講演情報

[27-O-L003-01]オンラインでのリハビリテーション会議の実践と課題

山口県 田中 亮太, 矢野 稚子, 西 和範, 石川 優太, 宮地 孝典 (介護老人保健施設ケアセンターゆうわ)
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【はじめに】リハビリ会議について、利用者様及びその家族様を基本としつつ、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ケアマネージャー、ケアプランの原案に位置付けた居宅サービス等の担当者、介護予防・日常生活支援総合事業のサービス担当者、保健師等の多職種で構成されるとされている。しかし当事業所のような介護老人保健施設(以下老健)に設置された事業所の場合、次のような課題からリハビリテーションマネジメント加算の算定に制限がある状況が続いていた。以下、課題とそれに対する対応を示す。
課題1:特にコロナウィルス流行以後において、入所施設での蔓延防止対策の観点から老健業務のある医師と、通所リハビリの利用者様・家族様・ケアマネージャー・各サービス事業者などの対面が難しくなった。 対応:主に直接対面形式でのリハビリ会議参加が難しい医師について、動画通信サービスを活用したオンラインでのリハビリ会議を基本形式とし採用した。オンラインのみの実施も試行したが、家族様などオンラインの導入が難しい場合、直接対面形式での実施も維持することとなった。
課題2:蔓延防止により増加した老健業務により、医師のリハビリ会議参加のための時間確保が難しい。 対応:事前に医師へ書式化した検討課題を含む書類を提供することで、オンライン環境で利用者様の状態把握を容易にし、短時間で課題へ移行できるようにした。結果として以前と比べ速やかに議題に合わせたリハビリ会議が開催され、医師の参加が容易になった。
課題3:コロナ禍におけるリハビリ会議の連絡、参加調整など困難である。 対応:リハビリ会議に関する連絡連携業務を主にメールを用いることで省力化し、参加可否の把握を容易にした。一部家族様に対してもメールを用いた連絡を行う事ができたが、家族様が高齢であるなど、書面の方が連携を図りやすい場合も多かった。そのため家族様に対しては書面での調整を主とした。
コロナウィルス感染症の流行後は、課題1の点から対面式の開催が長期間不可能となり、加算算定が出来ない状況が続いていた。オンライン形式でのリハビリ会議を導入した結果、現時点において要介護者の約77%にリハビリテーションマネジメント加算を算定することができるようになった。
【実例を元にしたリハビリ会議実施の流れ】自宅での移動手段の検討を行い、車椅子及び手すりの導入に至った事例。
80歳代、男性、要介護3、BMI26、奥様と二人暮らし、主疾患パーキンソン病
経過:4年前から介護予防通所リハビリにて当苑利用開始。リハビリ会議開催直前に区分変更があり、要介護となる。ご利用当初はパーキンソン症状があるも歩行器歩行や手すり歩行で移動が自立していた。その後徐々に症状が進行、ご自宅での転倒が多くなり要介護へ区分変更となった。
1.リハビリ会議日時の調整:キーパーソンである奥様については書面にて会議日時を伝達。ケアマネージャーなど関係者へはメールにて伝達を行う。ケアマネージャーからは、現状使用している歩行器レンタルを中止し、車椅子への変更を検討中で、それに伴いベッドへの手すり設置も検討されている旨連絡を受ける。
2. 事前ミーティングの実施:リハビリ会議実施予定者について事業所内にて事前ミーティングを行い、ご自宅での移動手段の検討を目的とした通所での移動状況の確認を行った。また、リハビリ会議前に理学療法士による複数の歩行器や伝い歩きの動画撮影を行い、ご自宅での実用的な福祉用具の提案を行う事ができるようにした。
3.医師への情報共有書類の作成:ミーティング結果を元に事前資料を作成、老健医師に共有する。
4.リハビリ会議当日:利用者様にリハビリ会議がある事について当日確認を行い、利用者様のタイムスケジュールを調整することで、円滑にリハビリ会議が開催できるようにする。リハビリ会議ではご自宅での移動手段について検討を行う。通所で練習を行った歩行器などの動作状態について事前に撮影した動画を共有し、参加者へ結果を報告。現状では歩行器の使用は難しいことから車椅子及び手すりの導入による伝い歩きを併用する方針となり、併せて福祉用具の導入時に理学療法士が自宅訪問をしての環境調整することを確認する。以上の結果を踏まえ、今後のリハビリ計画について、医師より本人様に説明、オンライン参加された家族様も同意をされる。
5.会議後日:福祉用具の搬入に合わせて通所リハビリの理学療法士がご自宅を訪問する。本人様、家族様、ケアマネージャー、福祉用具担当者などと自宅環境に合わせた車椅子、手すりの確認、調整を行い、導入に至った。
【考察・まとめ】オンライン形式でのリハビリ会議を行う事で、コロナ禍においてもリハビリテーションマネジメント加算を安定して算定することができるようになった。事前ミーティングを強化し検討課題を共有することで、会議内容がより充実するようになった。またリハビリ会議に関する連絡、参加調整についてもメールを基本とすることで業務省力化が進んだ。
またオンライン開催に切り替えたことで、遠隔地にいる家族様などがリハビリ会議に参加しやすくなった、事前に動画等を撮影しリハビリ会議の場で共有することでリハビリ状況の共有や動作上の留意点の伝達が容易となった、などのメリットも見られた。今後の課題として、家族様の中には機械操作が苦手な方も多くオンライン形式への対応が難しい、また利用者様の視力低下や難聴などの理由から対面式に比べてコミュニケーションが難しくなる、医師と直接顔を合わせられないこと自体への不安が見られる、などの事例も見られた。
感染症予防、蔓延防止を踏まえ、この事例をもとにオンライン形式、直接対面形式のリハビリ会議を臨機応変に活用することで、安定したリハビリテーション会議の実施と利用者様、家族様などへの支援に繋げていきたい。