講演情報
[27-O-G001-05]身体的負担を軽減する「人にやさしいケア」の実現~適正な福祉用具の活用を目指して~
石川県 ○上山 敬, 松田 依子, 千綾 亮裕 (金沢春日ケアセンター)
【はじめに】
当施設において、入所利用者の重度化に伴う移乗介助時の身体的負担を軽減し、かつ安全に移乗する介助方法としてスライディングボード・スライドシートの活用を推奨している。しかしこれらの福祉用具を正しく使用できないことで、かえって職員、利用者双方に負担がかかり、腰痛を助長する危険をはらんでいた。そこで外部機関が実施する「ひとにやさしいケア(適切な福祉用具の活用と、もちあげない介護のスキルアップ研修)」を修了した職員を中心に、フロア介護職員全員が適切な移乗介助方法と、臥床時の適切なポジショニングの習得を目指し取り組むこととした。
【対象フロアの状況】
利用者定員50名の一般棟であるが、半数以上の方が認知症の診断を受けている。ADL能力の低下から、移動時の車椅子使用者が20名、その中でスライディングボードの活用対象者は10名程おられた。取り組み開始前は利用者がスライディングボードの上を浮いて移動してしまうなど、活用方法が不適切であったりスライディングシートについても同様に正しい敷き込みが出来ておらず、思うようにベッド上での身体の移動が出来ない事があった。その為、腰痛で悩む職員にとってはより負担となる場合があった。
【取り組み内容】
適切な福祉用具の活用を図り利用者が安心したケアを受け、職員の介助負担の軽減にも繋げるという目標を掲げた。
取り組み1.フロア職員を対象に腰痛の有無を調査、取り組み2.スライディングボードの活用講習、取り組み3.スライディングシートの正しい使用方法の講習、取り組み4.ポジショニング講習、取り組み5.チェックシートによる個別の技術評価を行い、習得状況を確認した。各講習会と個別技術評価はそれぞれ合計3回実施。なお技術評価については講師の一人でもあるOTの協力のもと、独自の技術チェックシートを作成し共同で評価を行なった。細かなところまで習得してほしいという講師側の思いから、評価の際の技術チェックを13~15項目設けた為、講習を受ける職員には事前に配布し目を通してもらうことで予習になり、受講時の説明でより理解を深められた。スライディングボード講習会は5回実施し準備、差し込み、送りだし、抜き取りの15項目のチェック内容でポイントは持ち上げない、ベッドや車いすでの座位姿勢、腰をひねらない重心移動を体験した。スライディングシート講習会は4回実施し準備、敷きこみ、上方移動、横移動、抜き取りの13項目のチェック内容でポイントは引きずらない、力任せにしない、身体の重さが乗っている箇所を意識する事を体験した。どちらの福祉用具でも共通のポイントは持ち上げない、引きずらない、力任せにしない、自分の重心移動を利用する事だと伝えた。ポジショニング講習会は6回実施し何故ポジショニングをするのか、する事によって呼吸、嚥下、拘縮などの二次障害の予防に繋がる事、重さをクッションに乗せることで安楽な姿勢が取れる、ポジショニングの必要性について伝達と体験を実施した。講習会以外でも職員同士で自主的に演習を行い、普段業務の中でも意識的に福祉用具を活用する機会を増やすようにした。
【結果】
技術習得を確認するチェックシートを用いた個別評価は、評価に偏りがでないよう実技評価を行う際の対象利用者をA様に限定して実施した。スライディングボード、シート共に取り組み開始当初に比べ徐々に習得率は上がっていき、最終評価では8割の職員が適正な活用が出来ていた。安全面だけを考慮すると全員が習得出来ていた。スライディングシートの活用評価では、ベッド上での利用者の横移動の介助で、職員自身の重心移動をうまくできないケースがよく見られたが、シートの敷きこみと抜き取りはほとんどの職員が出来ていた。腰痛に関しては、取り組み開始時に比べ腰痛のある職員は減少しなかったものの、新たな発症者なかった。
【まとめ】
移乗動作に入る際、福祉用具に利用者が慣れてくると「怖くない。」「これいいね、楽や。」等の声があがり、協力動作が得られる等、利用者、職員双方にとって負担のかからない移乗介助が出来るようになった。また、職員も正しく使用が出来るようになってくると「あの利用者さん、そろそろボード使った方がお互いに負担がないかも」と福祉用具の活用提案を積極的に行うようになった。今回の取り組みで多くの職員が適正に福祉用具を活用できるようになり、腰痛もちの職員からは「以前より介助が楽になった」との声がきかれた。今後の課題として一部職員の中に、知識の習得は認められたが、実技において重心移動での介助が身につかず、今までのもち上げる介助の癖が抜けきれない者がいた。
自身の体を守るためにも、福祉用具の適正な使用は必要であり、今後もチェックシートを活用しながら「利用者にも職員にもやさしいケア」を水平展開していきたいと思う。
当施設において、入所利用者の重度化に伴う移乗介助時の身体的負担を軽減し、かつ安全に移乗する介助方法としてスライディングボード・スライドシートの活用を推奨している。しかしこれらの福祉用具を正しく使用できないことで、かえって職員、利用者双方に負担がかかり、腰痛を助長する危険をはらんでいた。そこで外部機関が実施する「ひとにやさしいケア(適切な福祉用具の活用と、もちあげない介護のスキルアップ研修)」を修了した職員を中心に、フロア介護職員全員が適切な移乗介助方法と、臥床時の適切なポジショニングの習得を目指し取り組むこととした。
【対象フロアの状況】
利用者定員50名の一般棟であるが、半数以上の方が認知症の診断を受けている。ADL能力の低下から、移動時の車椅子使用者が20名、その中でスライディングボードの活用対象者は10名程おられた。取り組み開始前は利用者がスライディングボードの上を浮いて移動してしまうなど、活用方法が不適切であったりスライディングシートについても同様に正しい敷き込みが出来ておらず、思うようにベッド上での身体の移動が出来ない事があった。その為、腰痛で悩む職員にとってはより負担となる場合があった。
【取り組み内容】
適切な福祉用具の活用を図り利用者が安心したケアを受け、職員の介助負担の軽減にも繋げるという目標を掲げた。
取り組み1.フロア職員を対象に腰痛の有無を調査、取り組み2.スライディングボードの活用講習、取り組み3.スライディングシートの正しい使用方法の講習、取り組み4.ポジショニング講習、取り組み5.チェックシートによる個別の技術評価を行い、習得状況を確認した。各講習会と個別技術評価はそれぞれ合計3回実施。なお技術評価については講師の一人でもあるOTの協力のもと、独自の技術チェックシートを作成し共同で評価を行なった。細かなところまで習得してほしいという講師側の思いから、評価の際の技術チェックを13~15項目設けた為、講習を受ける職員には事前に配布し目を通してもらうことで予習になり、受講時の説明でより理解を深められた。スライディングボード講習会は5回実施し準備、差し込み、送りだし、抜き取りの15項目のチェック内容でポイントは持ち上げない、ベッドや車いすでの座位姿勢、腰をひねらない重心移動を体験した。スライディングシート講習会は4回実施し準備、敷きこみ、上方移動、横移動、抜き取りの13項目のチェック内容でポイントは引きずらない、力任せにしない、身体の重さが乗っている箇所を意識する事を体験した。どちらの福祉用具でも共通のポイントは持ち上げない、引きずらない、力任せにしない、自分の重心移動を利用する事だと伝えた。ポジショニング講習会は6回実施し何故ポジショニングをするのか、する事によって呼吸、嚥下、拘縮などの二次障害の予防に繋がる事、重さをクッションに乗せることで安楽な姿勢が取れる、ポジショニングの必要性について伝達と体験を実施した。講習会以外でも職員同士で自主的に演習を行い、普段業務の中でも意識的に福祉用具を活用する機会を増やすようにした。
【結果】
技術習得を確認するチェックシートを用いた個別評価は、評価に偏りがでないよう実技評価を行う際の対象利用者をA様に限定して実施した。スライディングボード、シート共に取り組み開始当初に比べ徐々に習得率は上がっていき、最終評価では8割の職員が適正な活用が出来ていた。安全面だけを考慮すると全員が習得出来ていた。スライディングシートの活用評価では、ベッド上での利用者の横移動の介助で、職員自身の重心移動をうまくできないケースがよく見られたが、シートの敷きこみと抜き取りはほとんどの職員が出来ていた。腰痛に関しては、取り組み開始時に比べ腰痛のある職員は減少しなかったものの、新たな発症者なかった。
【まとめ】
移乗動作に入る際、福祉用具に利用者が慣れてくると「怖くない。」「これいいね、楽や。」等の声があがり、協力動作が得られる等、利用者、職員双方にとって負担のかからない移乗介助が出来るようになった。また、職員も正しく使用が出来るようになってくると「あの利用者さん、そろそろボード使った方がお互いに負担がないかも」と福祉用具の活用提案を積極的に行うようになった。今回の取り組みで多くの職員が適正に福祉用具を活用できるようになり、腰痛もちの職員からは「以前より介助が楽になった」との声がきかれた。今後の課題として一部職員の中に、知識の習得は認められたが、実技において重心移動での介助が身につかず、今までのもち上げる介助の癖が抜けきれない者がいた。
自身の体を守るためにも、福祉用具の適正な使用は必要であり、今後もチェックシートを活用しながら「利用者にも職員にもやさしいケア」を水平展開していきたいと思う。
