講演情報
[27-O-I002-07]気持ちえいなぁ、体までぬくもったで。ありがとな足湯で元気になった話聞いてく?
香川県 ○和田 朱雄, 八木 ひろみ (介護老人保健施設うちのみ)
はじめに
高齢の利用者さんが転倒すると、身体の機能が一気に低下し、普段の生活にも大きな影響が出てしまいます。さらに、転倒をきっかけに動くのが怖くなってしまい、気持ちまで沈んでしまうことも少なくありません。
そんな中、日々のケアの積み重ねで「足元から元気を取り戻せる」ことを、今回のケースで実感しました。高価な物品や特別な医療的処置を使わなくても、足浴や入浴といった基本的なケアを続けるだけで、利用者さんの足の皮膚状態が良くなり、動く意欲も少しずつ戻ってきたのです。
この報告では、私たちが施設で実施した「足元ケア」が、利用者さんの笑顔と一歩を取り戻すきっかけになった経過をお伝えします。
[対象]
78歳女性、生活自立度A1。ご自宅で転倒され、退院後入られた他施設からリハビリ目的で当施設に入所された方でした。認知症もあり、生活全般に見守りが必要な状態でした。
入所前情報として「足の皮膚がかなり乾燥していて、汚れも目立つ」「受診を検討してみては?」との情報がありました。私たちは、まずは足元をきれいにすることから始めようと、足浴と入浴を中心としたケアに取り組むことにしました。
[ケアの内容]
足の皮膚を清潔に保ち、乾燥を防ぐことを目的に、2週間にわたり以下のケアを実施しました。
・足浴(週5回/月水木土日):足浴専用バケツに足を入れコラージュフルフルで足趾間・足底・踵をやさしく洗う。乾いたタオルで拭き取り、ぬるま湯を入れ膝下までつける。コラージュDメディパワーを入れ、タオルで先程と同様に優しく洗いました。洗浄後は、清潔なタオルで水分を拭き、ニベアクリームを塗ることで乾燥予防に努めました。1回の所要時間は約15分。
・入浴(週2回/火金):全身浴またはシャワー浴を実施。入浴後も足浴同様のニベアクリームでの保湿ケアを丁寧に行いました。
[観察したこと]
2週間にわたり、以下の点に注意しながらケアを続けました。
皮膚の状態:乾燥や角質、赤み、清潔さなどを見て確認
体の動き:歩行時の様子の変化
気持ちの変化:表情や会話、他の利用者さんとの関わり方など
結果
はじめは、足に汚れやガサガサした部分が目立っていましたが、2週間後には見違えるようにきれいになりました。特に乾燥による粉ふきや赤みがなくなり、皮膚が柔らかくなったのが印象的でした。
足元がきれいになるにつれ、「こんなにきれいにしてもろて嬉しい」「足が軽くなった」「気持ちよかった」といった前向きな言葉が聞かれるようになりました。足浴中や足浴後はとても喜ばれ、笑顔も多く、ケアの時間が心地よい時間になっていったのがわかりました。
また、移動も少しずつ変化が見られました。リハビリの効果もあり自力での歩行に移行していきましたが、入所中は転倒することなく経過されました。足がきれいになって動かしやすくなったことや、ケアを通して気持ちが前向きになったことが影響したのではないかと感じています。
[考察]
今回の経験を通して、「基本的なケア」が持つ力を改めて感じました。
足浴は、特別な機械も技術もいらず、限られた時間や人手の中でも取り入れやすいケアです。なにより「足を洗ってもらう」「保湿してもらう」というやさしい時間が、利用者さんにとっては心地よく、安心できる時間になっていたように思います。
また、皮膚が整うと、不快感が減って自然と体を動かす意欲が出てくるという連鎖もありました。清潔に整えられた足は、「自分の体を大事にされている」と感じるきっかけになり、自分自身を大切にする気持ちにもつながったようです。
[これからに向けて]
今回のケースでは介護・看護・リハと連携しながらケアを進める事ができました。皮膚の状態とリハビリの進み具合を一緒に見ていくことで、「今どんなケアが必要か」というケアを職員全体で考えることができると考えます。
また、一度足の状態が整えば、入浴の回数が週2回でも十分清潔が保てるようになることもわかりました。人手が限られている現場でも、「できることを続けていく」ための工夫になると感じています。
おわりに足浴や入浴といった、昔からある基本的なケアでも、丁寧に続けていけば、利用者さんの心と体にしっかり届くことがわかりました。「特別なことをしなくても、日々の関わりで人は変わる」。そんなあたたかい気づきを与えてくれた2週間でした。「これならうちでもできそう」と思っていただけたら嬉しいです。現場で日々奮闘する皆さんと、この取り組みを共有できることを願っています。
高齢の利用者さんが転倒すると、身体の機能が一気に低下し、普段の生活にも大きな影響が出てしまいます。さらに、転倒をきっかけに動くのが怖くなってしまい、気持ちまで沈んでしまうことも少なくありません。
そんな中、日々のケアの積み重ねで「足元から元気を取り戻せる」ことを、今回のケースで実感しました。高価な物品や特別な医療的処置を使わなくても、足浴や入浴といった基本的なケアを続けるだけで、利用者さんの足の皮膚状態が良くなり、動く意欲も少しずつ戻ってきたのです。
この報告では、私たちが施設で実施した「足元ケア」が、利用者さんの笑顔と一歩を取り戻すきっかけになった経過をお伝えします。
[対象]
78歳女性、生活自立度A1。ご自宅で転倒され、退院後入られた他施設からリハビリ目的で当施設に入所された方でした。認知症もあり、生活全般に見守りが必要な状態でした。
入所前情報として「足の皮膚がかなり乾燥していて、汚れも目立つ」「受診を検討してみては?」との情報がありました。私たちは、まずは足元をきれいにすることから始めようと、足浴と入浴を中心としたケアに取り組むことにしました。
[ケアの内容]
足の皮膚を清潔に保ち、乾燥を防ぐことを目的に、2週間にわたり以下のケアを実施しました。
・足浴(週5回/月水木土日):足浴専用バケツに足を入れコラージュフルフルで足趾間・足底・踵をやさしく洗う。乾いたタオルで拭き取り、ぬるま湯を入れ膝下までつける。コラージュDメディパワーを入れ、タオルで先程と同様に優しく洗いました。洗浄後は、清潔なタオルで水分を拭き、ニベアクリームを塗ることで乾燥予防に努めました。1回の所要時間は約15分。
・入浴(週2回/火金):全身浴またはシャワー浴を実施。入浴後も足浴同様のニベアクリームでの保湿ケアを丁寧に行いました。
[観察したこと]
2週間にわたり、以下の点に注意しながらケアを続けました。
皮膚の状態:乾燥や角質、赤み、清潔さなどを見て確認
体の動き:歩行時の様子の変化
気持ちの変化:表情や会話、他の利用者さんとの関わり方など
結果
はじめは、足に汚れやガサガサした部分が目立っていましたが、2週間後には見違えるようにきれいになりました。特に乾燥による粉ふきや赤みがなくなり、皮膚が柔らかくなったのが印象的でした。
足元がきれいになるにつれ、「こんなにきれいにしてもろて嬉しい」「足が軽くなった」「気持ちよかった」といった前向きな言葉が聞かれるようになりました。足浴中や足浴後はとても喜ばれ、笑顔も多く、ケアの時間が心地よい時間になっていったのがわかりました。
また、移動も少しずつ変化が見られました。リハビリの効果もあり自力での歩行に移行していきましたが、入所中は転倒することなく経過されました。足がきれいになって動かしやすくなったことや、ケアを通して気持ちが前向きになったことが影響したのではないかと感じています。
[考察]
今回の経験を通して、「基本的なケア」が持つ力を改めて感じました。
足浴は、特別な機械も技術もいらず、限られた時間や人手の中でも取り入れやすいケアです。なにより「足を洗ってもらう」「保湿してもらう」というやさしい時間が、利用者さんにとっては心地よく、安心できる時間になっていたように思います。
また、皮膚が整うと、不快感が減って自然と体を動かす意欲が出てくるという連鎖もありました。清潔に整えられた足は、「自分の体を大事にされている」と感じるきっかけになり、自分自身を大切にする気持ちにもつながったようです。
[これからに向けて]
今回のケースでは介護・看護・リハと連携しながらケアを進める事ができました。皮膚の状態とリハビリの進み具合を一緒に見ていくことで、「今どんなケアが必要か」というケアを職員全体で考えることができると考えます。
また、一度足の状態が整えば、入浴の回数が週2回でも十分清潔が保てるようになることもわかりました。人手が限られている現場でも、「できることを続けていく」ための工夫になると感じています。
おわりに足浴や入浴といった、昔からある基本的なケアでも、丁寧に続けていけば、利用者さんの心と体にしっかり届くことがわかりました。「特別なことをしなくても、日々の関わりで人は変わる」。そんなあたたかい気づきを与えてくれた2週間でした。「これならうちでもできそう」と思っていただけたら嬉しいです。現場で日々奮闘する皆さんと、この取り組みを共有できることを願っています。
