講演情報
[27-O-C003-04]入所者の思いを引き出す「心づもりシート」の活用多職種連携で取り組むプレターミナルACP
北海道 ○池元 好江, 島田 徹子, 柴田 久里, 中村 友紀, 土永 真裕, 原口 麻季 (介護老人保健施設アメニティ西岡)
【はじめに】
当施設は12年前より看取りケア委員会を設置し、積極的に看取りケアを実践している。入所者の平均年齢は90歳以上となり、病気・障害を複数抱え、急変や病状の重篤化による身体機能の低下をきたし易いため、入所間もなくから「最期を迎える場所」や「終末期医療に関する意思確認」の説明を実施している。殆どの入所者は認知症を有し、コミュニケーションに支障がある為、推定される本人の意思を家族から聞き取り同意を頂いている現状であった。
令和5年度看取り委員会で、認知症であっても質問内容や聞き取り方によっては、本人の思いや希望、真意を引き出し意思決定支援に繋げられるのではと考え「心づもりシート」を作成した。令和6年度はプレテストを重ねて回答状況、聴取者の反応、施設長(医師)の反応、家族の反応等から評価し質問項目を見直し、職員研修を実施し導入した。入所者の思いを知り職員の意識にも変化があり、家族からも納得いく意思決定ができるとの言葉を頂いているので、経過に考察を加え報告する。
【目的】
入所者本人の思いを引き出し家族と共有し、意思決定支援に繋げる
【方法】
1令和6年度に聴取した「心づもりシート」の回答内容を分析
2聴取した職員の意見、施設長(医師)の意見、家族の反応を聴き取りまとめる。
【研究期間】
令和5年4月~令和7年6月
【経過・結果】
・令和5年度に作成した「心づもりシート」で39名の入所者に多職種で構成されている看取りケア委員が聴き取り、評価後一部修正した。
当施設の入所者を対象とすると言語的コミュニケーションには限りがあり、時間をかけて質問をする事は体力や集中力が持たないため、YES/NOで簡単に答えられる質問から始めると、言葉や意思を引き出しやすいと評価し、以下の5項目とした
1:大切にしたい思いや気持ち YES/NO回答とし複数選択
2:好きなものについて 趣味や特技、好きな食べ物、好きな音楽TV、好きな服、行ってみたい場所等
3:エンディングノートや遺言状の有無
4:ご家族に伝えておきたいこと
5:最期を迎える場所について
・令和6年8月入所者に「心づもりシート」の聴き取りを実施
聴取は入所者の受け持ち職員(介護福祉士、看護師)とした。
入所者84名中、76名から聴取。
聴取できなかった8名は認知症日常生活自立度4以上であった。
聴取に要する時間は、平均20分前後であった。
聴取中に入所者の精神的な変化は無かった。
1項目:YES/NO回答で、普段は意思疎通が難しい方からも聴き取りが出来た。
2項目:好きな物は、多種多様な回答が得られた。
3項目:エンディングノートや遺言状は、78%の方がないと答えていた。この時に自身の死生観を話し始めた方が数名いた。
4項目:家族に伝えたい事は、感謝の気持ちが多く聞かれた。
5項目:最期を迎える場所は、自宅との回答が半数近くあった。
・聴き取り後の職員の感想、意見
認知症の方も表情等から意思を確認できた、自分の意思を伝えたいという意欲を感じた、穏やかな表情で普段話せない事も話し合えてよかった、家族と話せない事も職員だから聞ける、入所者と静かに話し合い寄りそえた気分になれた等、前向きな感想意見が多数聞かれた。
・施設長(医師)の感想、意見
入所時健診の結果を家族に説明する時に「終末期医療に関する意思確認書」の同意を得ている。「心づもりシート」を家族に見て頂くと、入所者本人の考えに添い、説明しやすく同意も得られやすい。看取りケア同意時も、納得できる決断をされていると感じる。介護・看護・リハビリと多職種協働でコミュニケーションの幅を広げ、聞き取るようにして欲しい。
・家族の感想
家族間で話し合えていなかった事がわかって良かった。看取りケア説明時に「心づもりシート」を見せて頂き納得する同意だった。本人の考えと自分達の考えが一致していた。良い取り組みなので今後も続けて頂きたい。
・この結果から、令和6年10月より運用方法として、新規入所者には1週間以内に多職種連携で「心づもりシート」を聴取する。家族には施設長(医師)による「終末期医療に関する確認書」の説明時に見て頂き共有する。転所、入院時には「心づもりシート」と「終末期医療に関する確認書」を添付する
【考察】
1.入所者の多くは、基本的な欲求に基づく事、大切にしたい事を声に出して尋ねると、言葉が多く聞かれ、自分の意思を伝えたいという意欲が引き出されていたと考える。
2.入所者は超高齢者であり、入所後間もなく急変する事もある。入所後は速やかに「心づもりシート」を聴取し、「終末期医療に関する意思確認」により、本人の望まぬ救急搬送、処置とならぬようプレターミナル期に、本人と家族が納得できる意思決定に導く事が重要である。
3.「心づもりシート」は介護福祉士、看護師が聴取し、担当リハビリ職員が追加聴取する事で内容に深みがでて入所者の真意に近づき、多職種での聴取が有効である。
4.この活動は看取りケアに限らず本人の意思を尊重し、願いを叶える関わりができるとQOLの向上に繋がり職員も満足できる。
5.転所、入院する時には「心づもりシート」を添付しACP確認に繋げられる様、先方スタッフとの情報共有が大事である。
【今後の展望】
「心づもりシート」の活用により、職員は入所者への関心が深まり、時には今できる事を家族と共に考える機会を得て実践している。その人がどう生き抜くか、入所者の意思を引き出すかかわりを大切にしていきたい
当施設は12年前より看取りケア委員会を設置し、積極的に看取りケアを実践している。入所者の平均年齢は90歳以上となり、病気・障害を複数抱え、急変や病状の重篤化による身体機能の低下をきたし易いため、入所間もなくから「最期を迎える場所」や「終末期医療に関する意思確認」の説明を実施している。殆どの入所者は認知症を有し、コミュニケーションに支障がある為、推定される本人の意思を家族から聞き取り同意を頂いている現状であった。
令和5年度看取り委員会で、認知症であっても質問内容や聞き取り方によっては、本人の思いや希望、真意を引き出し意思決定支援に繋げられるのではと考え「心づもりシート」を作成した。令和6年度はプレテストを重ねて回答状況、聴取者の反応、施設長(医師)の反応、家族の反応等から評価し質問項目を見直し、職員研修を実施し導入した。入所者の思いを知り職員の意識にも変化があり、家族からも納得いく意思決定ができるとの言葉を頂いているので、経過に考察を加え報告する。
【目的】
入所者本人の思いを引き出し家族と共有し、意思決定支援に繋げる
【方法】
1令和6年度に聴取した「心づもりシート」の回答内容を分析
2聴取した職員の意見、施設長(医師)の意見、家族の反応を聴き取りまとめる。
【研究期間】
令和5年4月~令和7年6月
【経過・結果】
・令和5年度に作成した「心づもりシート」で39名の入所者に多職種で構成されている看取りケア委員が聴き取り、評価後一部修正した。
当施設の入所者を対象とすると言語的コミュニケーションには限りがあり、時間をかけて質問をする事は体力や集中力が持たないため、YES/NOで簡単に答えられる質問から始めると、言葉や意思を引き出しやすいと評価し、以下の5項目とした
1:大切にしたい思いや気持ち YES/NO回答とし複数選択
2:好きなものについて 趣味や特技、好きな食べ物、好きな音楽TV、好きな服、行ってみたい場所等
3:エンディングノートや遺言状の有無
4:ご家族に伝えておきたいこと
5:最期を迎える場所について
・令和6年8月入所者に「心づもりシート」の聴き取りを実施
聴取は入所者の受け持ち職員(介護福祉士、看護師)とした。
入所者84名中、76名から聴取。
聴取できなかった8名は認知症日常生活自立度4以上であった。
聴取に要する時間は、平均20分前後であった。
聴取中に入所者の精神的な変化は無かった。
1項目:YES/NO回答で、普段は意思疎通が難しい方からも聴き取りが出来た。
2項目:好きな物は、多種多様な回答が得られた。
3項目:エンディングノートや遺言状は、78%の方がないと答えていた。この時に自身の死生観を話し始めた方が数名いた。
4項目:家族に伝えたい事は、感謝の気持ちが多く聞かれた。
5項目:最期を迎える場所は、自宅との回答が半数近くあった。
・聴き取り後の職員の感想、意見
認知症の方も表情等から意思を確認できた、自分の意思を伝えたいという意欲を感じた、穏やかな表情で普段話せない事も話し合えてよかった、家族と話せない事も職員だから聞ける、入所者と静かに話し合い寄りそえた気分になれた等、前向きな感想意見が多数聞かれた。
・施設長(医師)の感想、意見
入所時健診の結果を家族に説明する時に「終末期医療に関する意思確認書」の同意を得ている。「心づもりシート」を家族に見て頂くと、入所者本人の考えに添い、説明しやすく同意も得られやすい。看取りケア同意時も、納得できる決断をされていると感じる。介護・看護・リハビリと多職種協働でコミュニケーションの幅を広げ、聞き取るようにして欲しい。
・家族の感想
家族間で話し合えていなかった事がわかって良かった。看取りケア説明時に「心づもりシート」を見せて頂き納得する同意だった。本人の考えと自分達の考えが一致していた。良い取り組みなので今後も続けて頂きたい。
・この結果から、令和6年10月より運用方法として、新規入所者には1週間以内に多職種連携で「心づもりシート」を聴取する。家族には施設長(医師)による「終末期医療に関する確認書」の説明時に見て頂き共有する。転所、入院時には「心づもりシート」と「終末期医療に関する確認書」を添付する
【考察】
1.入所者の多くは、基本的な欲求に基づく事、大切にしたい事を声に出して尋ねると、言葉が多く聞かれ、自分の意思を伝えたいという意欲が引き出されていたと考える。
2.入所者は超高齢者であり、入所後間もなく急変する事もある。入所後は速やかに「心づもりシート」を聴取し、「終末期医療に関する意思確認」により、本人の望まぬ救急搬送、処置とならぬようプレターミナル期に、本人と家族が納得できる意思決定に導く事が重要である。
3.「心づもりシート」は介護福祉士、看護師が聴取し、担当リハビリ職員が追加聴取する事で内容に深みがでて入所者の真意に近づき、多職種での聴取が有効である。
4.この活動は看取りケアに限らず本人の意思を尊重し、願いを叶える関わりができるとQOLの向上に繋がり職員も満足できる。
5.転所、入院する時には「心づもりシート」を添付しACP確認に繋げられる様、先方スタッフとの情報共有が大事である。
【今後の展望】
「心づもりシート」の活用により、職員は入所者への関心が深まり、時には今できる事を家族と共に考える機会を得て実践している。その人がどう生き抜くか、入所者の意思を引き出すかかわりを大切にしていきたい

