講演情報
[27-O-C002-06]多職種が協働して関わる看取りケア
長野県 ○竹井 理恵子, 中嶋 良美 (介護老人保健施設ウィングラス)
【はじめに】
当施設は2021年12月からターミナル加算の算定を行っている。令和6年度は12件の看取りを行った。看取りカンファレンスで振り返りを行っている中から「看取り期に入ってからあまり関われていない」「看取りケアの具体的なケアがわからない」という意見が、看護職以外の職種から聞かれることが度々あった。看取り期に入ると看護職がケアの中心的な役割を担うことから、他職種は消極的になり関りが減ってしまう印象がある。多職種が協働して利用者や家族と最後の時間を共に穏やかに過ごすための働きかけを行い、その変化の過程を報告する。
【目標】
看取りケアに対し、多職種がそれぞれの専門職として意識変化がみられる
【実施計画】
1.看取り期の利用者に対してのアンケート調査を実施
2.看取りケアの学習会実施、研修動画配信サービスの視聴を勧める
3.看取りのケアプラン立案、実施
4.実践後のアンケート調査を実施、変化を評価する
【結果】
アンケートの集計結果より、『看取り期にある利用者や家族に対しての関わりの意識状態』は、実施前と実施後では、看護職は0.2の減少だった。看護職の関わりの意見として、学習会や研修、看取りカンファレンスから自分のやりたい看護が具体化され、それが出来ていなかったことに気付いたとあった。『看取り期の利用者や家族と関わったことがあるか』では看護職、管理栄養士、歯科衛生士は実施前と実施後、共に100%だった。介護職は67%→80%へ上昇した。リハビリ職は職員増加の影響もあり10%減少したが他施設では関わったことがあるとの回答だった。ケアマネ・相談員は75%→100%と上昇した。『お看取りに対して影響を受けたもの』については、チーム会議内で実施した学習会の影響を受けた人が最多となった。同様にチーム会議内で実施している、看取りカンファレンスの影響を受けた人も多かった。多職種の関わり方や関わる際の思いなどが共有でき、コミュニケーションから利用者の思いを汲みとることの大切さを学んだなどの意見があった。研修動画配信サービスの視聴や、法人主催の研修、その他の研修については個人の自主的な参加のため、影響を受けた人は少数だった。
看取り対象のケアプランは、具体的で個別性のあるケアプランになった。また、ケアプランを多職種へ周知し情報共有に努めた結果、事前にケアプランの内容を確認した上でケアを実施する職員が増え、ケアの統一に繋がった。
【考察】
看取りとは、何か特別なことをしなければいけない印象だったが、研修より日々のいつも通りのケアを丁寧に支援することと学んだ。用事が無ければ利用者の元へ足を運ぶことはなかったが、挨拶や顔を見るといったことでも部屋を訪れるようになり、利用者との時間を大切にしたい気持ちへと変わったと考えられる。また、具体的なケアプランを立案・実施したことで、日々の生活援助が看取りケアの一環であると感じられ、介護職が看取りに関われたとの回答が上昇したと推測される。
看取りカンファレンスは、亡くなってから1ヶ月以内のチーム会で行っている。家族の反応や言葉を聞くと、もっと頑張ろうと思ったという意見があり、質の向上以外にも職員のモチベーションアップになっていることがわかった。
看護職では、看取り期に入ってから好きな食べ物、趣味、若い頃の生活状況等、知らないことが多く、何をしたら喜んでもられるのかわからないと自分たちの足りなさに気が付けた。看取り期のケアの第1歩は利用者のことを知ること、入所した時点から看取りケアへつながっていることがわかった。
看護職だけで行っていたエンゼルケアを介護職も参加したいと意見があり、看護職と介護職が一緒に行うようになった。ご遺体となった利用者と関わり、職員も死を認識し「安らかな死を穏やかに迎える」ためのケアへ意識変化がみられたと考える。リハビリ職では褥瘡予防のためのマット選択や体位変換方法等について、介護職ではベッド上での洗髪やアロマを使用しての足浴等、管理栄養士では食事・水分の大切さ、食べる喜びについて、歯科衛生士は苦痛の少ない口腔ケア方法の指導等、多職種の職員が気にかけ自ら行動する変化がみられた。また、看取り期ではないが半年の余命宣告された利用者が「死ぬ前に好きなもん食いたいな」のつぶやきを聞いた管理栄養士が、多職種に相談し家族の協力を得て好物のお寿司や季節の食べ物を提供した。「俺の好きなものばかりだ、うんまいな」と喜ぶ利用者の声を聴くことができた。看取り期になってから好物を勧めても食べることができない。食べられるうちに食べて欲しいという職員の思いから行動できた一例である。
令和6年度の1年間で、12人の利用者のお看取りを行った。看取り期に入り、病院ではなく住みなれた顔なじみの職員のいる当施設を希望される家族もいた。多職種が連携して関わる老健の強みを生かし、最期を過ごす施設として選ばれる老健も必要である。
【おわりに】
施設での看取りケアは、特別なことをするのではなく「日常生活の延長線上にある」と考えられている。心地よいと思われるケアを、心をこめて丁寧に行うこと。その毎日の積み重ねが看取りケアである。多職種それぞれが専門職として看取りの視点を高め、気づきを共有、連携して日々のケアの質の向上に繋げたいと考える。
当施設は2021年12月からターミナル加算の算定を行っている。令和6年度は12件の看取りを行った。看取りカンファレンスで振り返りを行っている中から「看取り期に入ってからあまり関われていない」「看取りケアの具体的なケアがわからない」という意見が、看護職以外の職種から聞かれることが度々あった。看取り期に入ると看護職がケアの中心的な役割を担うことから、他職種は消極的になり関りが減ってしまう印象がある。多職種が協働して利用者や家族と最後の時間を共に穏やかに過ごすための働きかけを行い、その変化の過程を報告する。
【目標】
看取りケアに対し、多職種がそれぞれの専門職として意識変化がみられる
【実施計画】
1.看取り期の利用者に対してのアンケート調査を実施
2.看取りケアの学習会実施、研修動画配信サービスの視聴を勧める
3.看取りのケアプラン立案、実施
4.実践後のアンケート調査を実施、変化を評価する
【結果】
アンケートの集計結果より、『看取り期にある利用者や家族に対しての関わりの意識状態』は、実施前と実施後では、看護職は0.2の減少だった。看護職の関わりの意見として、学習会や研修、看取りカンファレンスから自分のやりたい看護が具体化され、それが出来ていなかったことに気付いたとあった。『看取り期の利用者や家族と関わったことがあるか』では看護職、管理栄養士、歯科衛生士は実施前と実施後、共に100%だった。介護職は67%→80%へ上昇した。リハビリ職は職員増加の影響もあり10%減少したが他施設では関わったことがあるとの回答だった。ケアマネ・相談員は75%→100%と上昇した。『お看取りに対して影響を受けたもの』については、チーム会議内で実施した学習会の影響を受けた人が最多となった。同様にチーム会議内で実施している、看取りカンファレンスの影響を受けた人も多かった。多職種の関わり方や関わる際の思いなどが共有でき、コミュニケーションから利用者の思いを汲みとることの大切さを学んだなどの意見があった。研修動画配信サービスの視聴や、法人主催の研修、その他の研修については個人の自主的な参加のため、影響を受けた人は少数だった。
看取り対象のケアプランは、具体的で個別性のあるケアプランになった。また、ケアプランを多職種へ周知し情報共有に努めた結果、事前にケアプランの内容を確認した上でケアを実施する職員が増え、ケアの統一に繋がった。
【考察】
看取りとは、何か特別なことをしなければいけない印象だったが、研修より日々のいつも通りのケアを丁寧に支援することと学んだ。用事が無ければ利用者の元へ足を運ぶことはなかったが、挨拶や顔を見るといったことでも部屋を訪れるようになり、利用者との時間を大切にしたい気持ちへと変わったと考えられる。また、具体的なケアプランを立案・実施したことで、日々の生活援助が看取りケアの一環であると感じられ、介護職が看取りに関われたとの回答が上昇したと推測される。
看取りカンファレンスは、亡くなってから1ヶ月以内のチーム会で行っている。家族の反応や言葉を聞くと、もっと頑張ろうと思ったという意見があり、質の向上以外にも職員のモチベーションアップになっていることがわかった。
看護職では、看取り期に入ってから好きな食べ物、趣味、若い頃の生活状況等、知らないことが多く、何をしたら喜んでもられるのかわからないと自分たちの足りなさに気が付けた。看取り期のケアの第1歩は利用者のことを知ること、入所した時点から看取りケアへつながっていることがわかった。
看護職だけで行っていたエンゼルケアを介護職も参加したいと意見があり、看護職と介護職が一緒に行うようになった。ご遺体となった利用者と関わり、職員も死を認識し「安らかな死を穏やかに迎える」ためのケアへ意識変化がみられたと考える。リハビリ職では褥瘡予防のためのマット選択や体位変換方法等について、介護職ではベッド上での洗髪やアロマを使用しての足浴等、管理栄養士では食事・水分の大切さ、食べる喜びについて、歯科衛生士は苦痛の少ない口腔ケア方法の指導等、多職種の職員が気にかけ自ら行動する変化がみられた。また、看取り期ではないが半年の余命宣告された利用者が「死ぬ前に好きなもん食いたいな」のつぶやきを聞いた管理栄養士が、多職種に相談し家族の協力を得て好物のお寿司や季節の食べ物を提供した。「俺の好きなものばかりだ、うんまいな」と喜ぶ利用者の声を聴くことができた。看取り期になってから好物を勧めても食べることができない。食べられるうちに食べて欲しいという職員の思いから行動できた一例である。
令和6年度の1年間で、12人の利用者のお看取りを行った。看取り期に入り、病院ではなく住みなれた顔なじみの職員のいる当施設を希望される家族もいた。多職種が連携して関わる老健の強みを生かし、最期を過ごす施設として選ばれる老健も必要である。
【おわりに】
施設での看取りケアは、特別なことをするのではなく「日常生活の延長線上にある」と考えられている。心地よいと思われるケアを、心をこめて丁寧に行うこと。その毎日の積み重ねが看取りケアである。多職種それぞれが専門職として看取りの視点を高め、気づきを共有、連携して日々のケアの質の向上に繋げたいと考える。
