講演情報

[27-O-G001-04]「ノーリフティングケア」普及への取り組み

三重県 大西 陽奈 (介護老人保健施設あのう)
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【はじめに】当施設ではノーリフティングケアの推奨をしており、介護業務で腰痛などで業務制限を余儀なくされることがあり、ノーリフティングケアを行うことで介護技術向上や職員・利用者の負担軽減と安心安全な生活ができるよう施設全体での取り組みを報告する。移乗介助に着目しスライディングボードを導入。多職種間で普及活動を行い、職員の腰痛症状の改善、利用者への身体的負担、福祉用具に対する意識の変化が得られた為ここに報告する。
【対象】当施設に勤務する介護士・看護師と利用者
【方法】実施期間 2023年5月10日~2024年5月10日
福祉用具(スライディングボード)導入し腰痛を感じる介護業務、現在の腰痛の具合。利用者への身体的負担(内出血、剥離等)その後、導入後のアンケートとして、スライディングボードの使用感や活用頻度、腰痛症状・興味関心度の変化、今後新たな福祉用具を使用してみたいかを調査。
【結果】腰痛を感じる介護業務としては、移乗介助(車椅子・ベッド間の移乗)(入浴介助時のストレッチャー移乗)の場面が多くあげられる。腰痛の有無についてはアンケートを実施し移乗介助時のスライディングボードを使用してからの腰痛・介助時の身体的負担が軽減したことや利用者への身体的負担もかなり軽減したとアンケート回答が多くあった。スライディングボード導入し、実際使用したことで職員の興味・関心度がアップした。中にはスライディングボードを使用せず人力で介助を行った方が早いことや使い方がわからない・難しい、設置場所が離れており使用するのに時間がかかるといった理由がある。と回答した。
【考察】スライディングボードへの興味関心度は、使用前に比べて介護業務の負担軽減や職員の関心・利用者への身体的負担軽減が伺えた。またスライディングボード活用に至らず「ノーリフトケア」を実践できていない要因として、使用に関する不安や知識不足、設置環境等の問題が考えられた。今回普及の為、不安のある職員へのスライディングボード研修・指導やボディメカニクス理論を含めた教育、活用を促したことで、8割以上の職員がボードを積極的に使用している。福祉用具に対する苦手意識が幾分か軽減され、使用率の向上に繋がった結果であると考える。職員間からも、新人職員への指導や環境整備、対象とする利用者の検討等に積極的な介入と協力を得られた。それに付随して、移乗介助時の腰痛症状に改善がみられている。スライディングボードを積極的に活用し習練を重ねたことで技術面の向上が得られ、腰部に負担の少ない円滑な介助が可能となったことが要因であると考える。
【まとめ】介護職員・看護職員の業務負担、人材不足が問題とされる現代において、ノーリフティングケアの普及が必要である。腰痛予防やケアの質の向上の実感といった成功体験を積み重ねることにより「ノーリフティング」の更なる普及に繋がると考える。職員一人ひとりが意識し取り組むことで、職員・利用者の安全で安心なケアを提供できる施設を目指して、今後も活動を続けていきたい。