講演情報
[27-O-G002-04]介護ロボットHugの導入による介護職員への影響身体的・心理的負担軽減に関するアンケート結果の考察
島根県 ○山根 崇, 稲垣 星人 (介護老人保健施設昌寿苑)
【はじめに】
介護現場では、慢性的な人材不足や高齢化による介護ニーズの増加により、職員一人ひとりの身体的・心理的負担が年々増加している。特に、排泄や移乗といった重労働は、腰痛や筋疲労を引き起こし、離職や介護の質の低下につながる要因となっている。
こうした背景のもと、当施設には左変形性膝関節症の既往を有するA様が入所した。A様は身長169cm・体重63.2kgと体格がしっかりしており、左下肢に力が入りにくく、移動や立ち上がり動作が不安定である。排泄にはポータブルトイレを使用し、常に2名以上の介助が必要な状態であった。そのため、介護職員にとっては大きな身体的・時間的負担となっていた。
そこで、株式会社FUJI製の移乗サポートロボット「Hug」(以下Hug)を導入し、A様の支援に活用することとした。導入時にはリハビリ職が中心となり、職員への操作説明や実技指導を実施し、排泄介助時を中心に使用を開始した。
今回は、Hugの導入が職員に与えた影響を把握するため、利用した職員にアンケート調査を実施し、現状と課題を整理した。
【目的】
Hugの活用により、職員の身体的・心理的負担を軽減し、介助の質を向上させることを目的とする。また、利用者にとっても安心・安全なケア環境を提供し、ADLやQOLの向上をめざすとともに、施設全体でのHugの活用拡大に向けた基盤を構築することをねらいとする。
【方法】 Hugの使用経験を有する介護職員14名を対象に、匿名・自由記述形式のアンケートを実施した。調査項目は、1,身体的負担の変化、2,心理的影響、3,機器の操作性、4,使用頻度、5,今後の活用意向の5項目である。記述内容を質的に分析し、主な傾向と課題を抽出した。
【結果】
1.身体的負担の軽減
回答者全員が「腰や肩への身体的負担が軽くなった」と回答した。特に排泄介助や移乗時の負担が減少し、力の弱い職員でも対応可能になったと実感している。
2.心理的負担の軽減
約79%の職員が「心理的な安心感を得られた」と回答した。介助中の事故への不安が軽減され、落ち着いて介助に取り組めるようになったとの意見が寄せられた。
3.操作性と課題
約93%の職員が「操作は比較的簡単」と評価した。ただし、「初期は慣れるまで不安があった」「準備に手間を感じた」といった意見も見られ、実践的な研修の必要性が示された。
4.使用頻度
主に排泄や移乗時に使用されており、「1人介助が可能になったことで、他職員の応援を呼ぶ機会が減った」との報告もあった。業務効率化と職員間の連携負担の軽減にも寄与している。
5.今後の活用意向
全職員が「今後もHugを使いたい」と回答し、「他の介助場面でも活用したい」「施設全体に広げてほしい」との声が多く、導入拡大への期待が高まっている。
【考察】
Hugの導入は、職員の身体的・心理的な負担の軽減に大きく貢献し、安全性や業務効率の向上にも寄与していることが明らかとなった。2人介助が1人で可能となることにより、現場に余裕が生まれ、他業務にも丁寧に対応できる時間が確保されている。
また、A様からは「動作が楽になり安心して介助を受けられる」「職員の負担が減っているのが分かり、声をかけやすくなった」との評価が得られており、利用者の心理的満足度にも良好な影響を与えていると考えられる。一方で、「Hugに頼りすぎると自立支援の妨げになるのではないか」「ADLの低下が懸念される」といった意見も見受けられた。操作に不安を感じる職員には、マニュアルの整備や研修機会の提供を行い、職場内におけるロールモデルの育成が定着の鍵となる。導入初期には、職員間での理解促進を図る工夫も求められる。
【おわりに】
Hugは、介護職員の負担軽減と介助の質の向上に貢献する有用な支援機器であることが確認された。今後は、排泄介助にとどまらず、更衣・入浴・移動など幅広い場面への活用を検討し、教育体制を整備することで、施設全体への展開を図っていく予定である。
導入の目的は、単なる機器の利用にとどまらず、それを通じて利用者と職員の双方が安心できる環境を構築することである。そのためには、現場の声を丁寧に拾い上げ、継続的な運用改善を図る取り組みを行っていく必要があると感じた。
介護現場では、慢性的な人材不足や高齢化による介護ニーズの増加により、職員一人ひとりの身体的・心理的負担が年々増加している。特に、排泄や移乗といった重労働は、腰痛や筋疲労を引き起こし、離職や介護の質の低下につながる要因となっている。
こうした背景のもと、当施設には左変形性膝関節症の既往を有するA様が入所した。A様は身長169cm・体重63.2kgと体格がしっかりしており、左下肢に力が入りにくく、移動や立ち上がり動作が不安定である。排泄にはポータブルトイレを使用し、常に2名以上の介助が必要な状態であった。そのため、介護職員にとっては大きな身体的・時間的負担となっていた。
そこで、株式会社FUJI製の移乗サポートロボット「Hug」(以下Hug)を導入し、A様の支援に活用することとした。導入時にはリハビリ職が中心となり、職員への操作説明や実技指導を実施し、排泄介助時を中心に使用を開始した。
今回は、Hugの導入が職員に与えた影響を把握するため、利用した職員にアンケート調査を実施し、現状と課題を整理した。
【目的】
Hugの活用により、職員の身体的・心理的負担を軽減し、介助の質を向上させることを目的とする。また、利用者にとっても安心・安全なケア環境を提供し、ADLやQOLの向上をめざすとともに、施設全体でのHugの活用拡大に向けた基盤を構築することをねらいとする。
【方法】 Hugの使用経験を有する介護職員14名を対象に、匿名・自由記述形式のアンケートを実施した。調査項目は、1,身体的負担の変化、2,心理的影響、3,機器の操作性、4,使用頻度、5,今後の活用意向の5項目である。記述内容を質的に分析し、主な傾向と課題を抽出した。
【結果】
1.身体的負担の軽減
回答者全員が「腰や肩への身体的負担が軽くなった」と回答した。特に排泄介助や移乗時の負担が減少し、力の弱い職員でも対応可能になったと実感している。
2.心理的負担の軽減
約79%の職員が「心理的な安心感を得られた」と回答した。介助中の事故への不安が軽減され、落ち着いて介助に取り組めるようになったとの意見が寄せられた。
3.操作性と課題
約93%の職員が「操作は比較的簡単」と評価した。ただし、「初期は慣れるまで不安があった」「準備に手間を感じた」といった意見も見られ、実践的な研修の必要性が示された。
4.使用頻度
主に排泄や移乗時に使用されており、「1人介助が可能になったことで、他職員の応援を呼ぶ機会が減った」との報告もあった。業務効率化と職員間の連携負担の軽減にも寄与している。
5.今後の活用意向
全職員が「今後もHugを使いたい」と回答し、「他の介助場面でも活用したい」「施設全体に広げてほしい」との声が多く、導入拡大への期待が高まっている。
【考察】
Hugの導入は、職員の身体的・心理的な負担の軽減に大きく貢献し、安全性や業務効率の向上にも寄与していることが明らかとなった。2人介助が1人で可能となることにより、現場に余裕が生まれ、他業務にも丁寧に対応できる時間が確保されている。
また、A様からは「動作が楽になり安心して介助を受けられる」「職員の負担が減っているのが分かり、声をかけやすくなった」との評価が得られており、利用者の心理的満足度にも良好な影響を与えていると考えられる。一方で、「Hugに頼りすぎると自立支援の妨げになるのではないか」「ADLの低下が懸念される」といった意見も見受けられた。操作に不安を感じる職員には、マニュアルの整備や研修機会の提供を行い、職場内におけるロールモデルの育成が定着の鍵となる。導入初期には、職員間での理解促進を図る工夫も求められる。
【おわりに】
Hugは、介護職員の負担軽減と介助の質の向上に貢献する有用な支援機器であることが確認された。今後は、排泄介助にとどまらず、更衣・入浴・移動など幅広い場面への活用を検討し、教育体制を整備することで、施設全体への展開を図っていく予定である。
導入の目的は、単なる機器の利用にとどまらず、それを通じて利用者と職員の双方が安心できる環境を構築することである。そのためには、現場の声を丁寧に拾い上げ、継続的な運用改善を図る取り組みを行っていく必要があると感じた。
