講演情報

[27-O-G002-02]座位姿勢の安定がもたらすQOLの向上ポジティブなニーズを引き出すケアの実践

山口県 今村 陽子 (介護老人保健施設ぺあれんと)
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Iはじめに
嚥下機能や声量の低下、頻回な車椅子からの転落等の課題を抱え、改善への期待が持てず、不安発言を繰り返すパーキンソン病の入居者に対し、言語聴覚士(以下ST)、ユニット職員とともに車椅子のシーティングや食形態の検討など集中的に介入することで「焼肉が食べたい」とポジティブなニーズを言えるまで症例のQOLが向上したため、ここに報告する。
II 方法
1.事例紹介
倫理的配慮:発表内容に対し、本人と家族より同意を得ている。
A氏 女性 80歳代 要介護度:4 寝たきり度:B2 認知症度:自立 パーキンソン病(ホーンヤール分類V) Wearing off現象 
仙骨部褥瘡あり
2.生活状況
ADL(BI):35/100点(起居全般に介助要、座位姿勢不良、車椅子全介助、頻回な車椅子からの転落有り)IADL(FAI):10/45点(食器拭き、買い物など)
ST評価:口腔運動速度の緩慢や嚥下反射の遅延により飲み込み時間要。声量低下あり。
姿勢評価:姿勢反射障害、胸椎下位~仙椎左側弯曲、骨盤左傾
上記評価より、車椅子座位の姿勢不良が車椅子からの転落や嚥下機能、声量低下を来たしていると推測し、車椅子シーティングアプローチを開始した。
3.介入方法・経過
(1)姿勢修正時のストレス評価
背部痛や嘔気などの気分不良は見られず、姿勢の崩れもないことがわかる。
(2)姿勢修正時の飲み込みの評価
嚥下反射の速度が上がり、ムセがないことがわかる。
(3)車椅子シーティングの導入・評価
車椅子用座クッション作製と転落防止用に座面を伸長した。
(4)ユニットにて活動時の姿勢の崩れを評価
筋緊張の緩和を図るため活動時は両腋窩に抱き枕を挟むことで崩れを予防した。
(5)食形態の検討
III結果・考察
シーティング後、頸部から頭部にかけて安定したことで、随意嚥下の円滑化が図れ、骨盤前傾保持により体幹が安定したことで呼気量の増大、発声持続時間や声量の増大に繋がった。それに伴い食形態を保ち、食事を楽しめたり、活動やおしゃべりが可能になったことで、A氏にとって自律した生活の再獲得に繋がり、QOLが向上したと考える。 
IVまとめ
施設入居にあたり、個々の状態に応じた車椅子の選択には限界がある。今後、入居時にも介護保険制度でのレンタル制度が活用できたり、シーティングに対しての柔軟な制度が設けられることが望まれる。