講演情報

[27-O-D004-07]訪問リハビリ利用者の認知度と多職種連携の分析

熊本県 甲斐 晃1, 江口 宏1, 當利 賢一2, 大久保 智明2, 野尻 晋一2, 渡邊 進2 (1.訪問リハビリテーションセンター清雅苑, 2.介護老人保健施設清雅苑)
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【目的】
近年、軽度から中等度の認知症高齢者に対する訪問リハビリテーション(以下、訪問リハビリ)の有効性を報告する研究は散見されるが、その具体的な手法や支援体制、とりわけ多職種連携の在り方については未だ十分に検討されていないのが現状である。認知症高齢者の生活支援においては、病状の進行に伴い多様な職種の関与が求められるものの、認知機能の程度に応じて、どのような職種と連携し、どのような支援が行われているかを明らかにする研究は少ない。
本研究では、訪問リハビリにおける認知症高齢者への支援において、多職種連携の実態に着目し、その傾向を明らかにすることを目的とした。特に、認知症高齢者の日常生活自立度(以下、認知度)に応じて、どの連携先と、どのような連携を図っているかを明らかにすることで、今後の連携の質的向上に向けた基礎的資料を得ることを目指した。
【対象】
令和4年4月1日から令和7年3月31日の間に当施設の訪問リハビリを利用した要介護要支援認定者186名(現利用者90名終了者96名)を対象とした。男性81名、女性105名、年齢81.7±11.4歳、要介護度中央値は要介護2、障害高齢者の日常生活自立度(以下、自立度)の中央値はA2、疾患の内訳は脳血管障害73名、整形外科疾患56名、循環器疾患24名、神経疾患22名、その他12名であった。認知度の分布については自立42名、認知度Iが49名、IIaが16名、IIbが25名、III・IVが5名で中央値はIであった。
【方法】
訪問リハビリ介入期間中に認知面の課題に対して実施された連携の有無、連携の対象先(家族、ケアマネジャー[以下、ケアマネ]、主治医、指示医、地域包括支援センター、行政、訪問介護士、訪問看護師、民生委員、その他の介護サービス事業者)および自由記載による具体的な連携内容について、担当療法士から情報を収集した。
認知度の評価は、現利用者については調査実施月である令和7年5月の状態を、訪問リハビリ終了者についてはサービス終了時点の状態を基準とした。分析は4段階で実施した。
分析1:1人あたりの平均連携先数及び各連携先の連携数を集計した。
分析2:認知度毎の連携先数を集計し、認知度毎に連携先数が変化するかを検討した。
分析3:認知度毎の多職種連携状況を把握するため、連携先毎の連携件数を集計、1連携先あたりの連携率(=総連携件数に対する当該先との連携件数の割合)を算出し、認知度と連携率の関連性を確認した。
分析4:自由記載の具体的連携内容をカテゴリーに分類し、連携先毎の内容を把握した。
【結果】
分析1より1人あたりの平均連携先数は1.13±1.42件であった。各連携先の連携数は家族68件、ケアマネ74件、主治医9件、指示医6件、地域包括支援センター1件、行政0件、訪問介護士11件、訪問看護師24件、民生委員0件、その他17件でケアマネとの連携機会が最も高かった。
分析2より認知度ごとの連携先数は自立:0.2±0.6件、認知度I:1.3±1.4件、IIa:1.7±1.5件、IIb:2.4±1.5件、III・IV:2.8±0.8件であり、有意な正の相関関係(相関係数0.60、p<0.001)が確認された。認知度が高くなるほど関与する連携先数が増加することで連携の広がりが確認できた。
分析3より認知度と連携率の関連性は家族、ケアマネ、訪問介護士、訪問看護師、指示医はいずれも認知度が高い対象者ほど連携率が有意に増加していた。そのため、認知度毎の多職種連携状況については認知度が高くなるほど連携が広がり、特にこの5つの連携先との連携が高まっていることが確認できた。
分析4より連携機会の多い家族・ケアマネ・訪問介護士・訪問看護師・指示医の具体的連携内容については以下のようなカテゴリーに分類できた。
家族:利用者本人に関する情報収集、内服・ADLなどの介助指導、環境整備の依頼、認知症状についての説明、利用者本人との関わり方の指導
ケアマネ:利用者の現状報告、ケアプラン見直しの依頼、他サービスの共有依頼
訪問看護:内服管理、食事・水分摂取状況など生活状況の報告、在宅酸素療法やインスリン注射管理の困難例に関する相談、認知症状の変化報告、食事姿勢や浴槽移乗動作などのADL介助方法の指導
訪問介護:内服カレンダーの確認、冷蔵庫内の食材管理状況の確認、調理状況の把握、居室清掃の依頼など、生活環境に関する確認および介入依頼
指示医:現状報告、日常生活全般における指導依頼
【考察】
今回、認知症高齢者に対する訪問リハビリ介入の一つとして多職種連携に着目し、当事業所の現状を把握した。認知症の進行に伴い多職種連携は顕著に増加し、認知度が高いほど支援体制は強化されていた。これらの結果から、地域において認知症のある方の生活を支援していくためには、ケアマネや家族と積極的に連携を図ることが重要であり、今後も認知症の進行に伴って、より多くの職種と連携する必要がある。また、具体的な連携内容を整理できたことは各連携先の役割を理解し、支援の目的に応じて適切な連携先と連携を進めていくための基礎的資料となったと考えられる。今後はサンプル数の拡大やさらなる詳細分類により、認知症高齢者に対する訪問リハビリ介入の効果を示していきたい。