講演情報

[27-O-F004-07]椅子タップダンス「心もからだもカトレアブギウギ」~入所も通所もひとつになって笑顔でステップ!~

東京都 小池 美穂, 上田 雅美 (介護老人保健施設カトレア)
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【目的】
 タップダンスと聞くと足を激しく動かすイメージがあるが、椅子タップダンスは座ったまま行えるため、高齢者でも安全に取り組めるダンスである。椅子タップダンスには以下のような効果が期待できる。
 1.身体的効果:足首や股関節を動かすことで、下肢筋力や柔軟性の維持・向上、持久力の向上、
  血行促進やむくみ予防などが挙げられる。
 2.認知機能への効果:音楽に合わせた動作により脳が活性化され(デュアルタスク効果)、記憶力や集中力、協調性、
  注意力の向上が期待できる。
楽しみながら身体機能や認知機能を高め、転倒予防やQOLの向上につなげていきたい。
 また、当施設では、入所フロアが2階・3階、通所が1階にあるが、同一建物内で日常的にも連携を取って業務などの助け合いをする風土が根付いている。入所と通所ご利用者から特別レッスンを希望する方に対し、月2回の合同練習を実施している。入所・通所の枠を越えた交流が生まれ、励まし合いや仲間意識の醸成にもつながっている。
【方法】
 椅子タップダンス導入にあたっては、ご利用者に馴染みのある楽曲を施設オリジナル音源(職員によるピアノ演奏と歌)として制作し、タップダンス経験のある職員が振付を考案。動画を作成して社外秘データとして練習用に使用している。またレクリエーション体操の一環ではあるが、リハビリ専門職からの助言も取り入れ、ご利用者の身体機能や認知面を考慮しながら、安全性や無理のない動作に配慮し、楽しさを感じられるよう工夫して進めている。
 入所フロアは5つに分かれているが、各フロアにカラオケ機器があるため、日課として体操などの運動コンテンツを使用している。この日々のレク体操の一環として椅子タップダンスも取り入れている。通所フロアでは、昼食後の「いきいきウォーキングタイム」に椅子タップダンスのコーナーを設け、希望者が自由に参加できるようにした。
 また、「椅子タップダンスサークル」を立ち上げ、入所・通所のご利用者から特別レッスンを希望する方を募り、月2回(第1・第3木曜日)の合同レッスン(45分)を実施している。練習の様子は施設ブログにも掲載し、ご家族への情報提供も行っている。現在約20数名のメンバーが合同レッスンに参加されている。さらに、QOLやADLへの効果を確認するため、サークルメンバーに対し、Googleフォームを用いたアンケート調査を実施。3月・6月に行い、今後も定期的に実施していく予定である。
 また、活動の成果を発表する機会として、入所や通所の納涼祭に、サークルメンバーがステージ側に座って、成果を披露。
【結果】
 入所フロアでは、椅子タップダンスが毎日のレクリエーション体操として定着し、交替勤務の職員も自然に踊れるようになってきている。タップダンスに憧れを抱きつつ「自分には無理」と思っていたご利用者が多くおられたが、楽しみながら参加できることが継続の大きな動機につながっている。
 片麻痺・四肢麻痺・反応の乏しいご利用者も、それぞれのペースで体を揺らしたり手を動かすなど、雰囲気を楽しんでおられる様子が見られる。サークルメンバー以外のご利用者も、継続的な実施により、ステップが安定し、足の動きがスムーズになってきた方も多い。
 サークルメンバーの方へのアンケートの自由記述では、「毎日楽しみにしている」「音楽に合わせて踊れるのが楽しい」「皆んなと一緒に参加するのが良い」「座って行うからやりやすい」「リハビリがない日でも楽しみにしている」など、ポジティブな感想が多数寄せられた。しかし、ADLの効果は、まだ実施してから日が浅いことと、レクの一環として実施しているため、個別の検証は行えていない。
【考察】
 椅子タップダンスは、座ったまま無理なく行える安全な運動でありながら、「踊る楽しさ」や「仲間と一緒に動く喜び」を感じられる活動として、ご利用者に広く受け入れられている。
 アンケートでは肯定的な意見が多く、自発的な継続意欲につながっていることが読み取れる。ADLの効果を求めるためには、個別の評価が必要となってくる。しかし、サークルメンバーであるご利用者も、ADLの状況はそれぞれ異なり、アンケートの設問も自己評価なので、ADL効果という意味では評価するのが難しい。ただ、発表の場があることで、ご利用者にとっての目標意識やモチベーションが高まり、機能維持や意欲の向上に良い影響を与えていると考えられる。
 さらに、職員も一緒に取り組むことで、ご利用者との信頼関係が深まり、フロア全体の一体感の醸成にもつながっている。
【まとめ】
 椅子タップダンスは、職員とご利用者が一緒に取り組める楽しい活動として定着し、日々のレクリエーションに活気をもたらしている。
 ご利用者にとっては、身体機能・認知機能の維持だけでなく、日常生活への前向きな意欲を引き出すきっかけにもなっており、QOLの向上にもつながっている。
 今後も入所・通所の連携を図りながら、ご利用者の状態に応じた動作の工夫や参加サポートを継続し、より多くの方に楽しんでいただけるプログラムへと発展させていきたい。加えて、リハビリ専門職とも協力し、身体機能の評価や活動の効果検証にも取り組んでいきたいと考えている。