講演情報
[27-O-C002-07]看取り期の「食べたい」に寄り添う看護師の役割多職種連携を支えるフローチャート作成を通して
鳥取県 ○遠藤 千晶, 松本 直子, 足立 由里佳, 曽我 円, 渡部 佐枝子, 粟木 悦子 (介護老人保健施設はまかぜ)
【はじめに】
施設での看取りを希望する利用者が増加する中、当施設では2018年より看取りケアに取り組んでいる。しかし、介護職員の多くは看取りの経験が浅く、不安や戸惑いの声が多く聞かれていた。中でも「食べる」という行為は、単なる栄養摂取にとどまらず、尊厳やQOL(生活の質)を支える重要な要素である。そのため「できる限り口から食べてほしい」という思いと、「誤嚥・窒息のリスク」に対する恐れとの間で職員は葛藤を抱えていた。実際に看取りを経験した職員からは、「もっとできたことがあったのではないか」「どう判断すべきか分からなかった」といった振り返りの声があがった。こうした背景から、看護師として利用者の状態や意思、家族の思いを的確に捉え、タイムリーに多職種へ情報共有しながらケアを調整していく必要性を強く感じた。そこで2023年に看取りケアチームを立ち上げ、「食べたい気持ち」に寄りそう食事ケアのあり方を再考し、看取り期における職種ごとの役割と段階別の対応を明確にした「食事対応フローチャート」を作成したので、その取り組みを報告する。
【目的】
本人の意思を尊重し、最期まで「食べたいものを口にできる」支援を実現するために、看護師をはじめとする多職種の役割分担と連携の在り方を明確化し、統一性を保ちつつ個別性にも配慮した食事ケアの提供を目指す。
【方法】
1.看取りケアチームは、医師、看護師、介護士、リハビリ職、管理栄養士、相談員で構成
2.職種ごとの食事ケアに対する意識と知識を把握するため、アンケートを実施
3.アンケート結果を分析し、各職種の思いや課題を明確化した上で、チームで検討会を開催。多施設の取り組みや看護協会の文献を参考に、「入所時」「前期」「中期~後期」の3段階に分類し、各時期における職種別の対応を明文化し、フローチャートを作成した。
【結果】
作成したフローチャートにより、食事ケアの流れや職種間の連携方法を視覚的に明確化することができた。(図1参照)
全職種が目指すべき共通の目標を共有できるよう、目標は赤字で明記した。
【考察】
病状の進行に応じて「前期」「中期~後期」に分類したことで、多職種がどの時期にどのような役割を果たすかが明確となり、看取りケアにおける段階的なアプローチが視覚的に理解しやすくなったと考える。また、目標を赤字で明記したことで、全職種が共通の目標に向かい、連携して取り組む体制づくりとなった。
看護師の役割としては、各段階で本人の状態や意思、家族の思いを把握してアセスメントを行うことに加え、定期的なミールラウンドやカンファレンスを通じて、多職種へ情報共有し連携を図る実践の中心的役割を担う。さらに、食事内容の調整や嚥下状態・体調の変化を観察し、「最後までその人らしい食事」が実現できるよう、柔軟な食事対応を提案・実施していく必要がある。特に、看取りの診断後や状態変化の著しい中期・後期においては、医師と連携した判断支援が求められ、病状変化への即応性が重要となる。加えて、本人の気持ちに寄り添い安心感を与える関係性の構築や、看取りへの不安や喪失に直面する家族への説明・精神的サポートなどのグリーフケアへの配慮も看護師の重要な役割である。
今回のフローチャート作成を通して、看取り期における多職種協働を視覚的かつ実践的に整理することができ、チームケアの重要性をあらためて実感した。本人の意思を尊重し、最期まで「食べたいものを口にできる」ための各職種の役割と連携を明確化した本ツールは、統一性と個別性の両立を図る食事ケアの実践を可能にするとともに、現場職員の教育にも活用できる有効な資源であると考える。
【おわりに】
看取り期における食事ケアは、単なる栄養補給ではなく「その人らしさ」や「生きる力」を支える重要なケアである。今回の取り組みにより、看護師を含む多職種の連携を可視化し、統一性を持ちつつも個別性に配慮したケアの提供が可能となった。
今後は、食事に限らず排泄や清潔などの看取り期全般のケアについても、可視化と明確化を進めていく予定である。人生の最終段階にある利用者とその家族が、残された時間を穏やかに、そしてその人らしく過ごせるよう、看護師として本人の尊厳と安心を守るケアの推進者となり、今後も看取りケアの質の向上に努めていきたい。
施設での看取りを希望する利用者が増加する中、当施設では2018年より看取りケアに取り組んでいる。しかし、介護職員の多くは看取りの経験が浅く、不安や戸惑いの声が多く聞かれていた。中でも「食べる」という行為は、単なる栄養摂取にとどまらず、尊厳やQOL(生活の質)を支える重要な要素である。そのため「できる限り口から食べてほしい」という思いと、「誤嚥・窒息のリスク」に対する恐れとの間で職員は葛藤を抱えていた。実際に看取りを経験した職員からは、「もっとできたことがあったのではないか」「どう判断すべきか分からなかった」といった振り返りの声があがった。こうした背景から、看護師として利用者の状態や意思、家族の思いを的確に捉え、タイムリーに多職種へ情報共有しながらケアを調整していく必要性を強く感じた。そこで2023年に看取りケアチームを立ち上げ、「食べたい気持ち」に寄りそう食事ケアのあり方を再考し、看取り期における職種ごとの役割と段階別の対応を明確にした「食事対応フローチャート」を作成したので、その取り組みを報告する。
【目的】
本人の意思を尊重し、最期まで「食べたいものを口にできる」支援を実現するために、看護師をはじめとする多職種の役割分担と連携の在り方を明確化し、統一性を保ちつつ個別性にも配慮した食事ケアの提供を目指す。
【方法】
1.看取りケアチームは、医師、看護師、介護士、リハビリ職、管理栄養士、相談員で構成
2.職種ごとの食事ケアに対する意識と知識を把握するため、アンケートを実施
3.アンケート結果を分析し、各職種の思いや課題を明確化した上で、チームで検討会を開催。多施設の取り組みや看護協会の文献を参考に、「入所時」「前期」「中期~後期」の3段階に分類し、各時期における職種別の対応を明文化し、フローチャートを作成した。
【結果】
作成したフローチャートにより、食事ケアの流れや職種間の連携方法を視覚的に明確化することができた。(図1参照)
全職種が目指すべき共通の目標を共有できるよう、目標は赤字で明記した。
【考察】
病状の進行に応じて「前期」「中期~後期」に分類したことで、多職種がどの時期にどのような役割を果たすかが明確となり、看取りケアにおける段階的なアプローチが視覚的に理解しやすくなったと考える。また、目標を赤字で明記したことで、全職種が共通の目標に向かい、連携して取り組む体制づくりとなった。
看護師の役割としては、各段階で本人の状態や意思、家族の思いを把握してアセスメントを行うことに加え、定期的なミールラウンドやカンファレンスを通じて、多職種へ情報共有し連携を図る実践の中心的役割を担う。さらに、食事内容の調整や嚥下状態・体調の変化を観察し、「最後までその人らしい食事」が実現できるよう、柔軟な食事対応を提案・実施していく必要がある。特に、看取りの診断後や状態変化の著しい中期・後期においては、医師と連携した判断支援が求められ、病状変化への即応性が重要となる。加えて、本人の気持ちに寄り添い安心感を与える関係性の構築や、看取りへの不安や喪失に直面する家族への説明・精神的サポートなどのグリーフケアへの配慮も看護師の重要な役割である。
今回のフローチャート作成を通して、看取り期における多職種協働を視覚的かつ実践的に整理することができ、チームケアの重要性をあらためて実感した。本人の意思を尊重し、最期まで「食べたいものを口にできる」ための各職種の役割と連携を明確化した本ツールは、統一性と個別性の両立を図る食事ケアの実践を可能にするとともに、現場職員の教育にも活用できる有効な資源であると考える。
【おわりに】
看取り期における食事ケアは、単なる栄養補給ではなく「その人らしさ」や「生きる力」を支える重要なケアである。今回の取り組みにより、看護師を含む多職種の連携を可視化し、統一性を持ちつつも個別性に配慮したケアの提供が可能となった。
今後は、食事に限らず排泄や清潔などの看取り期全般のケアについても、可視化と明確化を進めていく予定である。人生の最終段階にある利用者とその家族が、残された時間を穏やかに、そしてその人らしく過ごせるよう、看護師として本人の尊厳と安心を守るケアの推進者となり、今後も看取りケアの質の向上に努めていきたい。

