講演情報
[27-O-G001-06]ポジショニングの対応と介護職員への意識調査について
神奈川県 ○鈴木 健太 (介護老人保健施設 ゆめが丘)
《はじめに》 介護施設におけるポジショニングとは、体動困難な利用者に対し、クッション等を用いて安楽な姿勢を整えることである。ポジショニングによって、関節の疼痛、拘縮の予防、褥瘡の予防、筋緊張の緩和を図ることができる。当施設の入所棟では拘縮、褥瘡への対応としてポジショニングを実施する際、介護職員よりリハビリ職員へ依頼。調整後、写真を使って周知するようにしていた。実際は、写真を使用していても、写真通りにポジショニングが実施できていないことや、状況が変化していても柔軟に対応できないという問題が散見されていた。利用者の中には、褥瘡の増悪、寛解を繰り返す方や関節拘縮が進行してしまうこともあった。今回、ポジショニングにおけるケアの質の向上を図るため、ポジショニングの実施、調整方法をリハビリ職員主導のものから介護職員主導のものへ変更。介護職員により、適宜、ポジショニングを調整しつつ行えるようになることを目標に取り組みをおこなったので報告する。《期間》令和6年12月2日~令和7年2月1日《対象》当施設の入所棟介護職員27名《方法》ポジショニングの周知方法の取り組み開始時に現在のポジショニングへの意識に対してアンケート調査を実施。同時期に介護職員へフロアでのポジショニングの評価を依頼した。その評価を元に、ポジショニングの検討を行った。その際のポジショニングの指導、周知方法を現状の「リハビリ職員対応後、写真を使用して周知」より、「介護職員主導で実施。それに併せてリハビリ職員が評価、助言を行う」形式に変更。8週間後、再度アンケート調査を実施した。《結果》 アンケート回収率は44.4%。各設問の結果は以下の通りになった。(1)ポジショニングについての学習状況は、取り組みの開始時は学習に利用したツールが1種類の職員が55%、2種類の職員が27%、3種類の職員が9%、自己学習を行えていない職員が9%であった。取り組み終了時は学習に利用したツールが1種類の職員が59%、2種類の職員が33%、3種類の職員が8%であった。(2)ポジショニングの必要性については、取り組みの開始時、必要と感じていた職員は92%、業務で決まったことだから行っていると回答した職員は8%であった。取り組みの終了時は、必要と感じている職員が83%、業務で決まっていることだから行っていると回答した職員が17%であった。(3)ポジショニングについての自信については、取り組みの開始時、自信がない50%、どちらとも言えない42%、自信がある8%であった。取り組みの終了時は自身がない67%、どちらとも言えない33%、自信がある0%であった。ポジショニングについて不安に思うことの記述式の設問では、拘縮が強い利用者の対応、日によって変化する状態に合わせて対応できているのか、今持っている知識が正しいのか、痛みが出やすい人の対応といった記述が多く見られた。 介入方法の変更後のポジショニングの質についても、あまり大きな変化は見られなかった。ベッド上でのアライメントの崩れやクッションと身体の隙間、服のヨレ等、改善すべき点が多く残っていた。また、不十分なポジショニングの状況について気づきのある介護職員も少なかった様子があった。《考察》 アンケートの結果より、職員のポジショニングに対しての意識は取り組みの前後で大きく変わらず、ポジショニングの必要性は感じているが、ポジショニングの実施に対して自信が持てない職員が多いことが分かった。学習状況については、過半数の職員が施設内集合研修に止まっていた。ポジショニングについて、学習する際に複数のツールを用いて能動的な学習を行えていた職員は少なかった。職員の意識を変えていくためには、個々のスキルアップのための意欲向上、学習のための環境づくりが必要と考えた。 また、ポジショニングの精度についても大きく変わらず。クッションと身体の隙間、アライメントの崩れ、服のヨレ等、改善すべき点が多く見られた。この点については、基礎知識が習得できていない職員が多い、リハビリ職員の介入がフロアからの依頼に合わせて対応していたため、介入の機会が限られていた。ポジショニングの周知方法が曖昧だったことを要因として考えた。《まとめ》 今回のポジショニングへの取り組みを通して、職員のポジショニングに対する意識や技術は大きな変化が見られず、職員各々の基本的な技術、知識不足があるように感じた。今後、職員のケアの質の向上を図るための取り組みとして、まず職員それぞれに施設内での集合研修やeラーニングでの学習機会が必要と感じた。その際、ポジショニングの基本的な技術だけでなく、概要や目的の学習も必要と考えた。ポジショニングの周知方法については、毎日の申し送りの時間や臨時のカンファレンスを活用し、情報共有の場を増やしていくことが必要と考えた。
