講演情報
[27-O-C002-03]介護老人保健施設職員の看取りプロセスの実態と課題
大阪府 ○権代 ほのか (介護老人保健施設竜間之郷)
【目的】
本研究の目的は、A施設職員の看取りのプロセスについての考えを明らかにし、課題を抽出した。
【方法】
1.研究対象:A施設入所フロアの看護師・准看護師11名、介護福祉士・介護士33名。
2.研究期間:2024年5月~2024年10月
3.研究方法:職員の看取りのプロセスに対する考えを問う質問調査をアンケート形式で行った。研究対象者へは研究の目的、倫理的配慮を明記した説明文書を配布し、調査を実施した。
4.データの分析方法:回収したアンケート用紙からその内容をコード化し、類似性に基づいてカテゴリー・サブカテゴリー化し、それぞれの質問ごとに質的帰納的分析をした。
なお、本文中では【】はカテゴリー名、<>はサブカテゴリーを表記する。<>はカテゴリーを得るに至ったコードである。
5.倫理的配慮:本研究に使用するアンケートは任意参加であり、匿名性などを説明する依頼文とともに、質問紙を研究対象者に配布した。
アンケートで得られた情報は研究目的以外で使用しないこと、自由意思によって回答してもらうものであり、回答しなくても不利益は生じないことも説明した。回収したアンケートは鍵付きロッカーに保管し、研究終了後は速やかにシュレッダーにて破棄した。
【結果】
1)対象者の属性質問紙回収率は77.2%であり、計34名の職員が協力した。年齢は20~60歳代、看護師・准看護師平均勤続年数は7.5年、介護福祉士・介護士の平均勤続年数は7.7年であった。
2)アンケート結果看取りの経験については、経験がある:27名(79.4%)、経験がない:6名(17.6%)、無回答:1名(2.9%)であった。
看取り等の意思決定の場に介入したことがあるかについては、介入したことがある:11名(32.3%)、介入したことがない:23名(67.6%)であった。
3)看取りのプロセスについて自由記載で得た回答
(1)看取りについて話し合うタイミング【早期】【状態変化時】【家族とともに決定】【ケースバイケース】【アドバンス・ケア・プランニングを導入しながら】の5つのカテゴリーに分類した。
【早期】では、<入所時>、<入所に慣れた時>、<意思疎通のできる間>の3つのサブカテゴリーに分類した。
【状態変化時】では、<身体状態の変化時>、<急変時>、<食事・飲水量低下時>の3つのサブカテゴリーに分類した。
【家族とともに決定】では、<家族から話を始めた時>、<今後の方向性を話し合う時>の2つのサブカテゴリーに分類した。
【ケースバイケース】では、<気持ちの変化>、<利用者の特徴>の2つのサブカテゴリーに分類した。
【アドバンス・ケア・プランニングを導入しながら】では、<アドバンス・ケア・プランニング>の1つのサブカテゴリーに分類した。
(2)意思決定の介入意思決定の場で職員として介入する際に、具体的にどのようなことを意識したり伝えたりしているか回答してもらい、【本人と家族の意思確認】【コミュニケーションと情報提供】【疼痛・心身・環境的な管理】【終末期の認識とケアの提供】【その他】の5つのカテゴリーに分類した。
【本人と家族の意思確認】は、<利用者本人と家族の意思尊重>、<生活歴>、<職員の介入>の3つのサブカテゴリーに分類した。
【コミュニケーションと情報提供】は、<生活の中でのコミュニケーション>、<説明>の2つのサブカテゴリーに分類した。
【疼痛・心身・環境的な管理】は、<苦痛の緩和>、<安楽>の2つのサブカテゴリーに分類した。
【終末期の認識とケアの提供】は、<終末期のケア>、<終末期の受け入れ>の2つのサブカテゴリーに分類した。
【その他】は、<知識不足>の1つのサブカテゴリーに分類した。
(3)利用者の人生の最終段階で考えていること・意識していること【コミュニケーションと意思尊重】【ケアとサポート】【終末期の準備と対応】の3つのカテゴリーに分類した。
【コミュニケーションと意思尊重】では、<本人の意思尊重>、<家族とのコミュニケーション>、<利用者とのコミュニケーション>の3つのサブカテゴリーに分類した。
その中で<結論は急がず、本人がどうしたいか納得いくまで意思尊重する>、<本人からの意思表示を大切にする。それを家族と共有していく>、<話せる人ならたくさん話を聞こうと思う>といったコードが得られた。
【ケアとサポート】では、<身体的ケア>、<精神的ケア>、<家族へのサポート>の3つのサブカテゴリーに分類した。
【終末期の準備と対応】では、<終末期のケア>、<利用者の希望の実現>、<専門職の役割>の3つのサブカテゴリーに分類した。
【考察】
対象者は7年以上の経験を有しており看取りの経験がある者が多かったが、意思決定の介入は少なかった。看取りについて話す機会がないため、状態変化時に慌てて話し合うことが多く、意思疎通の困難により家族のみの同意に至る場合もある。
厚生労働省の「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」では、本人の意思を基本とし、医療者との話し合いにより決定することが重要とされている。
A施設では入所時や意思疎通可能な間に看取りについて話し合う機会を設ける必要があり、ACPの導入などによる職員からの早期的な提示が課題である。
【結論】
看取りの話し合いは現状では【状態変化時】や【ケースバイケース】で実施されているが、利用者が意思決定を行うためには【早期】の段階で話し合う必要があるという考えが多く見られた。
<利用者本人と家族の意思尊重>、<利用者の希望の実現>といった利用者主体の看取りや意思決定のためには、ACPの導入や職員による話し合いのきっかけづくりがA施設の課題である。
本研究の目的は、A施設職員の看取りのプロセスについての考えを明らかにし、課題を抽出した。
【方法】
1.研究対象:A施設入所フロアの看護師・准看護師11名、介護福祉士・介護士33名。
2.研究期間:2024年5月~2024年10月
3.研究方法:職員の看取りのプロセスに対する考えを問う質問調査をアンケート形式で行った。研究対象者へは研究の目的、倫理的配慮を明記した説明文書を配布し、調査を実施した。
4.データの分析方法:回収したアンケート用紙からその内容をコード化し、類似性に基づいてカテゴリー・サブカテゴリー化し、それぞれの質問ごとに質的帰納的分析をした。
なお、本文中では【】はカテゴリー名、<>はサブカテゴリーを表記する。<>はカテゴリーを得るに至ったコードである。
5.倫理的配慮:本研究に使用するアンケートは任意参加であり、匿名性などを説明する依頼文とともに、質問紙を研究対象者に配布した。
アンケートで得られた情報は研究目的以外で使用しないこと、自由意思によって回答してもらうものであり、回答しなくても不利益は生じないことも説明した。回収したアンケートは鍵付きロッカーに保管し、研究終了後は速やかにシュレッダーにて破棄した。
【結果】
1)対象者の属性質問紙回収率は77.2%であり、計34名の職員が協力した。年齢は20~60歳代、看護師・准看護師平均勤続年数は7.5年、介護福祉士・介護士の平均勤続年数は7.7年であった。
2)アンケート結果看取りの経験については、経験がある:27名(79.4%)、経験がない:6名(17.6%)、無回答:1名(2.9%)であった。
看取り等の意思決定の場に介入したことがあるかについては、介入したことがある:11名(32.3%)、介入したことがない:23名(67.6%)であった。
3)看取りのプロセスについて自由記載で得た回答
(1)看取りについて話し合うタイミング【早期】【状態変化時】【家族とともに決定】【ケースバイケース】【アドバンス・ケア・プランニングを導入しながら】の5つのカテゴリーに分類した。
【早期】では、<入所時>、<入所に慣れた時>、<意思疎通のできる間>の3つのサブカテゴリーに分類した。
【状態変化時】では、<身体状態の変化時>、<急変時>、<食事・飲水量低下時>の3つのサブカテゴリーに分類した。
【家族とともに決定】では、<家族から話を始めた時>、<今後の方向性を話し合う時>の2つのサブカテゴリーに分類した。
【ケースバイケース】では、<気持ちの変化>、<利用者の特徴>の2つのサブカテゴリーに分類した。
【アドバンス・ケア・プランニングを導入しながら】では、<アドバンス・ケア・プランニング>の1つのサブカテゴリーに分類した。
(2)意思決定の介入意思決定の場で職員として介入する際に、具体的にどのようなことを意識したり伝えたりしているか回答してもらい、【本人と家族の意思確認】【コミュニケーションと情報提供】【疼痛・心身・環境的な管理】【終末期の認識とケアの提供】【その他】の5つのカテゴリーに分類した。
【本人と家族の意思確認】は、<利用者本人と家族の意思尊重>、<生活歴>、<職員の介入>の3つのサブカテゴリーに分類した。
【コミュニケーションと情報提供】は、<生活の中でのコミュニケーション>、<説明>の2つのサブカテゴリーに分類した。
【疼痛・心身・環境的な管理】は、<苦痛の緩和>、<安楽>の2つのサブカテゴリーに分類した。
【終末期の認識とケアの提供】は、<終末期のケア>、<終末期の受け入れ>の2つのサブカテゴリーに分類した。
【その他】は、<知識不足>の1つのサブカテゴリーに分類した。
(3)利用者の人生の最終段階で考えていること・意識していること【コミュニケーションと意思尊重】【ケアとサポート】【終末期の準備と対応】の3つのカテゴリーに分類した。
【コミュニケーションと意思尊重】では、<本人の意思尊重>、<家族とのコミュニケーション>、<利用者とのコミュニケーション>の3つのサブカテゴリーに分類した。
その中で<結論は急がず、本人がどうしたいか納得いくまで意思尊重する>、<本人からの意思表示を大切にする。それを家族と共有していく>、<話せる人ならたくさん話を聞こうと思う>といったコードが得られた。
【ケアとサポート】では、<身体的ケア>、<精神的ケア>、<家族へのサポート>の3つのサブカテゴリーに分類した。
【終末期の準備と対応】では、<終末期のケア>、<利用者の希望の実現>、<専門職の役割>の3つのサブカテゴリーに分類した。
【考察】
対象者は7年以上の経験を有しており看取りの経験がある者が多かったが、意思決定の介入は少なかった。看取りについて話す機会がないため、状態変化時に慌てて話し合うことが多く、意思疎通の困難により家族のみの同意に至る場合もある。
厚生労働省の「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」では、本人の意思を基本とし、医療者との話し合いにより決定することが重要とされている。
A施設では入所時や意思疎通可能な間に看取りについて話し合う機会を設ける必要があり、ACPの導入などによる職員からの早期的な提示が課題である。
【結論】
看取りの話し合いは現状では【状態変化時】や【ケースバイケース】で実施されているが、利用者が意思決定を行うためには【早期】の段階で話し合う必要があるという考えが多く見られた。
<利用者本人と家族の意思尊重>、<利用者の希望の実現>といった利用者主体の看取りや意思決定のためには、ACPの導入や職員による話し合いのきっかけづくりがA施設の課題である。
