講演情報
[27-O-F003-01]心のふるさとへのいざない老健ボランティアの挑戦
埼玉県 ○齋藤 八重子1, 大島 和典1, 浅見 京子1, 滝谷 淳子1 (1.飯能ケアセンター 楠苑, 2.飯能ケアセンター 楠苑)
はじめに
私たち石楠花の会は、今から6年前4人の仲間によって発足した。そのきっかけは、日々ご利用者様と接触する中で何気ない会話の中から、だれでも忘れられない心に秘めた思い出を持っていることを痛感したためである。人それぞれの歩んできた経験話こそ後世に残したいとの強い思いから「今しかない」というタイトルの冊子を年2回のペースで発行し11号を数えるまでになった。
1.会活動の概略
冊子「今しかない」各号を特色づけるため 副題を設け、それらを中心とした話題をご利用者様初め関係の方々から広く寄稿していただいたものを載せている。一口メモ的なものから随筆に至るまで多岐にわたる内容となっている。ご利用者初め関係する方々から予想以上の反響があり、内容も充実したものとなっている。
2.老健ボランティアとしての新しい試み
こうした活動をさらに深化させるため、石楠花の会制作の紙芝居を鑑賞してもらうこととなった。
<目的と狙い>
・ご利用者様のQOL(生活の質)の向上を図る
・ご利用者様の心のふるさとに思いを巡らせ心豊かになってもらう
・紙芝居鑑賞後、ご利用者様同士が話題を共有して互いに親しみを感じてもらえる
・こうした試みは老健協会所属事業所様の発展にも寄与できるものと思われる
3.紙芝居の題材
早速、施設の決裁を経て組織部門間の協力による調整も滞りなく進み、実施の運びとなった。
石楠花の会4人のメンバーのうち3人が80歳代ということで、私たちが物心ついてから小学校低学年ごろというのは、ちょうど戦争のさなかにあって、今となっては辛くも懐かしい思い出の風景でもあり題材としたものである。そしてこの分野での経験豊かなもう一人のスタッフが全体のプロデユースを担い、オリジナルな紙芝居の完成となった。
4.紙芝居の実演
参加者 2階入所者→3階入所者→1階デイサービス利用者
各階 約30名(職員含む)
時間 各階 25~30分間
紙芝居 『思い出ばなし くすの木の下で』
読み手 石楠花の会メンバー 4名
準備 マイク、拍子木、紙芝居枠、キーボード
内容 a.昭和の思い出(抜粋)
くすのき苑の庭の大きなくすの木の下にあるベンチに腰かけた3人組が昔の思い出を語る
かずのり「そうだなぁ あの頃は白黒のテレビだって珍しい時代だったなぁ。ラジオだって珍しい時代だよ 鐘のなる丘、お笑い3人組、笛吹童子 ありゃ懐かしい」
歌 ♪鐘のなる丘 (全員で)
「夏の暑い時アイスキャンディー売りのおじさんがチリンチリンと鐘を鳴らしやってくると、駆け寄って溶け出した氷水を飲ませてもらったよ」
やえこ 「ラジオといえば『君の名は』のドラマが始まると銭湯の女湯が空になるとまで言われました。テレビが出たばかりのころ、私んちへみんなが集まって来て大人も子供も力道山のプロレスを観るのに夢中だった」
きょうこ「そうだったなぁ 私は東京タワーにびっくりしたよ。白い洗濯機に冷蔵庫。王・長嶋は大スターだったよ」
紙芝居の話題に沿って、当時の思い出を語り合う
問いかけ:お話の中にアイスキャンディー売りのおじさんが登場しましたが、他にはどんな物売りが来ていましたか?
ご利用者:納豆売り(なっと~なっと~) 金魚売り(きんぎょ~ぇ、きんぎょ~) 焼き芋屋(や~きいも~ …)花売り とっかん屋 等
「自転車で売りに来るアイスキャンディーを買うのに5円持って待っていました」他、声があがる
問いかけ:昭和のスターはどんな人がいましたか?
ご利用者:歌手では美空ひばり、田端義夫、三橋美智也、並木路子 等 歌も同時に思い出され、みんなで口ずさむ
内容 b.両親の思い出(抜粋)
くすの木の葉が1枚、風に舞ってパラりと落ち、受け取ったやえ子さんが父や母の思い出を語り始める。
やえこ 「母ちゃんは働き者で寝ている姿を見たことがなかった。私が小学校に上がる時、ランドセルが買えなくて母ちゃんは黒地に菊の模様の羽織を壊してランドセルのふたの部分にボール紙に貼って作ってくれた」
「また、父ちゃんも暗くなるまで畑仕事をしていた 酒も好きだった。シベリアに抑留され帰って来た父ちゃんは、いつも遠くの空を見上げて戦友を思い出しながら 異国の丘を歌っていた。戦友を残して帰って来て申しわけないと泣いていたのが忘れられません」
歌 ♪異国の丘 (独唱→全員で)
かずのり、きょうこも同様に幼い頃の両親や家族との思い出を語る。リヤカー、お蚕さん、かてめし、行商等、懐かしい言葉に触れ、会場の空気が和らぐ。特に6歳になったかずのりがシベリアから生還した父親と初めて会った時の思い出は、参加者の心に強く残ったようである。
紙芝居は「『今しかない』が合言葉です。みなさん、私と話がしたくなったら、このベンチに腰かけてください。私はいつもここで待っていますよ」
くすの木のことばで結ばれている。
5.観賞後のご利用者の感想
・くすの木を主にした話の進行で親しみがあり良かった
・とても乗り気になりました。一生懸命観るようでした
・懐かしい歌が一緒に歌えてとても楽しかった
・すごく感激して涙が出ました。久しぶりに見て楽しかった
・昔の人は、みんな手でやったから、えらいなぁと思った
・紙芝居懐かしかった。また、ぜひやってください。大きい声で歌ったから気分が晴れた
・昔の思い出話が聞け、童心にかえって喜んでいる表情が見られてよかった。みんなが生き生きしていた(職員)
・介護施設でのボランティア活動の重要性を実感しました(職員)
むすび
石楠花の会の一番の収穫は、職員さんの配慮もあって「今しかない」に寄稿していただいたご利用者のみな様に初めてお会いでき、絆が深まったことである。
この紙芝居の企画がご利用者、職員のみな様に喜んでいただけたことは、自由度の高いボランティアならではの試みと成果が十分得られたものと考える。
私たち石楠花の会は、今から6年前4人の仲間によって発足した。そのきっかけは、日々ご利用者様と接触する中で何気ない会話の中から、だれでも忘れられない心に秘めた思い出を持っていることを痛感したためである。人それぞれの歩んできた経験話こそ後世に残したいとの強い思いから「今しかない」というタイトルの冊子を年2回のペースで発行し11号を数えるまでになった。
1.会活動の概略
冊子「今しかない」各号を特色づけるため 副題を設け、それらを中心とした話題をご利用者様初め関係の方々から広く寄稿していただいたものを載せている。一口メモ的なものから随筆に至るまで多岐にわたる内容となっている。ご利用者初め関係する方々から予想以上の反響があり、内容も充実したものとなっている。
2.老健ボランティアとしての新しい試み
こうした活動をさらに深化させるため、石楠花の会制作の紙芝居を鑑賞してもらうこととなった。
<目的と狙い>
・ご利用者様のQOL(生活の質)の向上を図る
・ご利用者様の心のふるさとに思いを巡らせ心豊かになってもらう
・紙芝居鑑賞後、ご利用者様同士が話題を共有して互いに親しみを感じてもらえる
・こうした試みは老健協会所属事業所様の発展にも寄与できるものと思われる
3.紙芝居の題材
早速、施設の決裁を経て組織部門間の協力による調整も滞りなく進み、実施の運びとなった。
石楠花の会4人のメンバーのうち3人が80歳代ということで、私たちが物心ついてから小学校低学年ごろというのは、ちょうど戦争のさなかにあって、今となっては辛くも懐かしい思い出の風景でもあり題材としたものである。そしてこの分野での経験豊かなもう一人のスタッフが全体のプロデユースを担い、オリジナルな紙芝居の完成となった。
4.紙芝居の実演
参加者 2階入所者→3階入所者→1階デイサービス利用者
各階 約30名(職員含む)
時間 各階 25~30分間
紙芝居 『思い出ばなし くすの木の下で』
読み手 石楠花の会メンバー 4名
準備 マイク、拍子木、紙芝居枠、キーボード
内容 a.昭和の思い出(抜粋)
くすのき苑の庭の大きなくすの木の下にあるベンチに腰かけた3人組が昔の思い出を語る
かずのり「そうだなぁ あの頃は白黒のテレビだって珍しい時代だったなぁ。ラジオだって珍しい時代だよ 鐘のなる丘、お笑い3人組、笛吹童子 ありゃ懐かしい」
歌 ♪鐘のなる丘 (全員で)
「夏の暑い時アイスキャンディー売りのおじさんがチリンチリンと鐘を鳴らしやってくると、駆け寄って溶け出した氷水を飲ませてもらったよ」
やえこ 「ラジオといえば『君の名は』のドラマが始まると銭湯の女湯が空になるとまで言われました。テレビが出たばかりのころ、私んちへみんなが集まって来て大人も子供も力道山のプロレスを観るのに夢中だった」
きょうこ「そうだったなぁ 私は東京タワーにびっくりしたよ。白い洗濯機に冷蔵庫。王・長嶋は大スターだったよ」
紙芝居の話題に沿って、当時の思い出を語り合う
問いかけ:お話の中にアイスキャンディー売りのおじさんが登場しましたが、他にはどんな物売りが来ていましたか?
ご利用者:納豆売り(なっと~なっと~) 金魚売り(きんぎょ~ぇ、きんぎょ~) 焼き芋屋(や~きいも~ …)花売り とっかん屋 等
「自転車で売りに来るアイスキャンディーを買うのに5円持って待っていました」他、声があがる
問いかけ:昭和のスターはどんな人がいましたか?
ご利用者:歌手では美空ひばり、田端義夫、三橋美智也、並木路子 等 歌も同時に思い出され、みんなで口ずさむ
内容 b.両親の思い出(抜粋)
くすの木の葉が1枚、風に舞ってパラりと落ち、受け取ったやえ子さんが父や母の思い出を語り始める。
やえこ 「母ちゃんは働き者で寝ている姿を見たことがなかった。私が小学校に上がる時、ランドセルが買えなくて母ちゃんは黒地に菊の模様の羽織を壊してランドセルのふたの部分にボール紙に貼って作ってくれた」
「また、父ちゃんも暗くなるまで畑仕事をしていた 酒も好きだった。シベリアに抑留され帰って来た父ちゃんは、いつも遠くの空を見上げて戦友を思い出しながら 異国の丘を歌っていた。戦友を残して帰って来て申しわけないと泣いていたのが忘れられません」
歌 ♪異国の丘 (独唱→全員で)
かずのり、きょうこも同様に幼い頃の両親や家族との思い出を語る。リヤカー、お蚕さん、かてめし、行商等、懐かしい言葉に触れ、会場の空気が和らぐ。特に6歳になったかずのりがシベリアから生還した父親と初めて会った時の思い出は、参加者の心に強く残ったようである。
紙芝居は「『今しかない』が合言葉です。みなさん、私と話がしたくなったら、このベンチに腰かけてください。私はいつもここで待っていますよ」
くすの木のことばで結ばれている。
5.観賞後のご利用者の感想
・くすの木を主にした話の進行で親しみがあり良かった
・とても乗り気になりました。一生懸命観るようでした
・懐かしい歌が一緒に歌えてとても楽しかった
・すごく感激して涙が出ました。久しぶりに見て楽しかった
・昔の人は、みんな手でやったから、えらいなぁと思った
・紙芝居懐かしかった。また、ぜひやってください。大きい声で歌ったから気分が晴れた
・昔の思い出話が聞け、童心にかえって喜んでいる表情が見られてよかった。みんなが生き生きしていた(職員)
・介護施設でのボランティア活動の重要性を実感しました(職員)
むすび
石楠花の会の一番の収穫は、職員さんの配慮もあって「今しかない」に寄稿していただいたご利用者のみな様に初めてお会いでき、絆が深まったことである。
この紙芝居の企画がご利用者、職員のみな様に喜んでいただけたことは、自由度の高いボランティアならではの試みと成果が十分得られたものと考える。

