講演情報
[27-O-D004-01]認知症専門棟における内服の方法について~利用者の個別性に配慮した内服へ~
福岡県 ○曽根 裕子, 尾川 レイ, 村本 拓 (介護老人保健施設済生会くれたけ荘)
【はじめに】認知症専門棟では定員20名の利用者の方が入所されている。利用者と職員が共に過ごす時間に焦点をあてアットホームな環境づくりに取り組んでいる。利用者は、内服の自己管理が難しいため、職員管理にて内服を行っている。内服を優先するあまり、食事に混ぜて内服を行うことも散見されていた。そのため、食が進まない現状や、利用者の不満感が募る状況もみられていた。そこで、内服方法の見直しを行った。その結果、利用者1人1人の特徴を把握し、利用者目線での内服をスタッフ間で取り組むことができた為、報告する。【背景】利用者にとって食事が栄養を摂取できる重要な要素であり、「楽しみ」のひとつである。内服を行う上で、甘味を好む利用者が多くいるため、栄養補助食品やデザートに混ぜることも多数見られた。しかし、加齢に伴い味覚が低下している利用者にとって、食事=苦味へと変化し、食欲低下の原因となるリスクが高い現状だったといえる。そこで、内服の方法を見直し、統一化することにした。【方法】資料を作成し、認知症専門棟におけるマニュアルを作成。利用者の個別性を重視した内服の方法を模索していく事を提示した。・内服薬は甘味に混ぜるのではなく、お茶やトロミ茶、内服ゼリーで与薬する。・口腔内でかみ砕いてしまう利用者には甘味をのこしておき、口直しとする。・食事中に内服をするのではなく、食事に集中できるよう食後に内服をしてもらうこととした。・氏名を発してもらう声かけをすることで、嚥下状況の確認と、利用者間違いを無くすよう徹底した。・内服係が他の業務も同時に行うと、注意散漫となりミスを誘発する可能性があること、利用者に切迫感を与え内服困難に繋がることを伝達することで、内服に集中できる体制づくりを行った。スタッフ一同に対して変更内容を実践してもらい、どのような効果が表れたか、また、改善すべき点があるのかアンケートを実施した。【結果】今までは、錠剤だけでは飲みこめず口腔内貯留がある場合、粉砕をすることや、食事と共に嚥下してもらうしか方法がないと判断していた。しかし、同じ利用者でも錠剤のままで内服可能な場合、食事に混ぜる必要のない状況があることをスタッフ間で統一して知る事が出来た。内服の飲み方に関して、ひとりひとりと向き合う時間をもつことが出来たといえる。また、氏名の確認の徹底により誤薬防止について共通理解が得られた。【考察】利用者ひとりひとりに合わせた内服の方法を検討することで、より生活の質の向上に繋がることを実感できた。内服に対する認識が出来ず、日によって服薬拒否がある場合の利用者に対する個別的な対応として、時間をかけて内服できるように他のスタッフへ協力してもらう。食後に排泄を済ませてから内服を行う。冷めたお茶より温かいお茶を提供する。このように、一人の利用者においても、多くの内服方法を模索することで、本人のストレスを考え、工夫する重要性に気付くことができた。今回の取り組みを通して、内服という一つをとっても、生活をともにする私たちには、利用者のその人らしい生き方に関わっていく責任があることを実感した。さらに、配薬するスタッフの困難感や苦悩を共有し、どのような状況において内服が実現したのかフィードバックを行いよりよい方法に取り組んでいる。そのため、利用者とスタッフ間での関わりの積み重ねによる信頼関係の構築や、利用者の些細な気づきを共有することを心掛けている。この繰り返しにより、ひとりひとりと向き合うことが認知症専門棟における内服の方法と考える。【おわりに】利用者を多面的に把握し、個別的なケアを取り入れることの必要性を実感した。利用者のQOLの維持向上への架け橋となるよう継続して内服管理を行っていく。
