講演情報
[27-O-L004-06]リハビリテーション会議の参加者と方針決定の関連性~家族とケアマネージャーに着目して~
静岡県 ○石垣 文也 (介護老人保健施設白梅県居ケアホーム)
【はじめに】
当施設デイケアでは、要介護者に対して定期的にリハビリテーション会議(以下, リハビリ会議)を開催している。本人や医師、リハビリ職を基本メンバーとし、加えて家族やケアマネージャー(以下, ケアマネ)、通所の介護職へ参加を依頼している。リハビリ会議の目的は、多職種間で情報を共有し、目標を明確化するとともに、支援方針を決定することである。実際には、情報共有だけになっていることが少なくないと感じるが、家族やケアマネが参加している場合はサービスに反映されるような意見が出されやすい印象を受ける。
先行研究では、複数の事例でリハビリ会議の有効性が報告されており、多くは家族やケアマネが支援体制に関わっていることが読み取れる。しかし、リハビリ会議の構成員の違いによる会議内容の比較を行った報告は見当たらない。本研究の目的は、リハビリ会議における家族やケアマネの参加と支援方針の決定との関連性を定量的に明らかにすることである。
【対象と方法】
対象は、令和6年4月から令和7年6月の15ヵ月間に開催されたリハビリ会議である。除外基準は、本人や医師、リハビリ職が欠席、対象期間内の開催件数が3件未満とした。
調査項目は、目的変数として支援方針の決定有無、主な説明変数として家族とケアマネの参加有無、調整のための説明変数として介護職の参加有無、利用者属性(年齢、性別、要介護度、開催回数、Barthel Index(以下, BI)差、BI差不明フラグ)とし、会議録や診療録から収集した。支援方針の決定有無の基準は、支援方針や提供サービスの内容が従来と異なる形に変更されるか、変更に至らなくても提案に対して検討した結果、従来方針を再選択した場合を「決定あり」とした。一方、情報提供のみ、従来方針の確認、または口頭での簡易な助言のみで具体的な計画の変更・検討がない場合は「決定なし」とした。BI差は、前回会議時のBIからの差を算出し、前回の評価がない場合(欠損値)はBI差不明フラグと組み合わせることで区別した。
統計は、個人別にIDを設定し、一般化線形混合モデルのロジスティック回帰分析を用いた。目的変数に対する説明変数のオッズ比、信頼区間、p値を算出し、有意水準は5%未満とした。
【結果】
対象期間中のリハビリ会議は合計288件であった(総数308件, 除外20件)。対象者数は58名で、一人当たりの開催件数は5.0±1.6回。年齢は84.7±8.5歳、性別は男性86件、女性202件、要介護度は1.9±1.1、開催回数は8.6±5.4回、BI差は中央値0(IQR: 0-0)点、平均-0.6点、BI差不明フラグは19件(6.6%)であった。
家族とケアマネの参加件数は、家族103件(35.8%)、ケアマネ147件(51.0%)だった。支援方針の決定件数は81件(28.1%)で、家族とケアマネの参加群別に修正率を比較すると、両方参加群は62件中34件(54.8%)、家族のみ参加群は41件中16件(39.0%)、ケアマネのみ参加群は85件中22件(25.9%)、両方不参加群は100件中9件(9.0%)であった。また、介護職参加時の支援方針の決定件数は61件中32件(52.5%)だった。
統計解析の結果、家族の参加(OR = 4.03, 95%CI: 1.98-8.25, p<0.001)、ケアマネの参加(OR = 2.67, 95%CI: 1.37-5.21, p = 0.004)、介護職の参加(OR = 2.49, 95%CI: 1.20-5.16, p = 0.014)が、いずれも支援方針の決定に有意に関連していた。一方で、年齢、性別、要介護度、開催回数、BI差、BI差不明フラグは有意ではなかった。
【考察】
リハビリ会議における支援方針の決定には、家族やケアマネの参加が関連していることが示唆された。家族に関しては、主介護者の続柄は親族が6割以上を占め、要介護者の日常生活動作を支えることから始まり,介護保険サービスの利用プラン策定や医療や介護サービスの選択において家族の意見が求められることは多々あると言われている。ケアマネに関しては、要介護者等からの相談に応じ、利用者の希望や心身の状態を考慮して、在宅や施設での適切なサービスが受けられるように、ケアプランを立案したり、関係機関との連絡調整を行うことが主な業務とされている。本研究で「支援方針の決定あり」と判定されたケースには、家族の協力やケアマネの調整を必要としたものが多く含まれており、同時に両者からの意見を踏まえて変更や検討・再選択した例もみられた。これらの結果は、家族とケアマネがそれぞれの役割を担うことが、支援方針の決定において重要な要素であることを示唆している。従って、リハビリ会議においては、家族とケアマネが参加しやすい体制を日頃から整備しておくことが望ましい。また、議題が明確で、それぞれの役割が必要とされる場合には、両者に対して積極的に参加を依頼することが、より適切な支援方針の決定に繋がると考える。
本研究の限界として、介護職に関しても有意性は確認されたが、当施設デイケアでは、家族またはケアマネの参加が決定した場合に介護職へ参加を依頼している。そのため、介護職の参加は家族やケアマネの参加を前提としており、本研究においては介護職の真の関連性は推測できないと考えられる。また、支援方針の決定有無の判定は主観的要素を含むため、結果の解釈には一定の注意が必要である。
【結論】
本研究では、リハビリ会議において、家族やケアマネの参加と支援方針の決定が関連することを一般化線形混合モデルによって定量的に示した。この結果は、参加者の重要性を数値的に裏付けるものであり、支援体制の構築の一助となり得る。今後の課題として、介護職の参加体制を見直して単独効果を検証することや、支援方針の決定有無の評価方法は客観性を高める工夫が必要である。
当施設デイケアでは、要介護者に対して定期的にリハビリテーション会議(以下, リハビリ会議)を開催している。本人や医師、リハビリ職を基本メンバーとし、加えて家族やケアマネージャー(以下, ケアマネ)、通所の介護職へ参加を依頼している。リハビリ会議の目的は、多職種間で情報を共有し、目標を明確化するとともに、支援方針を決定することである。実際には、情報共有だけになっていることが少なくないと感じるが、家族やケアマネが参加している場合はサービスに反映されるような意見が出されやすい印象を受ける。
先行研究では、複数の事例でリハビリ会議の有効性が報告されており、多くは家族やケアマネが支援体制に関わっていることが読み取れる。しかし、リハビリ会議の構成員の違いによる会議内容の比較を行った報告は見当たらない。本研究の目的は、リハビリ会議における家族やケアマネの参加と支援方針の決定との関連性を定量的に明らかにすることである。
【対象と方法】
対象は、令和6年4月から令和7年6月の15ヵ月間に開催されたリハビリ会議である。除外基準は、本人や医師、リハビリ職が欠席、対象期間内の開催件数が3件未満とした。
調査項目は、目的変数として支援方針の決定有無、主な説明変数として家族とケアマネの参加有無、調整のための説明変数として介護職の参加有無、利用者属性(年齢、性別、要介護度、開催回数、Barthel Index(以下, BI)差、BI差不明フラグ)とし、会議録や診療録から収集した。支援方針の決定有無の基準は、支援方針や提供サービスの内容が従来と異なる形に変更されるか、変更に至らなくても提案に対して検討した結果、従来方針を再選択した場合を「決定あり」とした。一方、情報提供のみ、従来方針の確認、または口頭での簡易な助言のみで具体的な計画の変更・検討がない場合は「決定なし」とした。BI差は、前回会議時のBIからの差を算出し、前回の評価がない場合(欠損値)はBI差不明フラグと組み合わせることで区別した。
統計は、個人別にIDを設定し、一般化線形混合モデルのロジスティック回帰分析を用いた。目的変数に対する説明変数のオッズ比、信頼区間、p値を算出し、有意水準は5%未満とした。
【結果】
対象期間中のリハビリ会議は合計288件であった(総数308件, 除外20件)。対象者数は58名で、一人当たりの開催件数は5.0±1.6回。年齢は84.7±8.5歳、性別は男性86件、女性202件、要介護度は1.9±1.1、開催回数は8.6±5.4回、BI差は中央値0(IQR: 0-0)点、平均-0.6点、BI差不明フラグは19件(6.6%)であった。
家族とケアマネの参加件数は、家族103件(35.8%)、ケアマネ147件(51.0%)だった。支援方針の決定件数は81件(28.1%)で、家族とケアマネの参加群別に修正率を比較すると、両方参加群は62件中34件(54.8%)、家族のみ参加群は41件中16件(39.0%)、ケアマネのみ参加群は85件中22件(25.9%)、両方不参加群は100件中9件(9.0%)であった。また、介護職参加時の支援方針の決定件数は61件中32件(52.5%)だった。
統計解析の結果、家族の参加(OR = 4.03, 95%CI: 1.98-8.25, p<0.001)、ケアマネの参加(OR = 2.67, 95%CI: 1.37-5.21, p = 0.004)、介護職の参加(OR = 2.49, 95%CI: 1.20-5.16, p = 0.014)が、いずれも支援方針の決定に有意に関連していた。一方で、年齢、性別、要介護度、開催回数、BI差、BI差不明フラグは有意ではなかった。
【考察】
リハビリ会議における支援方針の決定には、家族やケアマネの参加が関連していることが示唆された。家族に関しては、主介護者の続柄は親族が6割以上を占め、要介護者の日常生活動作を支えることから始まり,介護保険サービスの利用プラン策定や医療や介護サービスの選択において家族の意見が求められることは多々あると言われている。ケアマネに関しては、要介護者等からの相談に応じ、利用者の希望や心身の状態を考慮して、在宅や施設での適切なサービスが受けられるように、ケアプランを立案したり、関係機関との連絡調整を行うことが主な業務とされている。本研究で「支援方針の決定あり」と判定されたケースには、家族の協力やケアマネの調整を必要としたものが多く含まれており、同時に両者からの意見を踏まえて変更や検討・再選択した例もみられた。これらの結果は、家族とケアマネがそれぞれの役割を担うことが、支援方針の決定において重要な要素であることを示唆している。従って、リハビリ会議においては、家族とケアマネが参加しやすい体制を日頃から整備しておくことが望ましい。また、議題が明確で、それぞれの役割が必要とされる場合には、両者に対して積極的に参加を依頼することが、より適切な支援方針の決定に繋がると考える。
本研究の限界として、介護職に関しても有意性は確認されたが、当施設デイケアでは、家族またはケアマネの参加が決定した場合に介護職へ参加を依頼している。そのため、介護職の参加は家族やケアマネの参加を前提としており、本研究においては介護職の真の関連性は推測できないと考えられる。また、支援方針の決定有無の判定は主観的要素を含むため、結果の解釈には一定の注意が必要である。
【結論】
本研究では、リハビリ会議において、家族やケアマネの参加と支援方針の決定が関連することを一般化線形混合モデルによって定量的に示した。この結果は、参加者の重要性を数値的に裏付けるものであり、支援体制の構築の一助となり得る。今後の課題として、介護職の参加体制を見直して単独効果を検証することや、支援方針の決定有無の評価方法は客観性を高める工夫が必要である。
