講演情報
[27-O-D002-03]BPSDを発症した利用者への関わりについて多職種チームでその方の生活背景を踏まえて考える
大阪府 ○西内 弘美, 荒瀬 蓮, 友田 詩穂 (社会医療法人慈薫会 介護老人保健施設大阪緑ヶ丘)
【背景】
認知症の有病率は年齢とともに急峻に高まることが知られている。現在、65歳以上の約16%が認知症であると推計されており、80歳代の後半であれば男性の35%、女性の44%が認知症であるといわれている。老健施設では他の介護施設と違い、多職種共同で認知症高齢者に介入することができる。BPSDを発症している高齢者に対して、個々の利用者の生活史や環境要件を考慮し、本人に合わせたリハビリやチームケアを行う事が重要であると考えた。
【方法】
症例82歳女性。要介護2。元来穏やかな性格で、趣味はカラオケや園芸など。出身は宮崎県で、就職のため大阪府に転居した。理容師として勤務した後に夫婦でカラオケ喫茶を営んでいた。夫婦二人暮らしで、夫は糖尿病や悪性腫瘍の治療により入退院を繰り返していた。本人は数年前までは自転車に乗り買い物も可能であったが、徐々に物忘れをする様になった。1年前には自宅がわからなくなり、警察に保護されることもあった。令和6年9月に近医受診しアルツハイマー型認知症と診断されドネペジル塩酸塩錠5ミリグラム1錠/日が開始となった。しかし、認知症の進行とともに自宅での生活が困難となり、令和6年12月に当施設に入所となった。既往歴は10年以上前に硬膜下血腫で手術歴がある。現在の認知症高齢者の日常生活自立度IV、障害高齢者の日常生活自立度はA1である。身体機能面は著明な制限は無く、移動も独歩で自立。硬膜下血腫後の運動麻痺や感覚障害なども認めなかった。入所後、不安な表情をうかべて落ち着きが無く、何度か離棟を繰り返す様になった。特に夜間に帰宅願望が強く、自宅や夫の事を心配している様子がみられた。担当の作業療法士、介護士、看護師、ケアマネージャーと共同で本人の心身機能や活動、今までの生活環境を考え個別のケアプランやリハビリについて検討を行った。
元来、人と関わる事を好む性格であるため、集団でのレクリエーション参加を促した。カラオケ喫茶を経営していたため、ピアノに合わせて歌を歌う、ラジオ体操や歌いながらの体操を行うなどの集団レクリエーションを行った。また、食事の配膳や下膳、おやつの準備、テーブル拭きなどの役割を担ってもらい、入所前の生活と近い環境を提供する様に試みた。
帰宅願望の原因については、夫を心配する気持ちからの行動であると考えた。そのため、糖尿病コントロール入院後の夫を当施設で受け入れを行い、夫と面会する時間を持っていただく様にした。
【結果】
集団でのレクリエーションは、比較的落ち着いて参加し、表情も明るく安心した表情を浮かべることもあった。配膳や下膳、テーブル拭きなどの作業を行う際は明るい表情もみられたが、役割が無くなると不安な表情を浮かべる様になった。また、個室から多床室に変更することで夜間の徘徊が減少し、入眠時間が増える様になった。夫と面会することで日中の不穏も解消され、離棟の回数も減少した。
【考察】
認知症ケアとは実際に生活してきた場面を念頭にして、本人ができることの能力を伸ばす事が大切である。また社会での役割を担ってもらう事で、生活意欲を引き出す。その結果、 BPSDの軽減に繋がる。老健では多職種共同で個別に認知症ケアを行う事ができる唯一の施設であり、今後もその役割を果たして行きたいと考える。
認知症の有病率は年齢とともに急峻に高まることが知られている。現在、65歳以上の約16%が認知症であると推計されており、80歳代の後半であれば男性の35%、女性の44%が認知症であるといわれている。老健施設では他の介護施設と違い、多職種共同で認知症高齢者に介入することができる。BPSDを発症している高齢者に対して、個々の利用者の生活史や環境要件を考慮し、本人に合わせたリハビリやチームケアを行う事が重要であると考えた。
【方法】
症例82歳女性。要介護2。元来穏やかな性格で、趣味はカラオケや園芸など。出身は宮崎県で、就職のため大阪府に転居した。理容師として勤務した後に夫婦でカラオケ喫茶を営んでいた。夫婦二人暮らしで、夫は糖尿病や悪性腫瘍の治療により入退院を繰り返していた。本人は数年前までは自転車に乗り買い物も可能であったが、徐々に物忘れをする様になった。1年前には自宅がわからなくなり、警察に保護されることもあった。令和6年9月に近医受診しアルツハイマー型認知症と診断されドネペジル塩酸塩錠5ミリグラム1錠/日が開始となった。しかし、認知症の進行とともに自宅での生活が困難となり、令和6年12月に当施設に入所となった。既往歴は10年以上前に硬膜下血腫で手術歴がある。現在の認知症高齢者の日常生活自立度IV、障害高齢者の日常生活自立度はA1である。身体機能面は著明な制限は無く、移動も独歩で自立。硬膜下血腫後の運動麻痺や感覚障害なども認めなかった。入所後、不安な表情をうかべて落ち着きが無く、何度か離棟を繰り返す様になった。特に夜間に帰宅願望が強く、自宅や夫の事を心配している様子がみられた。担当の作業療法士、介護士、看護師、ケアマネージャーと共同で本人の心身機能や活動、今までの生活環境を考え個別のケアプランやリハビリについて検討を行った。
元来、人と関わる事を好む性格であるため、集団でのレクリエーション参加を促した。カラオケ喫茶を経営していたため、ピアノに合わせて歌を歌う、ラジオ体操や歌いながらの体操を行うなどの集団レクリエーションを行った。また、食事の配膳や下膳、おやつの準備、テーブル拭きなどの役割を担ってもらい、入所前の生活と近い環境を提供する様に試みた。
帰宅願望の原因については、夫を心配する気持ちからの行動であると考えた。そのため、糖尿病コントロール入院後の夫を当施設で受け入れを行い、夫と面会する時間を持っていただく様にした。
【結果】
集団でのレクリエーションは、比較的落ち着いて参加し、表情も明るく安心した表情を浮かべることもあった。配膳や下膳、テーブル拭きなどの作業を行う際は明るい表情もみられたが、役割が無くなると不安な表情を浮かべる様になった。また、個室から多床室に変更することで夜間の徘徊が減少し、入眠時間が増える様になった。夫と面会することで日中の不穏も解消され、離棟の回数も減少した。
【考察】
認知症ケアとは実際に生活してきた場面を念頭にして、本人ができることの能力を伸ばす事が大切である。また社会での役割を担ってもらう事で、生活意欲を引き出す。その結果、 BPSDの軽減に繋がる。老健では多職種共同で個別に認知症ケアを行う事ができる唯一の施設であり、今後もその役割を果たして行きたいと考える。
