講演情報
[27-O-C003-05]ターミナルケアにおけるご家族とのコミュニケーションご利用者・ご家族と寄り添うための介護職の挑戦
石川県 ○多川 絵理 (金沢南ケアセンター)
【はじめに】
当施設は、1995年に開設したが、2000年にクリニックが併設されたため、ターミナル期を迎えたご利用者のケアを、クリニックで行ってきた。しかし、2022年4月にクリニックの入院病床が閉鎖となり、始めて老健でターミナルケアを行うことになった。看護体制をどうするか、書類の整備、すべてが試行錯誤の連続の始まりだった。フロアにあったフリースペースをターミナルケアご利用者の居室にするため、改装工事を行った。コロナ禍での開始であったが、ターミナル期のご面会については、積極的に行えるよう配慮も行ってきた。当施設は100床が3フロアに分かれ、すべて多床室(4人部屋)である。介護職はフロア毎の担当となっており、本取り組みは、そのうちの2階フロア(36床)での取り組みとなる。2階フロアでは36床中3床をターミナルケア用の病床とし、老健に限らず、関連施設であるケアハウス、グループホームでターミナル期を迎えられたご利用者の受け入れを行ってきた。今回の発表は、ターミナルケアの実施から2年経過し明らかになってきた課題の一つである、ご家族とのコミュニケーションに関する介護職としての2024年度の取り組みである。
【課題】
看護師と連携しターミナルケアを実施しているが、「お看取り」に関しては初めてである介護職がほとんどであり、積極的にご本人、ご家族とのコミュニケーションをとることに戸惑いがある職員が多かった。ご家族に看護師から病状を伝えたあと、ご面会時にお声かけをする時間をとることができないことも多く、介護職としてご家族の心のケアまでいたっていなかった。
【目的】
ターミナル期を迎えられたご利用者とご家族との残された時間が、充実した時間となるよう、コミュニケーションや情報交換を通して、ご利用者の満足度、さらにはQOLの向上を目指し、またご家族がご利用者の最期と向き合うことができるよう支援することを目的とする。
【方法】
1、ノートを準備し、毎日ご利用者のご様子を記入する。
2、ターミナルケアについての説明の際に、本取り組みを伝える。
3、看護師や、リハビリ、相談員など他職種にも記入の依頼をする。
4、記載内容の言葉について、前向きな言葉も交えながら、ご家族もご状態を受け入れられるよう、事実も伝える。
5、退所された後、取り組みについての感想を直接ご家族にお聞きする機会をつくる。
6、ノート記載と合わせて、思い出の写真を飾ったり、好きな音楽をかけたり、居室をご本人とご家族が少しでも安らげる空間づくりを心がける。
【結果】
ご家族からの感想として「あまり職員と話はできなかったが、日々の様子を知ることができた」「家族も知らない一面を知ることができた」「必ず目を通していた」「老いていくとはこのような事かとわかった」「このノートの記録を、父の死と向き合った“イキ”(消さずに残しておくこと)にします」というような、感想をいただいた。又、ノートをぜひいただきたいという声も多く、お見送りの際にお渡ししている。逝去されるまでの1ヵ月の間、交換日記のようにお返事をいただいたご家族からは、後日お手紙をちょうだいした。また、3日ほどで逝去されたご利用者のご家族からは「もっとこのノートで、母のことを知りたかった」という言葉も聞かれ、直接ご家族からの声を退所後に聞くことで、ノートにお返事がなくても、私たちのノートの記載がご家族の心を支えていることがわかった。
【考察】
2024年度は、15名の方のターミナルケアを実施し、ノートの記載を行った。記載した内容に対するご家族からのお返事が増え、ご家族にしか見せない表情、言葉、昔のご様子などを教えていただく機会が増えた。挨拶ていどのやりとりしかなかったが、お互いに話す機会が増えたことで、ご利用者に関する多くの情報を共有することができた。また、口の乾燥が強く出血があり、さらに吸痰が必要になったご利用者のご家族から、不安の言葉が記載されていた際には、看護師からノートでのお返事や直接ご面会時に説明し、連携を図ることができた。これらのことから、ご利用者の最期にご家族が向き合うことができたという一定の効果があったと考える。また、間接的な効果としてノートを記載することで、介護職のご利用者の些細な変化を伝えたいという気持ちや観察能力は向上し、介護職の資質の向上にもつながったと考える。残された課題として、本取り組みの目的であるご本人にとって満足度やQOLの向上につながっているかについては、その効果を図ることが難しかった。
【まとめ】
1年間この取り組みを続け、ご家族に「どのように過ごしてほしいか?」と、漠然とお聞きしても、なかなかお答えが難しいことを実感している。どのように過ごしてほしいか?という質問の際には、例として、「なじみの関係の方は?」「好きな香りは?」「外出の希望は?」などをお聞きし、お答えに合わせて私たちも具体的にご要望に応えられることを目指している。今後もコミュニケーションの方法の1つとして、ノートの記載を続け、ご利用者がどのような人生を送りたいと考えておられるか、ご家族はどのような時間を過ごさせたいと思っておられるかを、くみ取れるようになりたい。また、そのためには、ACPの実施や、お元気な頃からご利用者の生活への希望をくみ取り、ご家族とのコミュニケーションを図ることが重要だと考えている。
当施設は、1995年に開設したが、2000年にクリニックが併設されたため、ターミナル期を迎えたご利用者のケアを、クリニックで行ってきた。しかし、2022年4月にクリニックの入院病床が閉鎖となり、始めて老健でターミナルケアを行うことになった。看護体制をどうするか、書類の整備、すべてが試行錯誤の連続の始まりだった。フロアにあったフリースペースをターミナルケアご利用者の居室にするため、改装工事を行った。コロナ禍での開始であったが、ターミナル期のご面会については、積極的に行えるよう配慮も行ってきた。当施設は100床が3フロアに分かれ、すべて多床室(4人部屋)である。介護職はフロア毎の担当となっており、本取り組みは、そのうちの2階フロア(36床)での取り組みとなる。2階フロアでは36床中3床をターミナルケア用の病床とし、老健に限らず、関連施設であるケアハウス、グループホームでターミナル期を迎えられたご利用者の受け入れを行ってきた。今回の発表は、ターミナルケアの実施から2年経過し明らかになってきた課題の一つである、ご家族とのコミュニケーションに関する介護職としての2024年度の取り組みである。
【課題】
看護師と連携しターミナルケアを実施しているが、「お看取り」に関しては初めてである介護職がほとんどであり、積極的にご本人、ご家族とのコミュニケーションをとることに戸惑いがある職員が多かった。ご家族に看護師から病状を伝えたあと、ご面会時にお声かけをする時間をとることができないことも多く、介護職としてご家族の心のケアまでいたっていなかった。
【目的】
ターミナル期を迎えられたご利用者とご家族との残された時間が、充実した時間となるよう、コミュニケーションや情報交換を通して、ご利用者の満足度、さらにはQOLの向上を目指し、またご家族がご利用者の最期と向き合うことができるよう支援することを目的とする。
【方法】
1、ノートを準備し、毎日ご利用者のご様子を記入する。
2、ターミナルケアについての説明の際に、本取り組みを伝える。
3、看護師や、リハビリ、相談員など他職種にも記入の依頼をする。
4、記載内容の言葉について、前向きな言葉も交えながら、ご家族もご状態を受け入れられるよう、事実も伝える。
5、退所された後、取り組みについての感想を直接ご家族にお聞きする機会をつくる。
6、ノート記載と合わせて、思い出の写真を飾ったり、好きな音楽をかけたり、居室をご本人とご家族が少しでも安らげる空間づくりを心がける。
【結果】
ご家族からの感想として「あまり職員と話はできなかったが、日々の様子を知ることができた」「家族も知らない一面を知ることができた」「必ず目を通していた」「老いていくとはこのような事かとわかった」「このノートの記録を、父の死と向き合った“イキ”(消さずに残しておくこと)にします」というような、感想をいただいた。又、ノートをぜひいただきたいという声も多く、お見送りの際にお渡ししている。逝去されるまでの1ヵ月の間、交換日記のようにお返事をいただいたご家族からは、後日お手紙をちょうだいした。また、3日ほどで逝去されたご利用者のご家族からは「もっとこのノートで、母のことを知りたかった」という言葉も聞かれ、直接ご家族からの声を退所後に聞くことで、ノートにお返事がなくても、私たちのノートの記載がご家族の心を支えていることがわかった。
【考察】
2024年度は、15名の方のターミナルケアを実施し、ノートの記載を行った。記載した内容に対するご家族からのお返事が増え、ご家族にしか見せない表情、言葉、昔のご様子などを教えていただく機会が増えた。挨拶ていどのやりとりしかなかったが、お互いに話す機会が増えたことで、ご利用者に関する多くの情報を共有することができた。また、口の乾燥が強く出血があり、さらに吸痰が必要になったご利用者のご家族から、不安の言葉が記載されていた際には、看護師からノートでのお返事や直接ご面会時に説明し、連携を図ることができた。これらのことから、ご利用者の最期にご家族が向き合うことができたという一定の効果があったと考える。また、間接的な効果としてノートを記載することで、介護職のご利用者の些細な変化を伝えたいという気持ちや観察能力は向上し、介護職の資質の向上にもつながったと考える。残された課題として、本取り組みの目的であるご本人にとって満足度やQOLの向上につながっているかについては、その効果を図ることが難しかった。
【まとめ】
1年間この取り組みを続け、ご家族に「どのように過ごしてほしいか?」と、漠然とお聞きしても、なかなかお答えが難しいことを実感している。どのように過ごしてほしいか?という質問の際には、例として、「なじみの関係の方は?」「好きな香りは?」「外出の希望は?」などをお聞きし、お答えに合わせて私たちも具体的にご要望に応えられることを目指している。今後もコミュニケーションの方法の1つとして、ノートの記載を続け、ご利用者がどのような人生を送りたいと考えておられるか、ご家族はどのような時間を過ごさせたいと思っておられるかを、くみ取れるようになりたい。また、そのためには、ACPの実施や、お元気な頃からご利用者の生活への希望をくみ取り、ご家族とのコミュニケーションを図ることが重要だと考えている。
