講演情報

[27-O-D004-05]夕暮れ時のあなたに~ユマニチュードによるBPSDの軽減~

香川県 松村 光貴, 森下 嘉一郎, 秋田 昌照, 安部 隆博, 山北 康二, 小野 裕美 (介護老人保健施設ハートフルねんりん荘)
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【はじめに】夕暮れ時になると、孤独感からくる不安で、落ち着きがみられなくなる利用者様に対して、どうにかその不安を取り除けないかと模索したところ、ユマニチュードというものにたどり着いた。今回は、夜間不眠を起因とする徘徊がみられる利用者様に対し、ユマニチュードに着想を得た活動を実践し、どのような変化があったかを報告する。【対象】75歳 女性 要介護3 障害高齢者の日常生活自立度B1 認知症高齢者の日常生活自立度2b既往歴:クモ膜下出血MMSE:7点問題点:夕方になると、物寂しそうな表情で誰かを探すように周囲を気にされ、不意に車椅子から立ち上がり、フロアや廊下を徘徊される事もある。ベッドで臥床後、不眠を訴え、居室から出てこられることもあることから、転倒のリスクを考慮し、眠前薬を常用していた。【方法】期間)令和7年3月中旬~令和7年5月末開始前)ユマニチュードに着想を得た活動を開始する前に、意識統一のためにユマニチュードの知識と今回の活動の意義について内部研修を実施。対象者と接する機会のある介護職だけでなく、他職種の職員に対しても、ユマニチュードの基本的な接し方について指導を行った。活動中)夕方、夜間時の情報を共有するために個別ファイルを作成。随時、検討会を実施し、活動内容の見直しを行った。さらに、睡眠の状態を詳細に把握するために、途中から眠りスキャンを導入。ユマニチュードについては今回、「4つの柱」のうち、3つを実践した。1)見る(目線の高さを合わせて対応する)2)話す(夕食後、リラックスして話が出来る環境作り)3)立つ(台拭きなどの役割を持ち、立位活動時間の確保、身体機能の改善に合わせ、歩行器歩行の開始)【結果】ユマニチュードを実践する前は、車椅子からの立ち上がり、独歩による徘徊等が頻回にみられていた。しかし、活動開始後は、物寂しい表情も少なくなり、周りの方とコミュニケーションを図ることで穏やかになり、笑顔もみられるようになった。活動時間が増えたことで、立位姿勢の安定性は向上し、転倒のリスクは軽減している。夜間についても、居室から出てこられることはなくなり、睡眠時間を確保することが出来ている。そのことで眠前薬は屯用に変更となったが、ほとんど使用することなく経過している。活動開始前は、ほとんど毎日、ベッド横のセンサーマットのコールが鳴ることもあったが、活動後はセンサーコールが鳴ることなく、良眠することができている。睡眠の状態をより詳細に把握するために途中から眠りスキャンを導入したが、現時点では睡眠の状態に大きな変化はみられなかった。【考察】今回は、夕方の孤独感からくる不安が問題となっていた利用者様に対し、ユマニチュードに着想を得た活動を実践した。活動開始後は笑顔がみられることが増え、危険行動が大幅に減少したが、完全になくなったわけではない。減少の要因としては、夕食後に他者との時間を設けることで、夕方の不安感を取り除いた上で、就寝することが出来たことであると考える。今回の活動では、他者との会話などの環境作りを行ったが、その継続のためには、他の職員の協力が必要不可欠であった。活動開始前に内部研修を行うことで、全員が統一した方法でケアを行うことが出来た。しかし、現時点ではその奥にある活動への想いや、理由までを統一するには至らず、本当の意味での統一したケアには至っていない。ただ、細かく声掛けを続け、意識を共有する機会を増やすことで、目標に向かって確実に一歩踏む出すことができた。【今後の展望】今回は1名の利用者様を対象に活動を行ったが、今後は複数の利用者様を対象とし、ベテラン職員、新人職員、職種関係なく、チーム全体で、その人らしい生活が送れるようなケアに取り組んでいきたい。また、ユマニチュードには4つの柱が存在するが、今回は「見る」、「話す」、「立つ」の3つしか実施できていなかったため、今後は4つすべてをチーム全体でフル活用し、ケアを受ける側と実施する側の双方が、良かったと感じられる介護を目指していきたい。