講演情報
[27-O-C002-01]利用者や家族が満足した最期を迎えるターミナルケア
静岡県 ○佐藤 彩, 鈴木 静子 (介護老人保健施設 あじさい)
【はじめに】
在宅復帰、在宅生活支援が老健施設の本来機能である。しかし、超高齢社会となったいまの日本においては、在宅支援という役割の延長として、老健施設にも看取りが求められるようになってきた。1)自施設でも入所期間が長期化し、施設で看取ることが増えてきている。施設での看取りを希望された方へターミナルケアを行っているが、家族がターミナルケア期について理解・イメージできていない状況にあり家族から後悔の言葉が聞かれることがあった。今回、家族がターミナルケア期について理解・イメージでき利用者の想いや家族が望む行動を支援でき、満足した状態で最期を迎えられるよう取り組んだ。
【目的】
家族が看護師の説明でターミナルケア期について理解・イメージでき利用者の想いや家族が望む行動を支援できる
【方法】
1)ターミナルケア期についてのパンフレットを作成
2)作成したパンフレット使用し家族へ説明、利用者、家族が望む行動を支援する
3)利用者の死後、家族へ聞き取り調査を行う(20名中13名実施)
【結果】
1)「最期までの暮らし方」というパンフレットを作成。パンフレットを使用し20名の家族に、最期を迎えるまでの状態の変化を説明した。死までの過程や状態の変化を丁寧にご家族に説明したことで「まだまだと思っていたけど死を考えないといけない時期なのですね」など家族が死に対するイメージができた。
2)家族が望む行動への支援の実際
(1)家族から「遠くに住んでいる孫に会わせてあげたい」という希望があった。利用者の現状から、今後の過程や状態の変化の見通しを説明し、面会を早めた方が良いとを伝え、元々の面会予定日より2週間程早めてもらった。久しぶりに会った孫と会話をし、楽しい時間を過ごすことができた。結果的には孫と会った次の日に急死されたが家族からは「面会を早めてよかった」「最後に笑顔を見ることができてよかった」と言ってもらえた。
(2)食事摂取量が低下しADLも低下していたことから、長男と次男へ説明を行った。長男は施設での看取りを希望されたが次男は最後まで病院を希望された。KPである長男の希望を尊重し施設での看取りで決定。定期的に2人で見えられ母が好きな果物を食べさせてあげていた。寝ている時間が長くなっていたが2人が来ると車いすに乗り楽しそうにお話をされていた。3週間位で他界されたが、次男から「母と面会して嬉しそうな顔や元気そうな声を聴けて、最期の穏やかな顔をみたら、病院を選ばなかったことが間違えじゃなかったと思えた。母と一緒に過ごす時間を作ってくれてありがとう」と言ってもらえた。
(3)「私たちにできることがわかりません」と悩まれていたご家族には、家族にも行えるケアをアドバイスした事で、面会時など家族と一緒にケアを行うことができた。
3)家族への聞き取り調査
13名の家族へ聞き取り調査を行った。
・不安な気持ちがなくなった・心が軽くなった(13名中4名)
・死に対する心構えができた。素直に死を受け止められる(13名中3名)
・現在や今後の状態について理解できた・分かりやすかった(13名中10名)
・説明がなければ、死を受け入れられてなかった(13名中5名)
・できる事はしてあげる事ができた。満足(13名中13名)
どの家族も笑顔で帰られた。
【考察】
本人や家族が、その病気や老衰について正しく理解しておくことが、納得できる最期の時間を過ごすための、いちばん大切な条件である2)。また、家族への支援として、ご家族との別れのときが近いことに対し”心の準備”ができるように配慮することも大切である3)と言われている。自施設では、ターミナルケアが開始される際に家族に対して言葉での説明しか行ってこなかったため、家族がターミナルケア期について理解やイメージができておらず、家族を失う不安や、状態の変化に対する不安、利用者の死後家族から後悔の言葉が聞かれていた。今回パンフレットを使用して説明したことで家族が利用者の段階を理解することができたため、家族より後悔の言葉ではなく「死に対する心構えができた。素直に死を受け止められる」など前向きな言葉がきかれ、納得できる最後の時間を利用者と過ごすことができたのではないかと考える。悔いが残らないように、やりたいこと、やってあげたいことをするのは残された家族にとっての後悔を最小限にする2)と言われている。全ての家族より「できる事はしてあげる事ができたので満足」とあったことから、家族ができる事を提案し、家族の想いを聞き出し、それを行動に移せるよう協力できたことで、納得できる最期の時間をご家族が利用者と共に過ごすことができ、満足した最期を迎えられたのではないかと考えられた。苦痛のない穏やかな終末期を過ごしたことや、家族として自分も最期のケアに参画できたことが亡くなった後の悲嘆を軽減することにもつながる3)と言われている。利用者の穏やかな表情や利用者と一緒に過ごせた時間が亡くなった後の悲嘆を軽減することにもつながったと思われた。ご家族が満足した状態で最期を迎えることは、死に対する悲嘆を軽減することにもつながり、どの家族も笑顔で帰ることができたのではないかと思われる。
【まとめ】
今回パンフレットを作成し、利用者や家族の想いを聞く中で、家族の望む行動の支援に繋がり、家族の満足した表情や笑顔を見ることができた。
【引用・参考文献】
1)老健 平成26年7月号 老健施設における看取り2)逝き方を考える 「納得できる最期」を迎えるための11の条件
https://www.asahi.com/relife/article/14411439 (検索日:令和7年7月3日)
3)日本看護協会 介護施設の看護実践ガイド,第2版.医学書院,2023.
4)看取りの時期が近づいた患者の家族への説明に用いる『看取りのパンフレット』の有用性:他施設研究 日本緩和医療学会 2012;7(2):192-201
在宅復帰、在宅生活支援が老健施設の本来機能である。しかし、超高齢社会となったいまの日本においては、在宅支援という役割の延長として、老健施設にも看取りが求められるようになってきた。1)自施設でも入所期間が長期化し、施設で看取ることが増えてきている。施設での看取りを希望された方へターミナルケアを行っているが、家族がターミナルケア期について理解・イメージできていない状況にあり家族から後悔の言葉が聞かれることがあった。今回、家族がターミナルケア期について理解・イメージでき利用者の想いや家族が望む行動を支援でき、満足した状態で最期を迎えられるよう取り組んだ。
【目的】
家族が看護師の説明でターミナルケア期について理解・イメージでき利用者の想いや家族が望む行動を支援できる
【方法】
1)ターミナルケア期についてのパンフレットを作成
2)作成したパンフレット使用し家族へ説明、利用者、家族が望む行動を支援する
3)利用者の死後、家族へ聞き取り調査を行う(20名中13名実施)
【結果】
1)「最期までの暮らし方」というパンフレットを作成。パンフレットを使用し20名の家族に、最期を迎えるまでの状態の変化を説明した。死までの過程や状態の変化を丁寧にご家族に説明したことで「まだまだと思っていたけど死を考えないといけない時期なのですね」など家族が死に対するイメージができた。
2)家族が望む行動への支援の実際
(1)家族から「遠くに住んでいる孫に会わせてあげたい」という希望があった。利用者の現状から、今後の過程や状態の変化の見通しを説明し、面会を早めた方が良いとを伝え、元々の面会予定日より2週間程早めてもらった。久しぶりに会った孫と会話をし、楽しい時間を過ごすことができた。結果的には孫と会った次の日に急死されたが家族からは「面会を早めてよかった」「最後に笑顔を見ることができてよかった」と言ってもらえた。
(2)食事摂取量が低下しADLも低下していたことから、長男と次男へ説明を行った。長男は施設での看取りを希望されたが次男は最後まで病院を希望された。KPである長男の希望を尊重し施設での看取りで決定。定期的に2人で見えられ母が好きな果物を食べさせてあげていた。寝ている時間が長くなっていたが2人が来ると車いすに乗り楽しそうにお話をされていた。3週間位で他界されたが、次男から「母と面会して嬉しそうな顔や元気そうな声を聴けて、最期の穏やかな顔をみたら、病院を選ばなかったことが間違えじゃなかったと思えた。母と一緒に過ごす時間を作ってくれてありがとう」と言ってもらえた。
(3)「私たちにできることがわかりません」と悩まれていたご家族には、家族にも行えるケアをアドバイスした事で、面会時など家族と一緒にケアを行うことができた。
3)家族への聞き取り調査
13名の家族へ聞き取り調査を行った。
・不安な気持ちがなくなった・心が軽くなった(13名中4名)
・死に対する心構えができた。素直に死を受け止められる(13名中3名)
・現在や今後の状態について理解できた・分かりやすかった(13名中10名)
・説明がなければ、死を受け入れられてなかった(13名中5名)
・できる事はしてあげる事ができた。満足(13名中13名)
どの家族も笑顔で帰られた。
【考察】
本人や家族が、その病気や老衰について正しく理解しておくことが、納得できる最期の時間を過ごすための、いちばん大切な条件である2)。また、家族への支援として、ご家族との別れのときが近いことに対し”心の準備”ができるように配慮することも大切である3)と言われている。自施設では、ターミナルケアが開始される際に家族に対して言葉での説明しか行ってこなかったため、家族がターミナルケア期について理解やイメージができておらず、家族を失う不安や、状態の変化に対する不安、利用者の死後家族から後悔の言葉が聞かれていた。今回パンフレットを使用して説明したことで家族が利用者の段階を理解することができたため、家族より後悔の言葉ではなく「死に対する心構えができた。素直に死を受け止められる」など前向きな言葉がきかれ、納得できる最後の時間を利用者と過ごすことができたのではないかと考える。悔いが残らないように、やりたいこと、やってあげたいことをするのは残された家族にとっての後悔を最小限にする2)と言われている。全ての家族より「できる事はしてあげる事ができたので満足」とあったことから、家族ができる事を提案し、家族の想いを聞き出し、それを行動に移せるよう協力できたことで、納得できる最期の時間をご家族が利用者と共に過ごすことができ、満足した最期を迎えられたのではないかと考えられた。苦痛のない穏やかな終末期を過ごしたことや、家族として自分も最期のケアに参画できたことが亡くなった後の悲嘆を軽減することにもつながる3)と言われている。利用者の穏やかな表情や利用者と一緒に過ごせた時間が亡くなった後の悲嘆を軽減することにもつながったと思われた。ご家族が満足した状態で最期を迎えることは、死に対する悲嘆を軽減することにもつながり、どの家族も笑顔で帰ることができたのではないかと思われる。
【まとめ】
今回パンフレットを作成し、利用者や家族の想いを聞く中で、家族の望む行動の支援に繋がり、家族の満足した表情や笑顔を見ることができた。
【引用・参考文献】
1)老健 平成26年7月号 老健施設における看取り2)逝き方を考える 「納得できる最期」を迎えるための11の条件
https://www.asahi.com/relife/article/14411439 (検索日:令和7年7月3日)
3)日本看護協会 介護施設の看護実践ガイド,第2版.医学書院,2023.
4)看取りの時期が近づいた患者の家族への説明に用いる『看取りのパンフレット』の有用性:他施設研究 日本緩和医療学会 2012;7(2):192-201
