講演情報

[27-O-L004-02]通所リハビリ利用者の介護度変化に影響する要因調査

和歌山県 田村 祐樹, 中野 珠里 (介護老人保健施設みくるま)
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【目的】
 我が国では介護保険料が増加し,現役世代のみで高齢者を支えることが困難になりつつある.少子高齢化が進行するなか,介護保険料の負担増加は大きな社会課題である.こうした背景を踏まえ,当施設の通所リハビリテーション(以下,通所リハビリ)利用者における介護度の変化とその関連要因を調査した.得られた結果をもとに,予後予測を行ううえでの課題を抽出することを目的とした.

【方法】
 調査期間は2022年12月~2025年5月とした.対象は当施設の通所リハビリを利用している64名であり,除外基準は介護保険の更新がなかった者および通所リハビリの利用が終了した者とした.対象者は介護度の変化により「改善群」「維持群」「悪化群」に分類した.
 各群に対して「年齢」「利用回数/週」「Body Mass Index(以下,BMI)」「入院の有無」「認知症の有無」「短期集中リハビリテーション(以下,短期集中リハビリ)の実施有無」「筋力低下」の割合を調査した.認知症の有無は改訂長谷川式簡易知能評価スケールにより,20点以上を「無」,20点未満を「有」と判定した.握力は男性で28kg以上/未満,女性で18kg以上/未満で評価した.BMI,認知症の有無,筋力低下は通所リハビリ初回利用時のデータを用いた.入院の有無は,利用開始後に1週間以上の入院(検査入院を除く)があったかどうかで判定した.

【結果】
 改善群/維持群/悪化群の平均年齢は,それぞれ80.61歳/80.56歳/80.15歳であった.週当たりの平均利用回数は2.19回/2.16回/2.19回であった.
BMIの分類割合は以下のとおりである.
・改善群:<18.5(47%),18.5≦BMI<25.0(53%),25.0≦BMI<30.0(0%),30.0≦BMI<35.0(0%)
・維持群:<18.5(17%),18.5≦BMI<25.0(58%),25.0≦BMI<30.0(22%),30.0≦BMI<35.0(3%)
・悪化群:<18.5(9%),18.5≦BMI<25.0(73%),25.0≦BMI<30.0(9%),30.0≦BMI<35.0(9%)
入院の有無については,改善群で有17%,無83%,維持群で有6%,無94%,悪化群で有64%,無36%であった.
認知症の有無は,改善群で有29%,無71%.維持群で有22%,無78%.悪化群で有45%,無55%であった.
短期集中リハビリの実施割合は,改善群で有47%,無53%.維持群で有28%,無72%.悪化群で有27%,無73%であった.
握力については以下の通りである.
・男性(28kg以上/未満):改善群44%/56%,維持群46%/54%,悪化群50%/50%
・女性(18kg以上/未満):改善群38%/62%,維持群30%/70%,悪化群0%/100%

【考察】
 年齢や利用回数には3群間で大きな差は見られなかった.改善群では短期集中リハビリの実施率が47%と他群より高く,個別リハビリテーション(40分以上)の効果が示唆された.また,悪化群では認知症を有する者の割合が45%と高く,認知機能低下が介護度悪化に影響する可能性が示された.さらに,入院の有無においても悪化群の64%が入院歴を有しており,入院が介護度悪化の要因であると考えられた.女性においては,全員が握力18kg未満であり,筋力低下が悪化に寄与している可能性がある.
 本調査の結果から,通所リハビリ利用初期から認知症予防や入院予防への対応,女性では筋力強化を重視することが,介護度悪化の予防に有効である可能性が示唆された.短期集中リハビリを積極的に導入することも,改善に寄与する可能性がある.
 今後の課題としては,統計解析を活用することで,科学的根拠に基づいた要因の同定を進めていく必要がある.また,日常生活動作(ADL)のレベルが介護度に大きく影響することから,Barthel Index(BI) や Functional Independence Measure(FIM)による評価も導入すべきである.リハビリテーション専門職として,介護予防に資する取り組みを推進し,介護保険料の抑制と健康寿命の延伸を目指したい.