンケートをもとに報告する。
【方法】
1)褥瘡発生時と週1回の回診時に褥瘡部の写真をとり、電子カルテに記録する。
2)施設職員(看護師、介護職、リハビリ職、事務職)88名に対し、写真の有用性について次の4項目に関して、アンケートを実施し意識調査を行う。
アンケート内容:
(1)カルテ内の写真を見たことがありますか
(2)写真を見ることで、ケアの時に意識が変わりましたか
(3)写真を見ることで、ケアの具体的な方法が変わりましたか
(4)写真はある方がいいと思いますか
【結果】
回答率は96%である。
(1)はい95.3% いいえ4.7%
職種に関わらず、ほとんどの職員が電子カルテに褥瘡部の写真を記録している認識がある。
(2)はい80.0% いいえ3.5% どちらでもない16.5%
(3)はい61.2% いいえ9.4% どちらでもない29.4%
80%の職員がケア時に褥瘡の状態が変化していることを確認する意識が生まれるようになった。一方で状態像の変化に対する行動の変容は60%に留まった。
(4)はい94.1% どちらでもない5.9%
写真の記録の必要性についてはほとんどの職員が肯定的であった。
【考察】
電子カルテへの褥瘡部の写真記載の認識率は非常に高く、運用を開始していく上で効果的な手法であったと考える。また意識の変化についても高く、画面越しではあるが褥瘡部の観察ができることは印象に残り、ケアへの精神的な後押しとなっているものと思われる。しかし、意識から具体的な方法へ実行を移せた職員は60%と減少しており、これは職員間での知識や技量の差が原因と思われる。その差を埋める対策として、現在委員会にてフロアの勤務形態に合わせた体位変換表や、褥瘡発生リスクの高い利用者様を抽出し、褥瘡予防、除圧のためのポジショニング写真を作成し、ベッドサイドに掲示する等、実践的な取り組みを計画し開始している。写真の必要性として、褥瘡評価スケールであるDESIGN-R2020も同様に継続して記録しているが、現場への浸透はまだ限定的であるのが現状であり、細かい部位や程度についての把握にも差が生じている。週1回の褥瘡回診では看護師や介護職は業務形態上、特定の職員が回診に参加することは困難であり、経時的に観察・評価することが難しい。褥瘡写真を記録することで、普段処置や衣類によって目視することができない職員が褥瘡部の再確認や、専門的な評価を知らなくても治療経過を認識することが可能となり有用と考える。日本褥瘡学会の実態調査では老健の褥瘡推定発生率は0.72%、褥瘡有病率は1.11%に対して、当施設の褥瘡推定発生率は1.76%、褥瘡有病率は6.8%と高くなっている。理由としては医療依存度の高い利用者様が多いことが1つの要因と考えられる。摂食不良者や点滴治療を余儀なくされる方、BSCを見据えた担癌症例の入所も増加しており、今後も褥瘡リスクの高い方の入所が予想され、より一層褥瘡予防、対策が求められる。
【まとめ】
1)褥瘡回診時に電子カルテ内に褥瘡写真を記録として保存することで経時的な観察が可能となった。
2)多忙な介護士を含め、多職種全員が閲覧可能となり、褥瘡の経過を知ることができた。
3)褥瘡の経過を確認できるため、処置やポジショニングの変更等、迅速に行うことができるようになった。
4)引き続き早期発見、早期治癒、新規発症率の低下に努めていく必要がある。
【参考文献】
1)日本褥瘡学会学術委員会・実態調査委員会:第5回(2021年度)日本褥瘡学会実態調査委員会報告2:療養場所別自重関連褥瘡の有病率,有病者の特徴,部位・重症度およびケアと局所管理.褥瘡会誌,25(2):119~171,2023
