講演情報
[27-O-L001-06]ウレタンでつくる“その人らしい座り方”~車いす調整による疼痛軽減と活動性向上~
沖縄県 ○仲宗根 理子1, 金城 知子2 (1.介護老人保健施設ぎのわんおもと園, 2.社会福祉法人おもと会 本部 結いま~るケアプロジェクト)
【はじめに】当施設では約9割の入所者が車いすを使用しており、個々の身体状況に応じた車いすの選定と調整は重要課題である。脊柱側弯(S字)と変形性腰椎症を有する89歳女性入所者A氏に対して、ウレタン素材の組み合わせによる座面クッションの作製および車いす背部張りの調整を実施した。その結果、臀部の痛み軽減と車いすの自操が可能となり、活動性と交流の促進につながったため以下に報告する。
【症例】A氏は腰椎脊柱管狭窄症・腰椎圧迫骨折・変形性腰椎症等の既往を有し、自宅では転倒頻発により安全な生活が困難な状況。息子の長期入院を機にレスパイト目的で当施設に入所。入所時より臀部痛を訴え、脊柱側弯(右凸)により座位姿勢が右側へ傾斜し、左大腿部および体幹右側が車いすフレームと接触し痛みを生じていた。車いす座位での姿勢不良により車いす自操が難しく、食事以外でも「ホールに行きたいから押してほしい。」と訴えがあった。また「相談なしにここに連れてこられた。」と家族への不満あり家族への電話要求や帰宅要求頻回。常に表情が険しい印象があった。
【目的】痛みなく快適に座れる姿勢を確保し自ら車いすを使って施設内を移動できるよう環境調整を行う。
【評価】車いす座位において、背もたれにもたれておらず前屈姿勢。右側に凸の重度の脊柱側彎があり、右側方への姿勢の崩れあり。車いすに浅く座っており座圧の受ける範囲が狭い印象。右体幹部分は、車いすフレームに接触している。骨盤は後傾、右回旋、左上がりの傾斜あり。頚部は左回旋傾向。右肩が下制。圧分散測定器FSAにて、左大腿部は座面に接しておらず仙骨部分に圧が高い。ADL評価:FIM 68点(R7.2)車いす駆動は全介助レベル、自操の意欲あるが姿勢の崩れから痛みが生じており車いす駆動が出来ていない状況。帰宅要求あり。コミュニケーションは可能であるが易怒的。*HDS‐R:16点(R7.2)
【方法】車いすをモジュール型「KZ」に変更。座骨~膝窩距離(13cm)を基にアンカーサポートを設け、硬質チップウレタン・高反発・低反発素材を組み合わせてクッションを作製。特に右大腿部下に厚み(2cm)を持たせて座圧を均等化し、骨盤の安定を図った。クッションの土台にはソリッド素材、中層に柔らかい高反発素材、表層には低反発素材、クッションカバーは伸縮性・通気性の良いメッシュ生地を用いた。また、車いす背部の張り調整、体幹パッドや骨突出部位の保護サポートも追加し良肢位の維持を支援した。
【結果】圧分散測定器FSAによって座圧分散の改善と骨盤の安定化が確認され、右側方への傾きが軽減。疼痛の訴えが減少し、本人による車いす自操が可能となった。フロア内での移動頻度が増加し、他者との交流も向上。家族への不満や帰宅要求が減少し、表情も穏やかに変化。FIMスコアは68点から71点に向上、移動は全介助から中等度介助、社会的交流は修正自立から完全自立へ改善。HDS-Rスコアも1点向上し、語想起や見当識の改善がみられた。
【考察】ウレタン素材を活用した座面クッションは、アンカーサポートの工夫により骨盤の安定を促し、利用者の身体特性に即した座位姿勢の修正が可能となった。加えて、背部張り調整や体幹パッドの併用により姿勢保持と疼痛緩和が図られ、座位での快適性と持続性が向上した。これにより、車いす自操が可能となり、移動範囲の拡大と活動性の向上につながった。施設内での自発的な移動は他者との交流機会を生み出し、対人関係や感情面にも良好な影響を与えた。表情の穏やかさがみられたことや帰宅欲求の軽減は、環境調整が心身の安定にも寄与することを示している。今後も、身体機能や姿勢の特徴、また精神面の状態にも着目しながら車いす環境の個別調整を継続し、生活動作の安定や活動範囲の拡大につなげ、その人らしい生活の実現を支援していきたい。
【症例】A氏は腰椎脊柱管狭窄症・腰椎圧迫骨折・変形性腰椎症等の既往を有し、自宅では転倒頻発により安全な生活が困難な状況。息子の長期入院を機にレスパイト目的で当施設に入所。入所時より臀部痛を訴え、脊柱側弯(右凸)により座位姿勢が右側へ傾斜し、左大腿部および体幹右側が車いすフレームと接触し痛みを生じていた。車いす座位での姿勢不良により車いす自操が難しく、食事以外でも「ホールに行きたいから押してほしい。」と訴えがあった。また「相談なしにここに連れてこられた。」と家族への不満あり家族への電話要求や帰宅要求頻回。常に表情が険しい印象があった。
【目的】痛みなく快適に座れる姿勢を確保し自ら車いすを使って施設内を移動できるよう環境調整を行う。
【評価】車いす座位において、背もたれにもたれておらず前屈姿勢。右側に凸の重度の脊柱側彎があり、右側方への姿勢の崩れあり。車いすに浅く座っており座圧の受ける範囲が狭い印象。右体幹部分は、車いすフレームに接触している。骨盤は後傾、右回旋、左上がりの傾斜あり。頚部は左回旋傾向。右肩が下制。圧分散測定器FSAにて、左大腿部は座面に接しておらず仙骨部分に圧が高い。ADL評価:FIM 68点(R7.2)車いす駆動は全介助レベル、自操の意欲あるが姿勢の崩れから痛みが生じており車いす駆動が出来ていない状況。帰宅要求あり。コミュニケーションは可能であるが易怒的。*HDS‐R:16点(R7.2)
【方法】車いすをモジュール型「KZ」に変更。座骨~膝窩距離(13cm)を基にアンカーサポートを設け、硬質チップウレタン・高反発・低反発素材を組み合わせてクッションを作製。特に右大腿部下に厚み(2cm)を持たせて座圧を均等化し、骨盤の安定を図った。クッションの土台にはソリッド素材、中層に柔らかい高反発素材、表層には低反発素材、クッションカバーは伸縮性・通気性の良いメッシュ生地を用いた。また、車いす背部の張り調整、体幹パッドや骨突出部位の保護サポートも追加し良肢位の維持を支援した。
【結果】圧分散測定器FSAによって座圧分散の改善と骨盤の安定化が確認され、右側方への傾きが軽減。疼痛の訴えが減少し、本人による車いす自操が可能となった。フロア内での移動頻度が増加し、他者との交流も向上。家族への不満や帰宅要求が減少し、表情も穏やかに変化。FIMスコアは68点から71点に向上、移動は全介助から中等度介助、社会的交流は修正自立から完全自立へ改善。HDS-Rスコアも1点向上し、語想起や見当識の改善がみられた。
【考察】ウレタン素材を活用した座面クッションは、アンカーサポートの工夫により骨盤の安定を促し、利用者の身体特性に即した座位姿勢の修正が可能となった。加えて、背部張り調整や体幹パッドの併用により姿勢保持と疼痛緩和が図られ、座位での快適性と持続性が向上した。これにより、車いす自操が可能となり、移動範囲の拡大と活動性の向上につながった。施設内での自発的な移動は他者との交流機会を生み出し、対人関係や感情面にも良好な影響を与えた。表情の穏やかさがみられたことや帰宅欲求の軽減は、環境調整が心身の安定にも寄与することを示している。今後も、身体機能や姿勢の特徴、また精神面の状態にも着目しながら車いす環境の個別調整を継続し、生活動作の安定や活動範囲の拡大につなげ、その人らしい生活の実現を支援していきたい。
