講演情報
[27-O-J002-05]多職種ミールラウンドで経口摂取への取り組み~口から食べる喜びをもう一度~
群馬県 ○萩原 有美, 山田 祐也, 須田 ひろみ, 須永 剛文, 高玉 真光 (群馬老人保健センター陽光苑)
【はじめに】
3食経管栄養でBMI16.0と低体重の利用者様が入所。病院では言語聴覚士(以下ST)による経口訓練を行ったが誤嚥性肺炎を繰り返し経口摂取困難で胃瘻造設となった。覚醒不良や嚥下機能の低下がみられ、義歯の不適合もあると引継ぎがあった。入所時は筋力や体力面の低下がみられ歩行は歩行器で10m程可能だったが、後方や左右にふらつきがみられた。食事意欲はあり、嚥下機能や体力の向上、栄養状態の改善を目標に多職種で介入していった。ミールラウンドでの様子や食事内容の経過を以下にまとめた。
【目的】
3食経口摂取へ移行し、栄養状態を改善する
【経過】
1)入所時 体重38.5kg BMI16.0 Alb2.9g/dl
筋力や体力面では上下肢の筋力低下がみられたが、自己起床や体動活発で経管栄養を1000Kcal/日→1200Kcal/日へ増量した。
1200Kcal/日(経管栄養)提供
2)入所26日目 体重38.5kg BMI16.0
STによる嚥下評価を行い医師の指示のもと経管栄養と併用して毎食練習食Aゼリー(嚥下コード1j:物性に配慮した離水の少ないもの)の提供を開始した。自力摂取できており自身で一口量調整しながら食べることができた。
1200Kcal(経管栄養)+327Kcal(練習食A)=1527Kcal/日提供
3)入所36日目
体調不良による発熱、痰がらみがあり経口摂取一時中止し経管栄養のみ約4週間継続した。
1200Kcal/日(経管栄養)提供
4)入所66日目 体重38.5kg BMI16.0 Alb2.9g/dl
状態も安定したため再度STによる嚥下機能評価を行い、経口摂取を再開。毎食練習食Aを提供した。以前と変わらず自力摂取でゆっくり食べることができた。
1200Kcal(経管栄養)+327Kcal(練習食A)=1527Kcal/日提供
5)入所73日目
練習食Aも問題なく摂取できており、練習食Bゼリー、全粥100g、佃煮(嚥下コード1j)へ変更した。
1200Kcal(経管栄養)+533Kcal(練習食B)=1733Kcal/日提供
6)入所79日目 体重40.5kg BMI16.8
自力摂取できており、食事摂取量80%と良好に経過。1食分を最後まで食べる体力があるかを検討し、朝夕は経管栄養と併用し練習食Bを継続、昼のみ練習食Cミキサー粥150g、ミキサー食ハーフ(嚥下コード2-1:均質でなめらかなもの)の食事を提供した。20分ほどで完食し嚥下機能問題なく自力摂取できた。義歯を調整し随時使用していくこととなった。
朝夕600Kcal(経管栄養)+354Kcal(練習食B)+昼342Kcal(練習食C)=1296Kcal/日提供
7)入所84日目
・看護師と介護士より夜間の湿性咳嗽があったと報告があり翌日、STによる嚥下機能評価実施。
一口量若干多いが摂取ペースはゆっくりで顎を引いた状態で食事できている。嚥下時の喉頭の動きは保たれており、飲み込む力は良好。食事中のむせこみや湿性嗄声はみられず、経口摂取を継続した。
8)入所88日目 経管栄養は終了し3食経口摂取へ
数日間状態変化なく経過。経管栄養を終了し3食練習食Cへ変更した。「量が多い」と発言あったため全体量は増やさずに補助食品をつけてエネルギーを補えるよう調整した。
745Kcal(練習食Cハーフ)+補助食品ゼリー(180Kcal×3回)=1285Kcal/日提供
9)入所102日目
練習食Cも問題なく摂取できており、食事摂取量も80%と良好に経過。練習食D全粥150g、ムース食ハーフ、補助食品ゼリー(嚥下コード3:口腔内で押しつぶし、食塊形成が容易なもの)へ変更した。一口量もちょうどよく全粥に変更したことで本人より「粥はおいしい」と発言が聞かれた。
745Kcal(練習食Dハーフ)+補助食品ゼリー(180Kcal×3回)=1285Kcal/日提供
・リハビリでは耐久性が向上し歩行練習が歩行器で50mほど行えるようになった。歩行中のふらつきも少なくなり、体力がついてきた。
10)入所116日目 体重38.8kg BMI16.1
練習食Dも食事摂取量95%と良好で普通食、おにぎり80g、軟菜食ハーフ補助食品ゼリー(嚥下コード4:形があり、かたすぎず、ばらけにくく、貼りつきにくいもの)へ変更した。食事開始当初に比べ、嚥下機能が向上しおにぎりを手でもってよく噛んで食べられた。しばらくは見守りでむせや最後まで食べられるか観察していった。
810Kcal(軟菜食ハーフ)+補助食品ゼリー(180Kcal×3回)=1350Kcal/日提供
11)入所209日目 体重39.3kg BMI16.3
体重も増加傾向で食事摂取量95%と良好に経過。主食のおにぎりを崩しおかずを混ぜて食べる傾向があり食事摂取量も安定してきたので主食をご飯にし、栄養強化目的で中鎖脂肪酸オイルとプロテインパウダー付加を提案した。
1350Kcal+250Kcal(栄養強化)=1600Kcal/日提供
12)入所364日目 体重40.6kg BMI16.8
・経口維持加算算定
体重維持で経過し、朝夕の食事摂取量良好のため主食量20g増量(朝夕ご飯100g)を提案し摂取量の経過をみていくこととなった。
1600Kcal+70Kcal(増量分)=1670Kcal/日提供
13)入所370日目 寿司の実演
経口摂取も安定し本人が希望していた、まぐろのお寿司を食べることができ「うまいよ」と喜ばれた。
【結果考察】
約1年かけて経管栄養から経口摂取へ状態が改善し、ご本人の希望するお寿司を食べることができた。多職種で連携し利用者様に合わせた無理ない食事内容や提供量の調整が実現できた。管理栄養士によるミールラウンドと多職種での食事観察やカンファレンスで全身状態や体重、食事摂取量の変化を共有し共通認識をもつことで状態改善につながったと考える。言語聴覚士による嚥下機能評価や看護師、介護士による食事場面観察、健康管理、理学療法士による身体機能評価に加え、管理栄養士による体重管理や食事内容の提案と専門分野を活かしADLの向上にもつながった。今後も管理栄養士として多職種と連携し積極的に利用者様やご家族の望むかたちで支援していきたい。
3食経管栄養でBMI16.0と低体重の利用者様が入所。病院では言語聴覚士(以下ST)による経口訓練を行ったが誤嚥性肺炎を繰り返し経口摂取困難で胃瘻造設となった。覚醒不良や嚥下機能の低下がみられ、義歯の不適合もあると引継ぎがあった。入所時は筋力や体力面の低下がみられ歩行は歩行器で10m程可能だったが、後方や左右にふらつきがみられた。食事意欲はあり、嚥下機能や体力の向上、栄養状態の改善を目標に多職種で介入していった。ミールラウンドでの様子や食事内容の経過を以下にまとめた。
【目的】
3食経口摂取へ移行し、栄養状態を改善する
【経過】
1)入所時 体重38.5kg BMI16.0 Alb2.9g/dl
筋力や体力面では上下肢の筋力低下がみられたが、自己起床や体動活発で経管栄養を1000Kcal/日→1200Kcal/日へ増量した。
1200Kcal/日(経管栄養)提供
2)入所26日目 体重38.5kg BMI16.0
STによる嚥下評価を行い医師の指示のもと経管栄養と併用して毎食練習食Aゼリー(嚥下コード1j:物性に配慮した離水の少ないもの)の提供を開始した。自力摂取できており自身で一口量調整しながら食べることができた。
1200Kcal(経管栄養)+327Kcal(練習食A)=1527Kcal/日提供
3)入所36日目
体調不良による発熱、痰がらみがあり経口摂取一時中止し経管栄養のみ約4週間継続した。
1200Kcal/日(経管栄養)提供
4)入所66日目 体重38.5kg BMI16.0 Alb2.9g/dl
状態も安定したため再度STによる嚥下機能評価を行い、経口摂取を再開。毎食練習食Aを提供した。以前と変わらず自力摂取でゆっくり食べることができた。
1200Kcal(経管栄養)+327Kcal(練習食A)=1527Kcal/日提供
5)入所73日目
練習食Aも問題なく摂取できており、練習食Bゼリー、全粥100g、佃煮(嚥下コード1j)へ変更した。
1200Kcal(経管栄養)+533Kcal(練習食B)=1733Kcal/日提供
6)入所79日目 体重40.5kg BMI16.8
自力摂取できており、食事摂取量80%と良好に経過。1食分を最後まで食べる体力があるかを検討し、朝夕は経管栄養と併用し練習食Bを継続、昼のみ練習食Cミキサー粥150g、ミキサー食ハーフ(嚥下コード2-1:均質でなめらかなもの)の食事を提供した。20分ほどで完食し嚥下機能問題なく自力摂取できた。義歯を調整し随時使用していくこととなった。
朝夕600Kcal(経管栄養)+354Kcal(練習食B)+昼342Kcal(練習食C)=1296Kcal/日提供
7)入所84日目
・看護師と介護士より夜間の湿性咳嗽があったと報告があり翌日、STによる嚥下機能評価実施。
一口量若干多いが摂取ペースはゆっくりで顎を引いた状態で食事できている。嚥下時の喉頭の動きは保たれており、飲み込む力は良好。食事中のむせこみや湿性嗄声はみられず、経口摂取を継続した。
8)入所88日目 経管栄養は終了し3食経口摂取へ
数日間状態変化なく経過。経管栄養を終了し3食練習食Cへ変更した。「量が多い」と発言あったため全体量は増やさずに補助食品をつけてエネルギーを補えるよう調整した。
745Kcal(練習食Cハーフ)+補助食品ゼリー(180Kcal×3回)=1285Kcal/日提供
9)入所102日目
練習食Cも問題なく摂取できており、食事摂取量も80%と良好に経過。練習食D全粥150g、ムース食ハーフ、補助食品ゼリー(嚥下コード3:口腔内で押しつぶし、食塊形成が容易なもの)へ変更した。一口量もちょうどよく全粥に変更したことで本人より「粥はおいしい」と発言が聞かれた。
745Kcal(練習食Dハーフ)+補助食品ゼリー(180Kcal×3回)=1285Kcal/日提供
・リハビリでは耐久性が向上し歩行練習が歩行器で50mほど行えるようになった。歩行中のふらつきも少なくなり、体力がついてきた。
10)入所116日目 体重38.8kg BMI16.1
練習食Dも食事摂取量95%と良好で普通食、おにぎり80g、軟菜食ハーフ補助食品ゼリー(嚥下コード4:形があり、かたすぎず、ばらけにくく、貼りつきにくいもの)へ変更した。食事開始当初に比べ、嚥下機能が向上しおにぎりを手でもってよく噛んで食べられた。しばらくは見守りでむせや最後まで食べられるか観察していった。
810Kcal(軟菜食ハーフ)+補助食品ゼリー(180Kcal×3回)=1350Kcal/日提供
11)入所209日目 体重39.3kg BMI16.3
体重も増加傾向で食事摂取量95%と良好に経過。主食のおにぎりを崩しおかずを混ぜて食べる傾向があり食事摂取量も安定してきたので主食をご飯にし、栄養強化目的で中鎖脂肪酸オイルとプロテインパウダー付加を提案した。
1350Kcal+250Kcal(栄養強化)=1600Kcal/日提供
12)入所364日目 体重40.6kg BMI16.8
・経口維持加算算定
体重維持で経過し、朝夕の食事摂取量良好のため主食量20g増量(朝夕ご飯100g)を提案し摂取量の経過をみていくこととなった。
1600Kcal+70Kcal(増量分)=1670Kcal/日提供
13)入所370日目 寿司の実演
経口摂取も安定し本人が希望していた、まぐろのお寿司を食べることができ「うまいよ」と喜ばれた。
【結果考察】
約1年かけて経管栄養から経口摂取へ状態が改善し、ご本人の希望するお寿司を食べることができた。多職種で連携し利用者様に合わせた無理ない食事内容や提供量の調整が実現できた。管理栄養士によるミールラウンドと多職種での食事観察やカンファレンスで全身状態や体重、食事摂取量の変化を共有し共通認識をもつことで状態改善につながったと考える。言語聴覚士による嚥下機能評価や看護師、介護士による食事場面観察、健康管理、理学療法士による身体機能評価に加え、管理栄養士による体重管理や食事内容の提案と専門分野を活かしADLの向上にもつながった。今後も管理栄養士として多職種と連携し積極的に利用者様やご家族の望むかたちで支援していきたい。
