講演情報
[27-O-J002-06]経管栄養から経口摂取へ
岡山県 ○田中 綾, 松田 恵理子 (老人保健施設 倉敷藤戸荘)
【はじめに】
食事は、健康維持だけでなく心の満足感や幸福感をもたらしQOLの向上に欠かせないものである。しかし、高齢により様々な要因から食べる機能が低下している方が多くなっている。今回は、当施設で認知症の進行により経口摂取が難しくなったが経腸栄養から経口摂取へ移行できた事例を紹介する。
【事例紹介】
対象者:90歳 男性
病歴:認知症 高血圧
要介護度:5
【経過】
病院に入院中認知症が悪化し、令和6年5月頃から食事がとれなくなった。ご家族がPEG造設を希望し6月に造設となる。同月にリハビリ目的で当施設へ入所され、ご家族としては「経口摂取できるようになって欲しい」という思いが強かった。
初回摂食嚥下評価では嚥下機能に著明な低下はみられず、経口摂取は可能だが先行期の影響が大きく食事が摂れないため、お楽しみ程度で摂食可能となる。経口摂取への拒否はみられず「食べてもいいですか?」と笑顔がみられた。その後もゼリーやヨーグルトなど食べやすいものを中心に経口摂取のアプローチを行った。
ご家族が経口摂取を希望しているため、多職種でカンファレンスを行い総合的に判断した結果、全粥・軟菜食の形態で経口摂取の評価を行うこととなり、4日間評価を行い経口摂取可能か検討していった。初日は、自発的に食事を自分の方へ引き寄せる場面もみられた。1口量が多く、誤嚥のリスクがあり食事介助が望ましいが、介助に対し拒否みられ、近位見守りが必須。2日目は心理状態が不安定で、途中から意欲低下もあり5割程で終了した。以前から水分は比較的確保できていたため、3日目にクリミールを付けて評価した。1口飲んで「おいしい」と自発的に飲まれていた。「全部食べてもいい?」と発言あり15分程度で全量摂取できた。これまでの評価で意欲・摂取量ともに最も良好であった。最終日も自発的に食べられて全量摂取できた。
4日間の評価をもとに多職種でカンファレンスを行い、まずは昼食のみ近位見守りにて自食で経口摂取を開始することとなった。嚥下機能が低下した場合は時はST、Nsがサイドで見守りを行うか一部介助を行う事とする。
その後、徐々に経口摂取の回数を増やしていき最終的に3食経口摂取できるようになった。
【結果】
多職種が積極的に関わることで、入所時に比べて食に対する意欲が向上し3食経口摂取できるようになり、ご家族の希望に添うことができた。3食経口摂取となったが、PEGは抜去せず体調不良時に、経口摂取が難しい時は随時経管栄養から栄養投与できるようにした。
【考察】
今回の事例を通して、利用者の日々の生活状況・全身状態・食事に対する意欲や食事時の状態など、多職種による観察を行うことで、安全に経口摂取を開始することができたのではないかと考える。
また、ご利用者様とそのご家族にとっても再び経口摂取が可能となったことで、外出時に一緒に食事できる「喜び」を感じられたのではないかと思われる。
今後も、ご利用者様やご家族の思いを大切にし、多職種協同で状態に合わせた食事を提供していきたい。
食事は、健康維持だけでなく心の満足感や幸福感をもたらしQOLの向上に欠かせないものである。しかし、高齢により様々な要因から食べる機能が低下している方が多くなっている。今回は、当施設で認知症の進行により経口摂取が難しくなったが経腸栄養から経口摂取へ移行できた事例を紹介する。
【事例紹介】
対象者:90歳 男性
病歴:認知症 高血圧
要介護度:5
【経過】
病院に入院中認知症が悪化し、令和6年5月頃から食事がとれなくなった。ご家族がPEG造設を希望し6月に造設となる。同月にリハビリ目的で当施設へ入所され、ご家族としては「経口摂取できるようになって欲しい」という思いが強かった。
初回摂食嚥下評価では嚥下機能に著明な低下はみられず、経口摂取は可能だが先行期の影響が大きく食事が摂れないため、お楽しみ程度で摂食可能となる。経口摂取への拒否はみられず「食べてもいいですか?」と笑顔がみられた。その後もゼリーやヨーグルトなど食べやすいものを中心に経口摂取のアプローチを行った。
ご家族が経口摂取を希望しているため、多職種でカンファレンスを行い総合的に判断した結果、全粥・軟菜食の形態で経口摂取の評価を行うこととなり、4日間評価を行い経口摂取可能か検討していった。初日は、自発的に食事を自分の方へ引き寄せる場面もみられた。1口量が多く、誤嚥のリスクがあり食事介助が望ましいが、介助に対し拒否みられ、近位見守りが必須。2日目は心理状態が不安定で、途中から意欲低下もあり5割程で終了した。以前から水分は比較的確保できていたため、3日目にクリミールを付けて評価した。1口飲んで「おいしい」と自発的に飲まれていた。「全部食べてもいい?」と発言あり15分程度で全量摂取できた。これまでの評価で意欲・摂取量ともに最も良好であった。最終日も自発的に食べられて全量摂取できた。
4日間の評価をもとに多職種でカンファレンスを行い、まずは昼食のみ近位見守りにて自食で経口摂取を開始することとなった。嚥下機能が低下した場合は時はST、Nsがサイドで見守りを行うか一部介助を行う事とする。
その後、徐々に経口摂取の回数を増やしていき最終的に3食経口摂取できるようになった。
【結果】
多職種が積極的に関わることで、入所時に比べて食に対する意欲が向上し3食経口摂取できるようになり、ご家族の希望に添うことができた。3食経口摂取となったが、PEGは抜去せず体調不良時に、経口摂取が難しい時は随時経管栄養から栄養投与できるようにした。
【考察】
今回の事例を通して、利用者の日々の生活状況・全身状態・食事に対する意欲や食事時の状態など、多職種による観察を行うことで、安全に経口摂取を開始することができたのではないかと考える。
また、ご利用者様とそのご家族にとっても再び経口摂取が可能となったことで、外出時に一緒に食事できる「喜び」を感じられたのではないかと思われる。
今後も、ご利用者様やご家族の思いを大切にし、多職種協同で状態に合わせた食事を提供していきたい。
