講演情報
[27-O-I002-04]入浴介助の業務改善と効率性入浴リーダーという役割を組み込んで起きた変化
高知県 ○笹村 侑亮, 竹崎 博一 (介護老人保健施設あいの里)
【はじめに】
当施設(入所定員89名、通所定員50名、2階療養棟は49床で主に認知症の方が入所)の2階療養棟は、以前、土曜日を除く週6回の入浴を行っていた。しかし、入浴介助中に職員が膝を痛めてしまうという事故があり、そのことを機に入浴業務の改善に着手。入浴業務を週2回に集約し、新たに「入浴リーダー」という役割を導入した。
【背景】
当施設の浴室は2か所あり、4階に大浴場・家庭浴・特浴、2階療養棟に家庭浴槽が1つある。2階療養棟の利用者は、月・木曜日は4階浴室、火・水・金・日曜日は2階家庭浴を使用し、週6回に分散して入浴を実施していた。2階の家庭浴での入浴は、夜勤明けの勤務者が介助を開始し、遅出勤務者と交代しながら、午前中に一人で介助を行う体制であった。この「一人介助」が原因で、職員が利用者の移乗介助時に膝を痛めてしまうという事故が発生した。この教訓を受け、一人での入浴介助をなくすべく、入浴業務を4階の浴室で、月・木曜日の週2回に行うよう業務変更した。
【課題と改善策】
週2回に集約したことで、満床の場合だと49名の利用者の入浴介助が必要となった。4階の浴室は午後から通所リハビリが使用するため、遅くても11時30分までには終了させる必要があり、時間内に終わらない場合は、午後に2階の浴室を使用することとなる。職員間での入浴介助の経験や利用者に対する知識にばらつきがあり、日によっては時間が超過することもあった。夜勤明けの職員が時間外勤務になり、職員へのストレスや負担が増大する懸念が生じた。
そこで、現状の入浴業務の環境を改善させるため、入浴日の日勤勤務の職員一名を「入浴リーダー」とする役割を導入した。入浴リーダーは、他の職員と同様に業務を並行し、周囲の状況や進行状況を確認しながら次の利用者の脱衣場への誘導指示、大浴場内での洗身介助のフォローなど、タイミング・バランスを調整し入浴業務全体をまとめる役割を担っている。
タイミング・バランスとは脱衣場や浴室へ利用者を誘導する際の見極めを行い、浴室内のシャワーチェア:入浴用車いす:リクライニングシャワーチェアの比率を2:1:1とし、自立~軽介助:一部介助:全介助の利用者を2:1:1に調整することである。初期の段階では、入浴順序や使用する椅子の種類を一覧表にして共有する必要があった。また、経験豊富な職員のみが入浴リーダーを務めるのではなく、全ての職員が入浴リーダーを務めることで、利用者の身体状態把握や職員間の連携等の成長機会と捉え、複数回経験することとした。
【結果】
<入浴業務改善から最初の1、2か月での状況>
新しい業務内容に不慣れなため、他職員の動きを見ながら進行状況も確認し、指示を出しつつ臨機応変に動くことに混乱が見られた。
利用者のアセスメント情報(シャワーチェアなのか、リクライニングシャワーチェアなのかなど)の把握不足により時間を要することもあった。この時期は、時間内に全員の入浴が完了せず、午後から残った数人を介助する状況が何度か発生した。
<数か月経過後の変化>
入浴リーダーを経験した職員が、その日の入浴リーダーをフォローしたり、指示がなくても周囲の状況を確認しながら迅速に行動ができるようになった。
利用者のアセスメント情報を深く理解するようになり、シャワーチェアの選択で迷う時間が減少した。個人差はあるものの、全職員の状況判断能力が明らかに向上し、効率性が高まった。
<1年経過後の状況>
午前中に入浴業務が終了しないことがなくなり、時間内に終了できるようになった。夜勤明けの職員が時間外勤務をすることもなくなった。
以前の入浴業務時間は月・木曜日各3時間、火・水・金・日曜日各2時間の週14時間だった。これを月・木曜日の各3時間、週6時間に集約したことで、入浴日に勤務する職員の負担は一時的に増加した。また、入浴日に多くの人員を配置する必要があるため、勤務作成が複雑化している。しかし、結果として夜勤明け職員の時間外勤務は解消され、入浴日の午後の時間帯や、月・木曜日以外の旧入浴時間帯の午前に時間にゆとりが生まれ、他業務の改善にも繋げることができた。
【考察】
今回の入浴業務改善で、入浴リーダー導入は効率化に大きく貢献したと考えられる。明確な指示を出すことで、職員の無駄な動きが減少し介助がスムーズに進むようになった。さらに全職員が経験する機会を設けたことは効果的であった。職員一人ひとりが、指示がなくても自律的な判断、行動が出来るようになり、状況判断能力が向上したと考える。今回の改善で捻出された時間を他の業務改善や利用者との関りを深める時間、職員休暇などに活用できていることは当施設において大きなメリットとなった。
【終わりに】
入浴リーダーは、誘導するタイミングやバランスを考える必要があり、介助と並行して行わないといけないため負担にはなると思うが、周りの職員でフォローしながら今後も改善を重ねていきたい。
当施設(入所定員89名、通所定員50名、2階療養棟は49床で主に認知症の方が入所)の2階療養棟は、以前、土曜日を除く週6回の入浴を行っていた。しかし、入浴介助中に職員が膝を痛めてしまうという事故があり、そのことを機に入浴業務の改善に着手。入浴業務を週2回に集約し、新たに「入浴リーダー」という役割を導入した。
【背景】
当施設の浴室は2か所あり、4階に大浴場・家庭浴・特浴、2階療養棟に家庭浴槽が1つある。2階療養棟の利用者は、月・木曜日は4階浴室、火・水・金・日曜日は2階家庭浴を使用し、週6回に分散して入浴を実施していた。2階の家庭浴での入浴は、夜勤明けの勤務者が介助を開始し、遅出勤務者と交代しながら、午前中に一人で介助を行う体制であった。この「一人介助」が原因で、職員が利用者の移乗介助時に膝を痛めてしまうという事故が発生した。この教訓を受け、一人での入浴介助をなくすべく、入浴業務を4階の浴室で、月・木曜日の週2回に行うよう業務変更した。
【課題と改善策】
週2回に集約したことで、満床の場合だと49名の利用者の入浴介助が必要となった。4階の浴室は午後から通所リハビリが使用するため、遅くても11時30分までには終了させる必要があり、時間内に終わらない場合は、午後に2階の浴室を使用することとなる。職員間での入浴介助の経験や利用者に対する知識にばらつきがあり、日によっては時間が超過することもあった。夜勤明けの職員が時間外勤務になり、職員へのストレスや負担が増大する懸念が生じた。
そこで、現状の入浴業務の環境を改善させるため、入浴日の日勤勤務の職員一名を「入浴リーダー」とする役割を導入した。入浴リーダーは、他の職員と同様に業務を並行し、周囲の状況や進行状況を確認しながら次の利用者の脱衣場への誘導指示、大浴場内での洗身介助のフォローなど、タイミング・バランスを調整し入浴業務全体をまとめる役割を担っている。
タイミング・バランスとは脱衣場や浴室へ利用者を誘導する際の見極めを行い、浴室内のシャワーチェア:入浴用車いす:リクライニングシャワーチェアの比率を2:1:1とし、自立~軽介助:一部介助:全介助の利用者を2:1:1に調整することである。初期の段階では、入浴順序や使用する椅子の種類を一覧表にして共有する必要があった。また、経験豊富な職員のみが入浴リーダーを務めるのではなく、全ての職員が入浴リーダーを務めることで、利用者の身体状態把握や職員間の連携等の成長機会と捉え、複数回経験することとした。
【結果】
<入浴業務改善から最初の1、2か月での状況>
新しい業務内容に不慣れなため、他職員の動きを見ながら進行状況も確認し、指示を出しつつ臨機応変に動くことに混乱が見られた。
利用者のアセスメント情報(シャワーチェアなのか、リクライニングシャワーチェアなのかなど)の把握不足により時間を要することもあった。この時期は、時間内に全員の入浴が完了せず、午後から残った数人を介助する状況が何度か発生した。
<数か月経過後の変化>
入浴リーダーを経験した職員が、その日の入浴リーダーをフォローしたり、指示がなくても周囲の状況を確認しながら迅速に行動ができるようになった。
利用者のアセスメント情報を深く理解するようになり、シャワーチェアの選択で迷う時間が減少した。個人差はあるものの、全職員の状況判断能力が明らかに向上し、効率性が高まった。
<1年経過後の状況>
午前中に入浴業務が終了しないことがなくなり、時間内に終了できるようになった。夜勤明けの職員が時間外勤務をすることもなくなった。
以前の入浴業務時間は月・木曜日各3時間、火・水・金・日曜日各2時間の週14時間だった。これを月・木曜日の各3時間、週6時間に集約したことで、入浴日に勤務する職員の負担は一時的に増加した。また、入浴日に多くの人員を配置する必要があるため、勤務作成が複雑化している。しかし、結果として夜勤明け職員の時間外勤務は解消され、入浴日の午後の時間帯や、月・木曜日以外の旧入浴時間帯の午前に時間にゆとりが生まれ、他業務の改善にも繋げることができた。
【考察】
今回の入浴業務改善で、入浴リーダー導入は効率化に大きく貢献したと考えられる。明確な指示を出すことで、職員の無駄な動きが減少し介助がスムーズに進むようになった。さらに全職員が経験する機会を設けたことは効果的であった。職員一人ひとりが、指示がなくても自律的な判断、行動が出来るようになり、状況判断能力が向上したと考える。今回の改善で捻出された時間を他の業務改善や利用者との関りを深める時間、職員休暇などに活用できていることは当施設において大きなメリットとなった。
【終わりに】
入浴リーダーは、誘導するタイミングやバランスを考える必要があり、介助と並行して行わないといけないため負担にはなると思うが、周りの職員でフォローしながら今後も改善を重ねていきたい。
