講演情報
[27-O-D003-07]BPSDに対する統一したチームケア
栃木県 ○落合 紀美子1 (1.老人保健施設かみつが, 2.老人保健施設かみつが, 3.老人保健施設かみつが)
はじめに
日中や特に夕方からソワソワし衣服への執着・車椅子からの歩き出しや帰宅訴え、居室や他フロアまでの徘徊などBPSDにより不穏になってしまう利用者がおり対応に困ってしまう状況が続いていた。チームで話し合い、その人に合った対応を行うことによって不穏になることを減らし安心して穏やかに過ごせることは出来ないかと考えた。そんななか今年度4月から認知症チームケア推進加算が始まり、本氏に対してBPSD予防・軽減を目的としチームで統一したケアを行ったところ変化がみられたため報告する。
対象者
名前 Aさん
性別 女性
年齢 93歳
要介護度 3
障害高齢者の日常生活自立度 判定基準 B2
認知症高齢者の日常生活自立度 判定基準 IIIa
実施期間
令和6年6月下旬~令和6年12月中旬
方法
1)検討メンバー2名で対象者のBPSD評価指票(BPSD+Q)を過去1週間の状況を評価し記入する。
2)認知症チームケア推進のワークシートによる分析とケアプランを立案し、経過記録に記録する。ケアプランの立案は既存の介護計画に直接記入する。
3)プラン用ファイルにワークシートと介護計画を入れ、定規を挟みチーム職員に周知する。
4)ケアプランで立案したケアをチームで実践する。
5)設定した評価日にBPSD+Qとケアプランの評価を実施する。
6)以後2から5を繰り返し実施していく。
結果
BPSD評価指票初回評価を6月27日に行い、BPSD+Qの点数が31であった。評価以前は夕方から落ち着きがなくなり、「服にこだわり入浴前に着ていた服を探す」、「家族が心配だから帰ると訴え自席から立ち上がり歩き出す」といった訴えがほぼ毎日あり対応に困ることが多かった。ワークシートによってトイレなど移動動作時足腰の痛みがある、自己にて体温調節できず寒さを感じ重ね着をしようとするも着たい服がない、会っていない娘や旦那が心配であると分析した。またA様のニーズとして働きに来ているという言動みられた。分析結果と本人のニーズから介護計画として手紙や面会などで娘と接触できる機会を持つ、自己にてトイレ行なっていたが行かないことが増えたためトイレの声掛けをして誘導・介助を行う、たたみものの声掛けをして一緒に行う、不安が強いときは寄り添い傾聴する、薄手の長袖やカーディガンなどの好みの衣類を常に着ていられるようにしていくという5項目を立案した。
徘徊や立ち上がりなどの不穏の記録を1回として数え表すと、立案した介護計画を行う以前は1週間に5から7回と1日に1回以上は不穏になり落ち着かず夜間眠れない日もあった。今回のケアを行うことによって初回評価日の2週間後の7月下旬には1週間に3から4回へ減る結果になった。
2回目の評価は8月5日に行い、BPSD+Qの点数が20と下がった。洗濯物の所在を気にする言動がみられたため娘が洗濯して持ってきてくれることの声掛けを計画に加えた。7月下旬には家族からの手紙の持参もあり活用し対応してみると笑顔で納得される場面が何度かみられていた。しかし立ち上がりや居室とフロアへ行ったり来たりの徘徊は7月下旬と比べて目に見えての変化は感じられなかった。
3回目の評価は10月29日に行い、BPSD+Qの点数が13とさらに下がった。午前中傾眠し自席にいることが多かったため、不穏になる前にトイレの声掛けやたたみ物の声掛け、レクリエーションの声掛けなどこちらから関りを持つよう情報共有した。11月は週1回から2回、12月には不穏にならず過ごせる週があり、夜間トイレ以外ほぼよく休まれていた。しかし家族を探す行動や午後の入浴拒否などの言動が時折聞かれることがあった。
考察
今回A様がなぜ夕方から不穏になり徘徊するなどの行動に至るのかチームで探り、施設での生活で役割がないことや足腰の痛みでトイレが辛い、入浴時に着替えた服が薄くまだ着込みたいという原因があるのではないかと考えた。そのためお気に入りの衣類を着ていられるように対応し、不穏になる前の午前中からA様と関わりをもつことによって笑顔で穏やかに過ごすことが増え午後の立ち上がりや徘徊が軽減され落ち着いて過ごせるようになっていった。本人の施設での生活にアプローチをかけることによって、また不穏になる前にトイレの声掛けやたたみ物の声掛けなど関りを持つことによって安心してトイレ動作が行え役割ができBPSD の予防に繋がったと考える。
A様としっかりと関りを持ち会話することによってどう過ごしたいか、どう思っているのかを聞き出し、ニーズに沿った支援をするためワークシートを用いて介護計画を立案しチームで統一して行うことができたことは非常に有効であった。不穏になる理由は利用者ごとに違うため、しっかり会話し寄り添って本人のニーズを把握し不穏になる前にケアしていくことが大切であると考える。しかし6月に比べると明らかに不穏になってしまう日は減ったが家族を探す行動が時折あるため家族への心配に関しては見直し対応していく必要がある。
おわりに
認知症高齢者は様々な要因でBPSDを発症してしまうが、なぜ徘徊するのか不穏になってしまうのかを探り、そのような行動に至る前にアプローチすることでBPSDを予防し落ち着いた生活が送れるようになることを改めて再確認することができた。これからも忙しい日々のなかでも利用者がどう過ごしていきたいかどう思っているのかをひとりひとりとしっかり関わりをもち、職員同士で情報共有し統一したチームケアを行えるようにしていきたい。
参考:令和5年度老人保健健康促進事業「BPSD予防・軽減を目的とした認知症ケアモデルの普及促進に関する調査研究」2023.12版
