講演情報
[27-O-L003-07]リハビリテーション会議の取り組みと効果
福島県 ○橋本 智絵美 (介護老人保健施設 三春南東北リハビリテーションケアセンター)
【はじめに】
当通所リハビリテーション(以下,通所リハビリ)では令和X年10月からリハビリマネジメント(以下,リハマネ)加算の算定を開始した.リハビリテーション会議(以下,リハ会議)を開催することで,本人・家族・他事業所・通所リハビリ職員間の目標共有が図られ,本人・家族のHOPEに沿ったリハビリの提供が可能となったためここに報告する.
【事例紹介】
対象は,要支援1の90歳代女性で息子と2人暮らし.約20年前より両変形性膝関節症の既往があり整形外科で2週間に1回ヒアルロン酸注射を受けながら,通所リハビリを週1回利用していた. 日常生活動作能力(以下ADL)はBarthel Index(以下,BI)が100/100点(歩行は2本杖)で,食事の準備や洗濯物をたたむなどの家事動作も行っていた.令和X年10月に腰痛が悪化しADLが低下した.11月に区分変更し要介護2となったため,通所リハビリを週2回に増回し,福祉用具の利用およびリハマネ加算の算定を開始した.
【経過,結果】
リハ会議は,初回のみ自宅にて開催し,2回目以降は施設にて15分程度の時間を設けて実施した.構成員は,本人,家族,介護支援専門員,福祉用具,通所リハビリ事業所の理学療法士および介護福祉士であり,2回目以降は通所リハビリの医師も参加した.会議では,現状の把握,本人・家族のHOPEの聴取,目標および運動プログラムの設定について協議した.
令和X年11月のリハ会議(初回);ADLはほとんど介助が必要な状態のため,BIは40点に低下した.トイレまで這って移動し床からの立ち上がりや下衣操作に全面的に介助が必要な状態だったため,息子の介護負担が増加していた.自宅環境を確認し,本人・家族のHOPEを聴取した上で今後のリハビリ方針を決定した.本人は,「また杖で歩けるようになりたい」,家族は,「また1人で歩けるようになってほしい」,「100歳まで元気でいてほしい」であった.そこで短期目標は身辺動作の自立・家事動作の再獲得,長期目標は自宅での歩行の再獲得とした.
12月のリハ会議(2回目);トイレ動作で介助量が軽減したためBIは,50点と向上した.本人は「トイレが1人でできるようになりたい」,息子は「床からの立ち上がりや下衣操作には一部介助が必要だが,前回より介助量は減少した」と報告があった.自宅では座位での膝関節伸展運動と足関節底背屈運動を自主練習し,通所リハビリでは車椅子の自走練習や起立練習を中心にプログラムを展開した.
令和X+1年1月のリハ会議(3回目);自宅での移動手段を獲得しトイレ動作が自立し,BIは65点に向上した.身辺動作の自立が達成され,本人は「家事動作も少しずつ再開したい」と話しがあった.
2月のリハ会議(4回目);BIは65点と維持することができた.本人は「徐々に良くなっている,もっと歩く練習がしたい」と話しがあった.通所リハビリでは膝痛の悪化防止のために足部パットを導入し,歩行量は本人の状態に合わせて調整する方針とした.
3月のリハ会議(5回目);BIは70点に向上した.さらに,家事動作の再獲得が確認された.息子は「介助量が軽減しており本人が自立した生活を送れていることを実感している」と話しがあった.
4月のリハ会議(6回目);本人は「自宅で少しでも歩けるようになりたい」,息子は「散歩させたい」と話しがあった.まずは自宅での歩行を優先し他事業所と連携し福祉用具の選定や動線の確認を実施した.福祉用具のレンタルを検討し居間~トイレ前廊下の歩行練習を提案した.
7月のリハ会議(7回目);4月下旬,6月下旬~7月上旬に膝痛の悪化があり通所リハビリの利用を休まれた. BIは60点に低下しトイレ動作に介助を要し立位も不安定だった.再度本人のHOPEを聴取すると「トイレに1人で行けるようになりたい・今も歩けるようになりたいと思っている」との発言があった。息子は「トイレまで這って移動は可能だが,床から立ち上がり便座に座ることや下衣操作の介助が大変」と報告がありトイレ内に手すり設置を検討した.
【考察】
リハ会議を開催することは本人・家族のHOPEが明確となり利用者中心の支援を行うことができ,以下の点から有効であったと考える.
初回のリハ会議で本人や家族にHOPEを聴取し,自宅環境・現在の生活状況および家族の介護力を考慮した上で,短期・長期目標を設定した.リハ会議ごとに本人・家族・他事業所・通所リハビリスタッフとともに目標に対する達成状況の確認やBIの点数を公表することで本人や家族が段階的に向上していることが実感でき,本人のリハビリテーションに対する意欲を維持した状態で継続的な支援が可能であった.ADLの改善や家事動作の再獲得をしたことで,家族の介護負担が軽減し自立支援にも繋がった.
さらに,7月のリハ会議では膝痛の悪化により身辺動作の自立が困難となり家族の介護が必要な状態となった.会議を開催したことで,他事業所との連携がとりやすく福祉用具の調整が迅速に行うことができた点はリハ会議の強みである.また,家族の介護状況を細かく聴取し身体的評価や計画を再立案することで柔軟に環境設定を行うことができた.SPDCAサイクルを構築しリハビリテーションが適切に提供され,質の高いリハビリテーションの提供に繋がったと考えられる.
今後も質の高いリハビリテーションが提供できるよう協力体制を整え,より効果的なリハ会議の運営体制を構築していきたい.
【倫理的配慮】
本発表はヘルシンキ宣言に則り,本人・家族より書面にて同意を得て実施している.
当通所リハビリテーション(以下,通所リハビリ)では令和X年10月からリハビリマネジメント(以下,リハマネ)加算の算定を開始した.リハビリテーション会議(以下,リハ会議)を開催することで,本人・家族・他事業所・通所リハビリ職員間の目標共有が図られ,本人・家族のHOPEに沿ったリハビリの提供が可能となったためここに報告する.
【事例紹介】
対象は,要支援1の90歳代女性で息子と2人暮らし.約20年前より両変形性膝関節症の既往があり整形外科で2週間に1回ヒアルロン酸注射を受けながら,通所リハビリを週1回利用していた. 日常生活動作能力(以下ADL)はBarthel Index(以下,BI)が100/100点(歩行は2本杖)で,食事の準備や洗濯物をたたむなどの家事動作も行っていた.令和X年10月に腰痛が悪化しADLが低下した.11月に区分変更し要介護2となったため,通所リハビリを週2回に増回し,福祉用具の利用およびリハマネ加算の算定を開始した.
【経過,結果】
リハ会議は,初回のみ自宅にて開催し,2回目以降は施設にて15分程度の時間を設けて実施した.構成員は,本人,家族,介護支援専門員,福祉用具,通所リハビリ事業所の理学療法士および介護福祉士であり,2回目以降は通所リハビリの医師も参加した.会議では,現状の把握,本人・家族のHOPEの聴取,目標および運動プログラムの設定について協議した.
令和X年11月のリハ会議(初回);ADLはほとんど介助が必要な状態のため,BIは40点に低下した.トイレまで這って移動し床からの立ち上がりや下衣操作に全面的に介助が必要な状態だったため,息子の介護負担が増加していた.自宅環境を確認し,本人・家族のHOPEを聴取した上で今後のリハビリ方針を決定した.本人は,「また杖で歩けるようになりたい」,家族は,「また1人で歩けるようになってほしい」,「100歳まで元気でいてほしい」であった.そこで短期目標は身辺動作の自立・家事動作の再獲得,長期目標は自宅での歩行の再獲得とした.
12月のリハ会議(2回目);トイレ動作で介助量が軽減したためBIは,50点と向上した.本人は「トイレが1人でできるようになりたい」,息子は「床からの立ち上がりや下衣操作には一部介助が必要だが,前回より介助量は減少した」と報告があった.自宅では座位での膝関節伸展運動と足関節底背屈運動を自主練習し,通所リハビリでは車椅子の自走練習や起立練習を中心にプログラムを展開した.
令和X+1年1月のリハ会議(3回目);自宅での移動手段を獲得しトイレ動作が自立し,BIは65点に向上した.身辺動作の自立が達成され,本人は「家事動作も少しずつ再開したい」と話しがあった.
2月のリハ会議(4回目);BIは65点と維持することができた.本人は「徐々に良くなっている,もっと歩く練習がしたい」と話しがあった.通所リハビリでは膝痛の悪化防止のために足部パットを導入し,歩行量は本人の状態に合わせて調整する方針とした.
3月のリハ会議(5回目);BIは70点に向上した.さらに,家事動作の再獲得が確認された.息子は「介助量が軽減しており本人が自立した生活を送れていることを実感している」と話しがあった.
4月のリハ会議(6回目);本人は「自宅で少しでも歩けるようになりたい」,息子は「散歩させたい」と話しがあった.まずは自宅での歩行を優先し他事業所と連携し福祉用具の選定や動線の確認を実施した.福祉用具のレンタルを検討し居間~トイレ前廊下の歩行練習を提案した.
7月のリハ会議(7回目);4月下旬,6月下旬~7月上旬に膝痛の悪化があり通所リハビリの利用を休まれた. BIは60点に低下しトイレ動作に介助を要し立位も不安定だった.再度本人のHOPEを聴取すると「トイレに1人で行けるようになりたい・今も歩けるようになりたいと思っている」との発言があった。息子は「トイレまで這って移動は可能だが,床から立ち上がり便座に座ることや下衣操作の介助が大変」と報告がありトイレ内に手すり設置を検討した.
【考察】
リハ会議を開催することは本人・家族のHOPEが明確となり利用者中心の支援を行うことができ,以下の点から有効であったと考える.
初回のリハ会議で本人や家族にHOPEを聴取し,自宅環境・現在の生活状況および家族の介護力を考慮した上で,短期・長期目標を設定した.リハ会議ごとに本人・家族・他事業所・通所リハビリスタッフとともに目標に対する達成状況の確認やBIの点数を公表することで本人や家族が段階的に向上していることが実感でき,本人のリハビリテーションに対する意欲を維持した状態で継続的な支援が可能であった.ADLの改善や家事動作の再獲得をしたことで,家族の介護負担が軽減し自立支援にも繋がった.
さらに,7月のリハ会議では膝痛の悪化により身辺動作の自立が困難となり家族の介護が必要な状態となった.会議を開催したことで,他事業所との連携がとりやすく福祉用具の調整が迅速に行うことができた点はリハ会議の強みである.また,家族の介護状況を細かく聴取し身体的評価や計画を再立案することで柔軟に環境設定を行うことができた.SPDCAサイクルを構築しリハビリテーションが適切に提供され,質の高いリハビリテーションの提供に繋がったと考えられる.
今後も質の高いリハビリテーションが提供できるよう協力体制を整え,より効果的なリハ会議の運営体制を構築していきたい.
【倫理的配慮】
本発表はヘルシンキ宣言に則り,本人・家族より書面にて同意を得て実施している.
